サンホセ日本人学校創立40周年記念式典における祝辞


平成26年10月4日



   サンホセ日本人学校の増田校長先生をはじめとする教職員の皆様,日本人学校の児童・生徒の皆様,木原委員長をはじめとする日本人学校運営委員会の皆様,この場におられる日本人学校関係者の皆様,そして本日この場におられない日本人学校関係者の皆様,サンホセ日本人学校がこの度創立40周年を迎えられましたことを心よりお祝い申し上げたいと思います。誠におめでとうございます。

   40年前と言えば、1974年です。この1974年は,その前年に始まった第一次オイルショックが日本経済に深刻な影響を与えた年であり,日本の「高度経済成長」が終焉した年として記憶しておられる方も多いと思います。その1974年に「日本列島改造論」で一世を風靡した田中角栄総理大臣が辞任したことは大変象徴的な出来事でありました。

   このように1974年を今から振り返れば,遠い昔の感があります。その時期に,ここコスタリカで日本人学校を創立しようと大変な努力をされた先人の方々がおられたという事実に感銘を覚えます。日本人会初代会長で日本人学校設立委員会委員長も務められた西巻さん,日本人学校初代運営委員長を務められた宮城さん,ご夫妻で初代派遣教諭となられた美馬先生ご夫妻,そして私の先輩に当たる人見大使をはじめとする,当時の関係者の皆様がサンホセに日本人学校を作るという決断をなされ,大変なご苦労をされた結果,サンホセ日本人学校が創立されました。これら先人の方々に,深甚なる敬意を表します。

   1974年の創立以来,サンホセ日本人学校は,日本における教育に準じる教育をここコスタリカにおいて提供してきました。また,サンホセ日本人学校は,そのレベルの高い教育の門戸をコスタリカ人子女にも開放してきており,日本とコスタリカの間の架け橋となるべき人材の育成にも貢献してきたと言えます。大使館としては,これらの点を高く評価しており,引き続きこれらのミッションを果たしていっていただきたいと希望しております。

   さて,40年と言えば,人生では「不惑」の年です。「四十にして惑わず」,すなわち,狭い見方に捕らわれることなく,心の迷いがなくなる年齢でもあります。私は、この考えが個人のみならず,組織にも当て嵌まることがあると考えています。サンホセ日本人学校は,これからも困難に直面することがあると思います。それでも,その時その時の困難に迷うことなく、創立当初の高い理想を想起し,困難を克服しつつ,今後も着実に歩みを進めていかれることを期待しています。

   また,結婚に例えれば,40周年は日本のみ成らず,欧米でも「ルビー婚式」になります。ルビーは「熱情・情熱・純愛・仁愛・勇気・仁徳」を象徴しているとされ,大変人気の高い宝石であります。しかしながら,更に上の金婚式の50周年,ダイヤモンド婚式の60周年が待っていますので,本年の40周年に満足することなく,2024年の50周年,2034年の60周年に向けてサンホセ日本人学校が一歩ずつ力強く歩んでいって欲しいと思います。勿論、このことは,日本人学校だけで達成できることではないと思います。コスタリカにおける日本人コミュニティを代表するコスタリカ日本人会と二人三脚で,サンホセ日本人学校が円滑に運営されていかれることを期待します。当然のことながら、サンホセ日本人学校のために,在コスタリカ日本国大使館としても微力ながらできる限りの協力をさせていただく所存です。

   この場におられる皆様に,サンホセ日本人学校への一層のご理解とご協力を賜りますようにお願いして,私の祝辞を終わらせていただきます。ご静聴ありがとうございます。



篠原 守
駐コスタリカ特命全権大使







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