天皇誕生日祝賀レセプションにおける篠原大使のスピーチ
平成27年12月7日
マヌエル・アントニオ・ゴンサレス・サンス外務宗務大臣閣下,
諸大臣閣下,
コスタリカ政府に接受された諸大使閣下,
国際機関代表閣下,
国会議員の皆様そしてコスタリカ日本友好議員連盟の皆様
諸副大臣閣下,
招待客の皆様,
友人の皆様,
皆様,こんにちは。日本の国祭日レセプションにご来場いただき,深く感謝申し上げます。天皇陛下は,今月の23日に82歳になられますが,ご健康であられ,外国からの大使の接受等の国事行為をはじめとする公務に勤しんでおられます。
さて,私の挨拶の初めの部分では,本年にあったことを簡単に振り返ってみたいと思います。この2015年は,コスタリカと日本の間の外交関係樹立80周年という記念の年です。両国間の80年にわたる友情と協力をお祝いするため,多くの記念行事が執り行われました。この記念すべき年の最初の行事として,1月には,人権と人間の安全保障の分野で顕著な功績があったソニア・ピカード国連人間の安全保障諮問委員会議長に対する勲章伝達式が開催されました。それ以降,日本の伝統的な音楽と舞踊,アニメソング・コンサート,ロボットや政治についての日本人専門家による講演,茶道デモンストレーション,日本映画祭,ブックフェアでの日本書籍の展示や日本の写真家による作品の展示会などの一連の文化行事がコスタリカの関係機関の協力を得て実施されました。5月には,プンタレナスへの日本の海上保安庁練習船「こじま」の寄港及び同寄港に併せて同地で開催された日本祭がこの記念の年の祝賀ムードを盛り上げてくれました。
祝賀の雰囲気はコスタリカだけでなく日本でも盛り上がりました。先ず第一にコスタリカ映画「赤い王女様」が6月に東京で上映されました。また,コスタリカの若いサッカー・ナショナル・チームU16及びU21が,それぞれ6月と7月に,日本およびその他の国のチームとの親善試合を行うために日本を訪問しました。その後,新たな駐日コスタリカ大使であるラウラ・エスキベル大使が,天皇陛下に信任状を提出し,駐日大使として公式活動を開始しました。 9月には,コスタリカ国立交響楽団の手練のメンバーによる弦楽四重奏団が日本での公演ツアーを行いました。同四重奏団は,サンホセの姉妹都市である岡山市で開催された「おかやま国際音楽祭2015」に参加し,また東京銀座にある有名なヤマハ・ホールで演奏会を行いました。その演奏曲目は,専らベンハミン・グティエレスやアストル・ピアソラといったラテン・アメリカ出身の作曲家による作品でしたが,日本の聴衆に大いに受け,東京では3回もアンコール演奏をしなければならなかった程でした。エスキベル大使は,岡山と東京で開催された3公演に出席され,聴衆に対し暖かい挨拶を行いました。
直接80周年に関連してはいませんが,この2015年には他の重要な出来事もありました。例えば,両国の指導者による相互訪問です。エドガル・グティエレス環境・エネルギー大臣は、日本における省エネルギーや国立公園管理に関する直接的な知見を得るために4月から5月にかけて,日本を訪問しました。日本からも,土屋品子衆議院外務委員長(当時)、中山泰秀外務副大臣(当時)がそれぞれ4月と8月にコスタリカを訪問しました。土屋委員長は,ゴンサレス外務大臣及びヘンリー・モラ国会議長(当時)との間で,二国間にある友情を再確認しました。中山副大臣は,FEALAC外相会合に出席し,ルイス・ギジェルモ・ソリス大統領及びゴンサレス外務大臣との間で,両国間の関係を如何に強化していくかについて,非常に有意義な対話を行いました。
9月,私は,サンホセ首都圏からの下水を処理・浄化する「ロス・タホス」と名付けられたプラントの竣工式にソリス大統領,アナ・エレナ・チャコン副大統領と共に参加することができました。日本が提供する資金が,100万を越える住民の方々の生活改善に貢献することに使われていることを実感しました。
11月には、日本のMonexグループの一員であるTradeStation社が,この国で増加しつつある活動を踏まえ,拡張したコスタリカ事務所を開設しました。日本でもエスキベル大使が,日本への高品質コーヒー輸出の増加を目指し,コスタリカのコーヒー輸出業者と共に輸入コーヒーの大きな展示会に参加する等の活動をしておられます。
これまで述べてきましたように,コスタリカと日本の間では,非常に良好な二国間関係を反映した多くの活動が行われています。そして,この二国間関係を更に良くするために活動できる余地がまだまだあると感じています。それ故,私たちは,コスタリカの若者向けの奨学金や研修を含め,両国間の文化や人々の交流を積極的に継続・強化していくと共に,政治、経済、協力の分野で二国間関係を更に強化するために一層努力したいと思います。
政治の分野では、両国は,平和,自由、民主主義、法の支配、人権、軍縮,環境のような基本的価値の普遍化を通じて,より良い世界を構築するための非常に良いパートナーとなっています。国際政治における二国間協力を強化する意味でも,両国間での要人の相互的な訪問を実現するために努力したいと考えています。
経済も非常に重要であり,更に改善する余地があると思います。その観点から,二国間の貿易と投資がより積極的に推進されるように,コスタリカと日本の企業の奮起を期待しています。また,来年には,コスタリカと日本の企業による新たな事業展開があることを願っています。
協力はコスタリカと日本の間の二国間関係の長い歴史の中で重要な役割を果たしてきました。それ故に,日本としてコスタリカへの協力を今後も継続していけることを期待しています。私たちは、コスタリカが環境の分野で世界のリーダー国であり続け,特に「カーボンニュートラル」という崇高な志を達成するために,協力したいと考えています。この分野で,新しい協力プロジェクトを発表できることを願っています。勿論,私たちは、生活環境改善、経済振興及びコミュニティー開発といった分野でも協力を継続していきます。
私は協力について一つのビジョンを持っています。それは,コスタリカが開発を通じて取得した経験と知識を活用して,地域の他の国を支援するというものです。日本がそのような支援に必要なリソースや機材を提供することでコスタリカと一緒に活動する立場にあることは勿論です。私たちはこのような形の協力を三角協力と呼んでいます。実際,コスタリカは,既に地熱発電の分野での第三国に対し協力を提供し始めています。日本の国際協力機構もまた,中小企業振興とデジタルテレビの分野で,このタイプの協力を開始しつつあります。私は,今後,この地域でより多くの三角協力が行われることを期待しています。歴史は、近隣諸国の豊かさを考慮しなければ,一つの国は繁栄し続けられないことを示唆しています。
直ぐに始まるコスタリカと日本の間の外交関係樹立81周年の来年においても,私たちの二国間関係が更に深化・強化されることを確信しています。ここで,天皇陛下とソリス大統領閣下の健康のために,そして,コスタリカと日本の間の友好と協力のために,乾杯したいと思います。
乾杯。