天皇誕生日祝賀レセプションにおける篠原大使のスピーチ


平成26年12月3日



    本日は,日本のナショナル・ディーである天皇誕生日を祝うレセプションにご来駕いただきまして,ありがとうございます。天皇陛下は,この12月23日で81歳になられますが,健やかにお過ごしであり,各国からの要人や大使とお会いになる等の公務に従事しておられます。

    さて,先ず,若干のお時間をいただいて,本年2014年の日本とコスタリカの関係について,振り返って見たいと思います。昨年11月に私が当時のカスティージョ外相と署名しました「グアナカステにおける地熱発電プロジェクト」のための交換公文を実施に移すために必要な法案がコスタリカ国会において本年7月に成立しました。これを受け,8月には,日本の国際協力機関であるJICAの田中理事長がコスタリカを訪問し,ICEのオブレゴン総裁と,地熱発電プロジェクトの一つであるラスパイラスにおける地熱発電所建設のための借款契約に署名しました。ソリス大統領閣下のご配慮により,大統領府において同大統領閣下,ファジャス副大統領兼財務大臣閣下のご臨席の下に,この署名式が執り行われましたことは,JICA関係者及び日本政府関係者にとっては,光栄であり,また大きな喜びでした。

    日本とコスタリカの協力関係は,この地熱エネルギー開発だけではありません。合計20名の日本人の専門家,専門知識を持ったボランティアがコスタリカのいろんな場所で技術,ノウハウの移転を行いつつあります。更に,毎年8人のコスタリカ人青年が奨学金を得て,日本に留学しています。このような人的な交流は,日本とコスタリカの間の友好関係をより一層強固にするものと考えており,これからも続けていきたいと考えています。

    日本とコスタリカの経済・ビジネス関係も2014年には新たな展開がありました。6月に日本の総合電機メーカーである東芝がコスタリカに新たに事務所を開設しました。この事務所は、コスタリカだけではなく、中米全体でのビジネスを統括するものです。その開設式典には、ソリス大統領閣下をはじめ有力閣僚の方々にご臨席いただきました。また、11月には、日本の電子機器メーカーであるセイコー・エプソンの子会社であるEpson Centroamericaが創立25周年を祝う式典を開催し、日本企業にとってコスタリカが中米ビジネスの一つの中心であることを印象付けました。

    本年2014年は,日本から多くの政治リーダーがコスタリカを訪問した年でもありました。5月のソリス大統領閣下の就任式に日本から石原政府特使が参加し,同大統領閣下との二国間会談を行い,日本とコスタリカの間の友好関係を再確認し,国際場理での協働を続けていくことを確認しました。実は,この石原特使の父上は,86年のアリアス大統領の就任式に政府特使として参加しています。このように親子二代にわたり,大統領就任式への政府特使となられは,日本とコスタリカの間の友好関係が長きにわたるものであることを示すものと考えます。

    2014年を振り返るのは,これ位にして,来年の2015年を展望したいと思います。来年の2015年は、日本とコスタリカとの間の外交関係樹立80周年の年でもあります。実はコスタリカ以外の幾つかの中米諸国も同様に日本との国交樹立80周年を迎えます。在コスタリカ日本大使館としては,これまでに培われた日本とコスタリカの間の強い絆を更に発展させることにより、2015年がより一層緊密な両国関係にとって,「節目の年」となるよう努力したいと考えております。

    先ず,2015年には,日本とコスタリカを含むSICAの関係を一層強化するために,首脳レベルでの対話が実現することを強く期待しています。また,2015年7月には,ここコスタリカにおいて,アジア中南米協力フォーラム(FEALAC)外相会合が開催される予定です。私も,我が国から適当なレベルの要人が参加することができるように最大限の努力を行うつもりです。

    このような政治レベルでの往来に加え,2015年には,これまで以上に多くの文化交流,知的交流、スポーツ交流等の事業を実施していきたいと考えています。例えば,3月には世界最高峰のロボット研究者によるコスタリカの大学関係者向けの講演と意見交換を予定しています。また,毎年,日本語スピーチコンテストが開催され多くのコスタリカ人日本語学習者が参加していますが,来年は,コスタリカの日本語スピーチコンテストに加え,中米・カリブ地域全体の日本語スピーチコンテストをここコスタリカで実施することが予定されています。2015年には、このような交流事業や行事を通して,日コスタリカ外交関係樹立80周年及び日・中米交流年を祝うことができれば私にとって大きな喜びであります。

    日本とコスタリカの関係は二国間だけのものではありません。日本とコスタリカは,平和,人権,民主主義、軍縮・不拡散などの普遍的価値を共有しており,国連等の多数国間の場でもお互いに信頼できるパートナーとして協働する機会が多いと感じております。

    最後になりましたが、昨年9月に着任して以来,私はコスタリカにある多くの場所を訪れ,コスタリカの自然環境の美しさに感心いたしました。この美しいコスタリカは,そこに元々存在してきたものではなく,コスタリカ政府と国民の方々の多大なる努力により,復活され,維持されていることにも気付きました。この点につき,この場でコスタリカ政府及び国民の方々に敬意を表すると共に,日本大使館としてもコスタリカの環境保全のために,これからもコスタリカの政府及び国民の皆様と協働していきたいと考えています。

    それでは,天皇陛下及びソリス大統領閣下のご健康を祈念して,またこの場におられる皆様のご健康とご多幸を祈念して乾杯をしたいと思います。

    乾杯。





トップへ