2009年のコスタリカ内政・外交情勢
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1月
I.内政
1.大規模地震の発生
現地時間8日の13時21分、アラフエラ県のポアス火山東10kmの地点を震源として、マグニチュード6.2の地震が発生した。これによって、死者17名、行方不明者20名、負傷者100名、518家屋が倒壊、計26Kmに渡る道路が崩壊、渡橋不可能な橋が8本、計128,000人が地震によって生活に支障をきたし、21箇所の避難所で2,200名が避難生活を送ることとなった。政府は被害額は1億ドル以上に及ぶとして世界に向けて支援を要請するとともに、アラフエラ県とエレディア県の計9市における非常事態宣言を出し、12日から5日間半旗を掲げ国喪に服す旨宣言した。
2.与党国民解放党(PLN)
(1)予備選候補が出揃う
15日、党の大統領候補を決める予備選へ出馬する立候補者登録が締め切られ、ジョニー・アラヤ、ラウラ・チンチージャ、フェルナンド・ベロカル、カルロス・エチェベリアの4名の候補が出揃った。
(2)地区代表選挙
18日、PLNの地区代表を選出する投票が行われ、党の地区代表3700名が選出された。しかし、地震や事前広報不足等が原因となり、選挙への関心は薄く、投票率の低さが目立った。
3.カンベル市民行動党(PAC)党首が立候補表明
モリーナPAC院内総務は2日、PACのカンベル党首が同氏との懇談の中で、党の大統領候補を選出する党内予備選への立候補の意志を述べていた旨明らかにした。モリーナ議員は、「驚いたが、こういった可能性は党が生きている証拠であり、嬉しく思う」と述べた。一方、カンベル氏は検討中として、公の場での立候補有無についての明言を避け続けた。
4.報道大臣就任
14日、マジ・アンティジョン報道大臣が就任した。アンティジョン議員は議員職を辞することなく大臣を務めることとなり、国会には重要な投票の場合のみ出席することとなる。報道省には3名の主任ポストが設置され、これらはマスコミとの円滑な関係を築く「プレス対応担当」、省庁・公営機関の見解を統一する「省庁・公機関との調整担当」及びその他企業・団体・個人等との連絡係となる「その他機関との調整担当」。
5.国会関連
(1)国会は12日月曜に開会し、各党議員よりは、組織犯罪対策法、国内金融網の強化、BIDの融資、エネルギー対策関連、水行政関連法案を重視している旨述べた。
(2)ロドリゴ・アリアス大統領府長官、ベッキオ内務公安大臣、マルティン法務大臣、トレスDIS長官、モラ最高裁長官、ダラネセ検事総長、セグラOIJ副長官が13日、大統領府において、組織犯罪対策に関する会議を行った。この場で、国会の法制局が組織犯罪対策法案の文面及び現存の法的枠組みとの複数の矛盾点について指摘したことを受け、政府は同法案を一時国会の審議リストから外すこととした。
(3)PAC、PUSC、MLの野党議員は19日、治安対策関連の法案の審議の遅れは、政府の手続き遅延が原因であるとして、特別国会期中の政府の審議リスト提出の遅れを批判した。複数の技術的問題点が指摘された組織犯罪対策法案は27日から、治安対策委員会にて再度その修正作業が開始された。
(4)本会議は27日、第一回目の審議で全会一致にて、テロ行為を犯罪と定める対テロ法案を承認した。同法の制定については、麻薬対策機関(Instituto de Control de Drogas)が喫緊の課題として議員等に早期承認を求めていた。
6.世論調査結果
(1)28日付当地ラ・レプブリカ紙は、CID-Gallup社による最新の世論調査結果(16日から22日にかけて、全国の1214名より回答、誤差は±3%)を報じた。これによれば、アリアス大統領の支持指標(アリアス大統領の政権舵取りを「良い」「大変良い」と評価した率から「悪い」「大変悪い」と評価した率を差し引いたもの)は今回、36ポイントと前回を約10ポイント上回る結果となり、これは就任後2年半時点での評価としては、過去30年間行われてきた世論調査の中で最も高いものとなった。
(2)また、PLNの大統領候補については、党内での支持率がチンチージャ46%、アラヤ44%と拮抗し、誤差を考慮すれば実質引き分けの状況となった。
II.外交
1.コスタリカ環境外交
スターニョ外相は紙面インタビューにおいて、本年のアリアス外交の重要課題の一つとして「コスタリカよ永久に(Costa Rica por Siempre)」イニシアチブへの支援を求めることであると述べた。同イニシアチブは、コスタリカの動植物及び海洋資源の保護保全のために活動する国内環境NGOを支援するための総額51百万米ドルの基金を創設するというもので、コスタリカ政府がこれまで国家森林財政基金(FONAFIFO)を通じ実施してきている植林プログラム等と並び、政府の環境保護政策の中心となる。
2.米国
アリアス大統領は19日、米国のオバマ政権誕生に当たり、今般1200名の死者を出したイスラエル・パレスチナ問題について言及し、「米国に当事者双方と腰を据えて協議する心積もりがなければ、中東問題は解決できない」と述べ、オバマ政権が中東和平への解決に積極的に取り組むことを望む旨述べた。
同時にアリアス大統領は、オバマ大統領が既に公約しているグアンタナモ基地の閉鎖についてもすぐに実行すべきであると述べ、オバマ政権の誕生は米国のみならず、米国に誇り高き理想を追求するための指導力を求める世界中の国々にとって重要であり、待望の瞬間であると述べ、過去の傲慢さを捨て、世界の感情を無視して一方的に行動することを止め、国連憲章や時には人権までをも軽視し、犯すことを止めて、謙虚さをもって行動すべきであると述べた。
3.ニカラグア
(1)5日、紙面インタビューにおいて、母国でクリスマス休暇を終えコスタリカに戻る何千人というニカラグア人について問われた、リバス・ニカラグア大使は、陸路でコスタリカに入国した3日に自身が目撃したとして、コスタリカの国境警察は、機関銃を携え国境検問所を通過するニカラグア人を威嚇しており、これは軍隊を持たないと自称している平和主義国家コスタリカというイメージと全くそぐわないと述べた。
(2)リバス大使の発言に対し、コスタリカ外務省は8日コミュニケを発出し、同発言は、軍隊廃止から60周年を迎えたコスタリカの平和主義に無責任な疑問を投げかけるものであり、コスタリカ外務省は、リバス在コスタリカ・ニカラグア大使を招致し、ウガルデ外務副大臣より遺憾の意が表明され、外交ルートによりニカラグア政府に対し抗議した。
(3)15日、ニカラグアがSICA議長国に就任した。就任式にはアリアス大統領は欠席し、代理でスターニョ外務大臣が出席した。
(4)リバス・ニカラグア大使は25日、コスタリカ外務省に対し、8日に起きた地震で書類やパスポートを失ったニカラグア移民に対する寛容な対応を求めると共に、彼らの仮設住宅への入居も認めるよう求めた。
4.中国
スニガ財務大臣は20日、国交開設時に中国が購入を約束した300百万ドルのコスタリカ国債のうち、既に実施された150百万ドルを差し引いた残額150百万ドル分の購入が2月15日までに実施される予定である旨述べた。スニガ財務大臣は昨年9月、国債購入手数料を巡るスキャンダルのため、第二弾は実現しないかもしれない旨懸念を表明していた。
5.パレスチナ
コスタリカは08年2月にパレスチナとの外交関係を樹立したが、19日、国連パレスチナ常設オブザーバー使節のRiyad H. Mansour大使がコスタリカを訪問し、アリアス大統領とスターニョ外相に対して信任状を奉呈した。
6.スペイン
28日-29日、トリニダ・ヒメネス・スペイン・イベロアメリカ担当外交長官がコスタリカを訪問した。ヒメネス長官は28日、アリアス大統領と会談した他、大地震の被災地であるアラフエラ県ポアシトを訪問し、義援金として285,000ドルを供与した。また、ヒメネス外交長官は、西政府がUNDPに拠出している基金を通じ、中・長期的に3,000万ユーロを支援する用意がある旨説明した。アリアス大統領は、西政府に感謝の意を表明した。
同長官は29日にはスターニョ外相と会談し、両国の友好関係を確認すると共に政治対話、経済協力及び貿易関係の強化につき特に環境、公共交通機関、観光等の分野で努力することで合意した。
7.モロッコ
28日、Taib Fassi Fihriモロッコ外相がコスタリカを訪問し、アリアス大統領、スターニョ外相、パチェコ国会議長らと会談した。
8.その他
(1)5日、インターポールのRonald Noble事務総長がコスタリカを訪問し、ロドリゴ・アリアス大統領府長官、ベッキオ内務公安大臣、ホセ・トレス国家保安情報局長官、ホルヘ・ロハス司法警察長官と会談した。
(2)政府は14日の閣議において、リカルド・トレド元大統領候補(キリスト教社会統一党)をアルゼンチンの大使に任命することを決定した。
(3)8日に起きた地震被害に対し、中国が10万ドル、米国が5万ドルとヘリ4機及び救援隊、コロンビアがヘリ1機と6名の救援隊を派遣した。
2月
I.内政
1.世論調査結果(Unimer社)
(1)11日付当地ラ・ナシオン紙は、1月に行われたUnimer社の世論調査結果を掲載し、この中で、注目されるPLNの大統領候補について、アラヤ・サンホセ前市長の支持率が50%と、39%だったチンチージャ前副大統領のそれを上回った旨報じた。
(2)またPAC支持者の間では、依然としてソリスの支持率がカンベルに勝ることが判明した(ソリス74%、カンベル23%)。一方、ソリスがPAC大統領候補とした場合、アラヤとチンチージャのいずれの候補がPLN候補になったとしても、ソリスを上回ることが判明した(アラヤ34%対ソリス18%、チンチージャ34%対ソリス19%)。
(3)アリアス大統領は5ヶ月連続で支持率を落としていたが、1月に起きた地震の対応、経済対策発表、CAFTA発効、中国によるスタジアム建設着手や200台のパトカー供与といった成果が功を奏したと見られ、その支持率を回復した。
2.PLNの動き
(1)PLNの4大統領候補のうち、カルロス・エチェベリア氏は11日、十分な支持を得られなかったため、党の大統領候補を争う選挙戦の舞台から正式に降りる旨明らかにした。
(2)23日、PLN選挙対策委員会はチンチージャ、アラヤ、ベロカルの3候補が正式に6月7日の党内予備選の候補として登録された旨発表した。
3.PACの動き
(1)PACは7日、党の総会において役員改正を行い、以下の新役員が選出された。カーニャス新党首は、「自分は副党首としてこれまでもカンベル女史不在の度に党首代理を務めてきた。政党の運営方針に大きな変更はない」と述べた。
党首:Alberto Canas
副党首:Sadie Bravo
事務局長:Margarita Bolanos
副事務局長:Luis Fernando Barrantes
会計:Minor Sterling
(2)7日に選出された新幹部は9日、会合を開き、党内(大統領候補への)立候補登録期間を13~26日までと定めた。
(3)16日、立候補の是非の決定を先延ばしにしていたカンベル前党首は、最終的に立候補する旨宣言し、登録を行った。なお、ソリス氏はPACを創設後、2度PACの大統領候補として選挙を戦ったが、ソリス氏以外の候補の出現によって、PACの党史上初めて、大統領候補選出のための党大会が開かれることとなった。カンベル氏は記者会見の場で、党外にも多くの支持を得ており、党の大統領候補を決める予備選は党外にもオープンで行うべきだと述べた。
4.ソメル住宅大臣の追及
住宅信用銀行(Banhvi)の予算で行われた昼食会において高価な飲み物を注文したとして、野党議員らから責任を追及されたことに対し、Banhviのロドリゲス総裁は4日、引責辞任した。ソメル大臣は10日、国会に出頭し、昼食会を提案したのはソメル大臣自身だったが、問題となっているような高価な飲み物は注文してもいないし、自分は飲んでいないと述べ、「何千人もの人たちが住居を必要としている時に自分が大臣の職を離れることはできない」と述べた。また、ロドリゴ・アリアス大統領長官はソメル大臣の辞任はないとして強く否定した。
5.選挙法改正
10日、ソブラドTSE長官は国会に出頭し、議員らに対して、国会における選挙法改正の審議の遅延は、議員らの意志の欠如であるとしてこれを強く批判した。これに対し、議員らは16日、選挙法改正案推進のための特別審議を水・木の午前中に設けることで合意し、26日から特別審議が開始された。但し、同改正案については各政党間で意見が対立しており、審議は難航することが予想される。
6.BCIE資金問題に対する会計検査院の第2回報告書
会計検査院は昨年10月末に出した第1回の報告書に続き、10日付で、大統領府によるBCIE資金の使途問題に関する第2回調査報告書を発表した。この中で会計検査院は「顧問やコンサルタントの名目でメッセンジャー等が雇われていたことは、アリアス大統領府長官の説明と合致しない」「合法的に使われている部分もあったが、残りの部分については疑問が残り、更なる調査を必要とする」として、疑問の残る部分について90日以内に内部監査を行うように大統領府に命じた。
7.その他
10日に発表されたInternational Transparencyの調査によれは、コスタリカは2008年、中米地域において最も政治腐敗度の低い国であった。中米各国の透明度はコスタリカ5.1、エルサルバドル3.9、パナマ3.4、グアテマラ3.1、ホンジュラス2.6、ニカラグア2.5。
II.外交
1.在外公館の閉鎖
アリアス大統領が1月末に発表した世界経済危機対策「防御計画(Plan Escudo)」の一貫として、コスタリカ外務省は13日、在ボリビア、在パラグアイ大使館、在シカゴ領事館、在プエルト・リコ領事館を4月30日付、在チェコ大使館を5月31日付で閉鎖する旨決定した。
2.中国
(1)16日、コスタリカ検察庁幹部が報道陣に対し、コスタリカと中国が、対組織犯罪分野に於いて司法協力を行う方向で検討している旨述べた。これは、近年頻繁に起きている中国組織が関わる人身取引、誘拐、強盗といった犯罪の調査が難航しがちなことを受け、捜索、聴取、証拠の押収等における、調査・司法プロセスに於いて、両国間がこれを円滑に行うために協力をするもの。
(2)昨年11月に胡錦濤中国国家主席がコスタリカを訪問した際、コスタリカ石油公社(RECOPE)はモイン製油所の拡張と近代化を目的とし、中国のChina National Petroleum Coorporation International Ltd(ペトロチャイナ出資)と共同で民間企業を設立する旨契約したが、会計検査院は15日、公社のこうした行為の合法性について調査を開始する旨明らかにした。
3.ニカラグア
当国外務省は、ICJに付託されているニカラグアとのサンフアン河航行権問題につき、3月2日より口頭審問が開始された後、3月12日以降判決が下される旨ICJより通達があった旨発表した。
4.スロバキア
9日、将来的にコスタリカにおけるスロバキア領事館を開設する準備を進めるため(大使館は在メキシコ)領事使節が当地を訪問した。
5.EU
24日から27日にかけて、5名の欧州議員がコスタリカを訪問し、アリアス大統領、スターニョ外相及びEU中米連携協定に関連する複数大臣と会談したほか、パチェコ国会議長、ソブラド選挙最高裁長官とも懇談した。
6.国際機関
24日から26日、UNHCRメリダ・モラレス難民高等弁護官米州局長がコスタリカを訪問し、アリアス大統領及びデル・ベッキオ公安内務大臣、サモラ移民局長と会談した。その中で同局長は、難民承認手続き専用の政府窓口を設けるべきであると申し入れた。現在は移民局及び公安内務省によって、移民手続きの一環として、ケースバイケースの判断が行われている。
3月
I.内政
1.PACの動き
(1)党の新役員が選出されてから1ヶ月後の7日及び8日、党の大統領候補選出に関する詳細規則を定めることを目的として、80名の総会メンバーによるPAC臨時総会が召集され、以下の結論が出された。
(イ)大統領候補選出のための党大会(予備選)は5月31日に開催する。
(ロ)予備選において投票権を有するためには、4月30日までにPAC党員として登録しなければならない。
(ハ)入党するためには、PACの地区事務所に赴き、登録申請用紙に記入しなければならない。後に党事務局が登記を確認し、その入党を認めるかどうかの最終的な判断を行い、二重党籍等の事実が見つかった場合には入党を無効とする。
(ニ)予備選当日は、少なくとも市に一つは投票所を設置する。
(2)26 日、党の執行委員会において立候補者の資格審査が行われ、オットン・ソリス、エプシー・カンベル、ロマン・マカヤ、マヌエル・サンチェスの4氏の立候補が確定した。
2.ドブレス環境エネルギー大臣の辞任
ドブレス大臣は6日、同大臣が政治的影響力を行使し、自らの親戚の管理する会社に対してコンセッション事業を許可した疑いで検察庁が調査を開始したことを受け、「政治的混乱を回避するために」辞表を提出し、11日付で大臣を辞任した。9日、国会に出頭したドブレス大臣は3時間余りに渡って辞任の理由となったコンセッションについて説明し、辞任は個人的な決断であると述べた。これにより、ホルヘ・ロドリゲス副大臣が大臣に就任した。
3.BCIE資金問題
会計検査院がロドリゴ・アリアス大統領府長官のBCIE資金の運用に問題がなかったかどうかについて調査している事実について、同長官が憲法法廷に対し、会計検査院が行った調査は無効であるとの訴えを出した事実について、憲法法廷は3日、ロドリゴ長官の訴えに基づき、会計検査院の調査の有効性についての審理が行われる間、会計検査院は最終的な結論を出すことはできないとの判断を下した。
4.世論調査
Borge y Asociados社が3月上旬に実施した世論調査によれば、PLN党内での支持率はアラヤ候補が46.5%、チンチージャ候補が36%との由。なお、政党への親近感はPLNが最も高く44.3%、いずれの党にも親近感を感じないが26%、PUSC14%、PAC13%という結果になった。
5.国家緊急対策委員会(CNE)委員長の辞任
(1)19日、ガジャルドCNE委員長は、「健康及び一身上の都合により」辞意を表明し、大統領府に受理された。ただし、引継ぎの都合により、4月13日まで現職に留まる。ガジャルド委員長については、CNEが発注する工事に関する汚職の疑いが浮上しており、今後検察庁が調査に入る見込み。右疑惑に対して、ガジャルド委員長は、「不正はしていない」として汚職疑惑は否定しているが、アリアス大統領は、ガジャルド委員長に対して、書面にて両社との契約につき説明するよう求めた旨明らかにした。
(2)31日、検察庁はガジャルドCNE委員長の汚職疑惑に関する捜査のため、CNE本部および関連企業を家宅捜索し、関連書類を押収した。
6.コスタリカ石油公社(Recope)と中国企業の共同出資契約を会計検査院が却下
会計検査院は27日、リモンの石油精油所近代化プロジェクト(10億ドル相当)を実施するためRecopeと中国が共同で民間企業を設立する計画に対し、Recopeがこの民間企業にRecopeの独占業務(石油の輸入、精製、分配)を譲渡することは法に触れると解釈し、同計画にストップをかけた。これによれば、昨年署名された中国との取り決めは、国会が法律を改正しない限り実現の見込みはなくなった。
II.外交
1.米国
(1)アリアス大統領は、トマス・ドゥエニャス駐米大使の後任にルイス・ディエゴ・エスカランテ元経済大臣(1986-1990年)を任命した。現在、米国政府からの承認を待っている状態。
(2)29日から30日にかけて、バイデン米副大統領がコスタリカを訪問し、アリアス大統領の招集に応じた中米各国首脳(トリホス・パナマ大統領、コロン・グアテマラ大統領、サカ・エルサルバドル大統領、フネス同次期大統領、メヒア・ホンジュラス副大統領およびバーロウ・ベリーズ首相、コロネル・ニカラグア外務次官)と会談した。コスタリカへの米国首脳の訪問は1997年のクリントン大統領訪問以来初となる。アリアス大統領は、「会談は、皆にとり大変実り多く、率直で有益な意見交換の機会となった」旨述べるとともに、「オバマ政権下において、彼が述べたとおり、リオグランデの南の近隣国に対して、新たな友好・尊重および傾聴の政策が構築されることを確信する」旨述べた。一方、バイデン米副大統領は、「政権発足当初より我々は、相互理解と、先ず聞くことをベースとして、隣国と新たな関係を開始することを望んでいると表明する機会を欲してきた」「米国の利益のために中米は不可欠であることを理解してほしい。」旨述べた。
2.中国
(1)5日、ラ米を外遊中の王家瑞(Wang Jiarui)中国共産党対外連絡部長がコスタリカを訪問し、アリアス大統領と両国外交関係及び国際金融政治状況等につき会談した。同部長は、アリアス大統領との会談後、与党国民解放党(PLN)本部を訪れ、チンチージャ大統領候補、アラヤ候補、ベロカル候補とも懇談した。
(2)12日、中国の無償協力によって建設されるナショナル・スタジアムの定礎式がアリアス大統領出席の下行われた。
3.キューバ
(1)18日、アリアス大統領は、1961年9月10日以降断交していたキューバとの国交再開を認める大統領令に署名した。コスタリカ外務省はそのプレスリリースの中で、「旧ソ連、中国と国交を回復した今、時代の変化に合わせ、コスタリカの外交も変わらなければならず、地域の同胞であるキューバとの間においても、正式な関係、開かれた直接対話を通じ問題解決を図る時期が到来した」と発表した。
(2)コスタリカ政府の国交回復の決定に関する国内の反応は以下のとおり。
(イ)ウリバリ当地キューバ人協会会長:キューバ政府は国交を回復するに値する内部改革も行っておらず、独裁体制に全く変わりなく人権侵害が行われている。
(ロ)モリナPAC院内総務:中国を承認したように、キューバの承認ももっと早く行うべきであった。
(ハ)バランテスML院内総務:アリアス大統領の政策は朝令暮改であり一貫性がない。対キューバ政策の転換も、裏に如何なる意図があるのか懸念される。
(3)アントニオ・パルド当地キューバ領事は、コスタリカ政府の決定に満足の意を表明した。
4.ニカラグア
2日より12日まで国際司法裁判所(ICJ)にて、ニカラグアとのサンフアン河航行権問題に関する口頭審問が行われた。当地各紙は、口頭審問の終了を受け、本年中にも本件判決が下されるであろうという見通しを報じた。
5.メキシコ
アリアス大統領は26日から28日にかけてメキシコを訪問し、カルデロン大統領と会談した。両首脳は、第5回米州首脳会合の成功のための努力、本年メキシコで開催される予定の麻薬・治安・協力に関する地域サミットを通じた治安に関するメキシコ・中米対話の強化等で合意した。また、94年に締結されたコスタリカ・メキシコFTAを補完する戦略的連携協定の交渉開始に合意した。
カルデロン大統領は、FTAの締結後二国間貿易が14倍に増加した点を強調しつつ、ラ米の更なる統合のため、協同して行かなければならないと述べた。また、カルデロン大統領は、アリアス大統領に対し、各国の気候変動対策に対するインセンティブを高めるための緑の基金(Fondo Verde)の設立を提案した。
6.パナマ
18日から20日までウガルデ・コスタリカ外務副大臣及びドゥラン・パナマ外務副大臣出席の下、コスタリカ・パナマ第2回二国間協議がコスタリカ外務省において開催された。両国は、国境地域における、麻薬密売、武器不法取引、人身売買、マネーロンダリング対策における協力継続を確認すると共に、シクサオラ河に橋を建設する両国の意思を確認した。また、国連及び安保理作業方法改革のための努力を継続する意思を表明した。更に、中米・EU連携協定の早期交渉妥結のために努力する意思を確認した。
7.コロンビア
17日、ハイメ・ベルムデス・コロンビア外相がコスタリカを訪問し、アリアス大統領及びスターニョ外相と両国関係、地域情勢及び世界経済につき会談した。
8.エルサルバドル
30日、アリアス大統領は、バイデン米副大統領と中米首脳との会談に出席するためコスタリカを訪問したフネス・エルサルバドル次期大統領と会談した。会談では主に世界経済危機に対する対応策が話し合われ、対応策の一つとして他の諸国との通商協定を拡大し、EUとの連携協定を促進することが挙げられ、アリアス大統領は、「できるだけ早く妥結することを望む」旨述べた。一方フネス次期大統領は、中米諸国が外国からの援助に頼りすぎないように経済を拡大する方策を模索する必要性を強調し、「ともに努力することにより、危機から脱することを望む。国際協力にすべてを期待することはできない」旨述べた。
4月
I.内政
1.国家緊急対策委員会(CNE)
ガジャルドCNE委員長の辞任に伴い1日、政府はバネッサ・ロサレス氏を新たにCNE委員長として任命した。同氏は過去にCNEに務めた経験があり、その後民間企業に所属していた技術者で、インタビューに対し「ここ数年数々の緊急事態が発生し、被災民をケアする必要があったために手薄となっていた予防面での活動を強化する必要がある」と述べた。
2.リモン石油精油所近代化プロジェクト
会計検査院がコスタリカ石油公社(Recope)と中国企業の共同出資契約を却下したことについて、ロドリゴ・アリアス大統領府長官は1日、Recopeの施設は老朽化が激しく、このプロジェクトが実行されなければRecopeは閉鎖を余儀なくされるかもしれないとして、会計検査院に再考を求めた。
3.2010年大統領選挙に向けた動き
(1)予備選候補者らは、国会内における支持獲得に奔走し、チンチージャPLN候補は国会内における代表をフェルナンド・サンチェス及びジルベルト・ヘレス議員に、一方でアラヤPLN候補はこれをアレクサンダー・モラ議員に託した。ベロカルPLN候補には国会内の支持者はいない。一方PACの16議員全員がソリス候補への支持を示している。
(2)PLNは24日及び25日、1月の地区総会で選出されたメンバーによる市総会を開催し、ここで、5月下旬に実施が予定されている県総会のメンバーとなる745名を選出した。PLNの選挙委員会によれば、総会は多くの市で95%以上の参加を得て開催された由。
(3)29日にPUSCの大統領候補登録が締め切られ、28日に登録を行ったカルデロン元大統領(汚職疑惑で係争中)が唯一の候補者となった。同立候補は8月の総会にて承認されねばならない。この立候補を支持しない旨以前より明言していたロレナ・バスケスPUSC議員は、PUSCが有する5議席のうち、3議員がカルデロン元大統領の大統領候補への擁立を支持する立場を示していることを受け、「彼らを代表することはできない」として今期限りで院内総務の職を降りることを明らかにした。
(4)28日、PACのマヌエル・サンチェス大統領予備選候補は、資金不足を理由に立候補を辞退し、ソリス候補への支持を表明した。
4.国会の新役員候補選出に向けての動き
(1)PLN内では次期議長ポストに名乗りを挙げる者が複数出ていたが、アリアス大統領は20日、与党議員と昼食懇談会の場を持ち、この場でパチェコ現議長の続投を望む旨、議員らを説得した。これによって、5月1日に投票にかけられる議長候補はパチェコ現議長と確定した。選出には29票が必要となる。
(2)各党は任期最後の1年となる5月1日からの新院内総務の選出をそれぞれ行った。PLN院内総務はホルヘ・メンデス議員に、PAC院内総務はアルベルト・サロム議員に、PUSC院内総務はホルヘ・エドゥアルド・サンチェス議員に決定した。
5.カルデロン元大統領の裁判
39.5百万ドルの医療器材購入をめぐる、カルデロン元大統領他の汚職疑惑に関する裁判について、同元大統領を含む8名の被告は、08年11月の裁判開始以来黙秘を続けていたが、14日、レイチェFischel元社長が初めて沈黙を破り、検察の尋問に応じた。同元社長は、検察側が提示した小切手や電子送金の証拠書類が真正であることを認め、フィンランドから贈与された金をパナマ駐在の企業の口座で受領し、それをカルデロン元大統領及びバルガス元議員がマイアミに架空の企業名で開設した口座に割り振っていた経緯を説明した。この他の被告については依然として沈黙を守っており、カルデロン元大統領の弁護士は、レイチェ元Fischel社長の証言の信憑性に疑問を呈している。
6.憲法法廷による判断
17日、憲法法廷は野党議員の訴えを認め、大統領府に対して、コスタリカ電力通信公社(ICE)と中国企業Huawei(「華」社)に関する情報提出を命じた。同要請を行ったサロムPAC議員は、アリアス兄弟は、政権就任以前より「華」社とコンタクトをとっていたと指摘しており、現在「華」社がコスタリカの通信市場に積極的に参入している事実とその過程にアリアス大統領が関連していると疑っている。また、サロム議員は、「華」社とオルトゥーニョBCIEコスタリカ支店長の関係も疑問視している。
7.豚インフルエンザ
メキシコで豚インフルエンザによる多数の死者が出ている事態を受け、コスタリカ政府は23日、豚インフルエンザ対策緊急委員会を設置し、24日には警戒宣言を発出した。
8.世論調査結果
(1)CID-Gallup社が4月に行った世論調査によれば、アリアス政権の支持指標は、経済運営と社会政策が高く評価された結果35ポイントとなり、任期が残り1年の時点での評価としては歴代政権の中でトップとなった。一方、懸案事項は治安であり、1月の調査では懸念を表明したのは26%であったのに対して4月の調査では32%に上昇している。また、アリアス政権を評価しない理由として、生活コストの上昇もあげられている。
(2)また、PLN党内の支持率については、昨年10月の段階ではチンチージャ候補の支持率が44%、アラヤ候補が41%であったものが、最新の調査では前者が43%に対し後者が50%となっており、形勢は逆転している。
II.外交
1.第5回米州首脳会議
(1)アリアス大統領は18日、トリニダード・トバゴで開催された第5回米州首脳会議に出席し、19日には中米諸国大統領と共にオバマ米国大統領との会談に臨んだ。アリアス大統領は、オバマ米大統領について、カリスマ性を持った大統領であり、これまでの態度を改め、強制することなく対話を行い、過去の歴代米国政権と中米との間で生じた問題の解決、両者間の関係改善・強化に貢献できる人物であると評価し、ホワイトハウスに国の規模とは関係なく平等に各国を扱う大統領がいることに非常に満足していると述べた。
(2)アリアス大統領は演説の中で、米州地域における近年の軍事予算の増加を強く批判し、改めて「コスタリカ・コンセンサス」を訴え、軍事費を削減し社会・教育・福祉分野での投資を行っている途上国に対し債務免除を行い、国際協力を実施するメカニズムを構築することを提案した。また、武器密輸への対策も求め、国連の場での武器貿易条約(ATT)の早期締結を望む旨述べるとともに、オバマ大統領がCTBT条約を批准する意思を表明したことに対する謝意を表明した。
(3)19日の中米諸国大統領とオバマ大統領との会談は、終始友好的な雰囲気の中行われた。中米諸国は、移民問題について米国政府の寛容な対応を求めると共に、世界経済危機対策のためのIDBへの増資及び、麻薬対策への予算増額を要請した。
2.ブラジル
報道によれば、米州首脳会議の場でブラジル政府との最終調整が行われ、貿易促進、農業、環境問題等につき意見交換を行うため、ルーラ伯大統領が本年6月1日にコスタリカを公式訪問することが決定した。
3.ウルグアイ
バスケス・ウルグアイ大統領は、米州首脳会議からの帰途、フェルナンデス外相等を伴って20日にコスタリカに到着し、太平洋岸の観光地ゴルフィートで休暇を取った後、23日から、二国間関係の強化を目的としてアリアス大統領との会談等の公式日程をこなした。バスケス大統領の訪問中、下記の合意文書に署名がなされた。
(1)良好な二国関係を確認し、第1回政策協議及び経済協力合同委員会の開催を通じ対話を強化していく旨の共同宣言
(2)コスタリカ電力通信公社(ICE)とウルグアイ通信公社(ANTEL)との協力
(3)郵便行政協力
(4)中米経営大学院(INCAE)とウルグアイ・カトリカ大学ISEDEとの協力
(5)コスタリカ・バイオテクノロジー・センター(CENIBiot)とモンテビデオ・パスツール研究所(INSTITUT PASTEUR DE MONTEVIDEO)との科学技術協力に関する覚書
4.中国
(1)14日から17日にかけて、上海において対中FTA第2回交渉が行われ、市場アクセス、原産地証明、関税撤廃品目及び手続き、動植物検疫、サービスと投資、知的財産権、紛争解決手続き等について個別会合が実施された。コスタリカ政府からはフローレス農牧大臣が出席し、両国代表は交渉の成果に満足の意を表明した。
(2)第3回交渉は6月15‐19日にリベリア市において開催される予定である。コスタリカ政府としては、同会合の機会に、中国の企業家に対して、リベリア周辺の観光インフラと牛肉関連施設を見せたいと考えている。また貿易省は、第3回会合に先立ち、5月28‐29日に、中国とのFTAに関心を有する企業等との意見交換会を開催する旨発表した。
5.シンガポール
20日から22日まで、シンガポールにおいてコスタリカ・シンガポール第1回FTA交渉が開催された。コスタリカよりはスニガ財務大臣及びフローレス農牧大臣が出席し、会合では交渉方式及び第2回交渉以降のテーマについて協議され、第4回交渉までに交渉妥結することで合意した。第2回交渉は7月にコスタリカ、第3回交渉は9月にシンガポール、要すれば11月に第4回交渉を開催する。
6.ニカラグア
29日、オルテガ・ニカラグア大統領はコスタリカ人に対する査証を廃止する大統領令に署名した。これにより、全てのコスタリカ人が査証なしでニカラグアへ渡航可能となった。ニカラグア政府は、サンフアン河問題に係る訴訟費用の捻出のため、2005年10月にコスタリカ人に対する査証発給に5ドルの手数料を要求してきたが、査証の廃止によりコスタリカ人観光客の呼び込みを期待している。
スターニョ外相は、査証については移民局との協議も必要であり、コスタリカ政府が相互主義に基づきニカラグア人への査証を廃止することは難しい旨コメントした。
5月
I.内政
1.第4通常国会期の開幕
(1)1日、国会で新たな幹部役員が改選され、任期最後の年となる第4通常国会期が開幕した。幹部役員の改選では、予想どおりパチェコ議長が再選を果たし、現行憲法下で初めて4期連続で議長を務めることとなった。その他の職についても、下記のとおり、与党PLN推薦の候補が全て第1回目の投票で選任された。
国会議長:フランシスコ・アントニオ・パチェコ(PLN)
副議長:マウレン・バジェステロ(PLN、女性)
第一書記:シニア・ニコラス(PLN、女性)
第一副書記:グジョン・マッセイ(RN)
第二書記:サンドラ・ケサーダ(PLN、女性)
第二副書記:サトゥルニオ・フォンセカ(PLN)
(2)アリアス大統領は1日、閣僚、国会議員、外交団を前に政権の3年間を振り返る演説を行い、特に今年は、経済危機と地震被害に見舞われたが、政府として「正しい対応を適確なタイミングでとったため」に被害を最小限に食い止めることができたと評価した。
(3)国会は与野党の対立ムードで開幕し、大統領府は20日、国会審議における優先案件を協議するためPACの代表と会合の場を持った。
2.アリアス政権の支持率
5月下旬にUnimer社が発表した世論調査結果によれば、アリアス大統領は就任後3年を経てなお、47%の国民に大統領としての職務遂行状況を「良い」「大変良い」と評価されており、これは、歴代大統領の任期最後の年の評価としては最も高い評価となる。一方、「悪い」「大変悪い」と評価した者は14%であった。
3.最大野党市民行動党(PAC)党内選の実施
31日に全国411箇所の投票所で行われたPAC党内選の結果、オットン・ソリス候補が71%、エプシー・カンベル候補が19%、ロマン・マカヤ候補が9%の得票率で、ソリス候補が02年、06年に続き3度目の大統領候補の座を獲得した。PACは4月30日に今次党内選に投票するための登録を締め切っており、投票権を有する市民は67,170名いたが、実際投票を行ったのは19,000人で、投票率は約29%に留まった。
4.PLN党内選への動き
(1)6月7日に党内選を控えたPLN内部では、主要候補であるチンチージャ前副大統領とアラヤ前サンホセ市長が激しい言論を繰り広げた。チンチージャ候補は昨年10月の政権離脱後、汚職疑惑等で支持率の下がっていた現政権と距離を置く姿勢を見せていたが、今般、自らの選挙キャンペーンでアリアス大統領の成果に言及するなど、再び現政権との関連性を強調する広報戦略を採り始めた。これに対してアラヤ候補は、現政権とチンチージャ候補がタイミングを合わせ同内容の広報を行っており、これはアリアス政権の選挙介入であるとして、場合によっては大統領を選挙最高裁に訴えると述べた。これに対し大統領府は、広報は1日の大統領演説をフォローするものであるとして、チンチージャ陣営との一切の関連性を否定した。
(2)前回4月の調査では、チンチージャ候補がアラヤ候補に支持率で7%の差を付けられた形となったが、5月初旬のCID-Gallup社の調査は実質的に2候補が並んだと発表し、5月末のUnimer社の調査は、チンチージャ候補がアラヤ候補に11%の差をつけてリードしている旨報じた。巻き返しの理由についてチンチージャ候補は「市民は経験と誠実さを見ている」と勝利を確信する発言を行い、アラヤ候補は「政府がチンチージャ候補に肩入れしているから」と述べ、政府の中立性欠如を批判した。
(3)チンチージャ候補とアラヤ候補は11日、それぞれに記者会見を持ち、各陣営の経済チームを発表した。
5.新党結成
10日、米・中米・ドミニカ共和国自由貿易協定(DR-CAFTA)に反対した勢力が2010年大統領選挙に向けて「愛国同盟」(Alianza Patriotica - AP)と称する全国規模の新党を結成した。同勢力には、ロランド・アラヤ元大統領候補など、特に元PLNの党員の顔が多く見られ、党首にはマリアノ・フィゲーレス氏(ホセ・フィゲーレス・フェレール元大統領の息子、ホセ・マリア・フィゲーレス元大統領の兄弟)が選出された。ロランド・アラヤ元PLN大統領候補はPLNに関し、「社会民主主義から新自由主義に思想を変え、今やアリアス兄弟の党となった」とコメントした。
6.その他
リモン港コンセッションに向け、政府と大西洋岸港湾管理・経済開発委員会の労組(Sintrajap)との間で賠償金交渉が続く中、政府は20日、再度労働者への補償金を検討する会合を開き、1人当たり、2.7百万コロン/年、最大20年間分を支払うことを提案した。これは前回の提示額の2倍にあたる。Sintrajapはこれを検討するとした。
II.外交
1.中米
(1)中米司法裁判所(CCJ)
昨年10月24日、コスタリカ政府が中米関税規則に違反しているとして、コスタリカ通関協会がコスタリカ政府をCCJに提訴していた事件につき、CCJは3月23日付でコスタリカ訟務庁(Procuraduria General)長官宛に訴えを受理する決定を伝えていた。右に関し、外務省は5日付でプレスリリースを発し、コスタリカはCCJ加盟国ではなく、その管轄権及び正統性を認めていない旨述べた。
(2)SICA特別首脳会合
アリアス大統領は20日にマナグアにおいて開催されたSICA特別首脳会合に日程上の都合を理由に欠席し、代理としてスターニョ外相が出席した。
2.パナマ
(1)コスタリカ外務省は4日付でプレスリリースを発し、民主的かつ平穏な選挙実施を可能としたトリホス大統領、当選を果たしたマルティネリ候補、パナマ国民に対する祝意を表明した。
(2)マルティネリ・パナマ次期大統領が22日から23日までコスタリカを訪問し、アリアス大統領と会談した他、中米経営大学院(INCAE)修了式において基調講演を行った。マルティネリ次期大統領は記者会見において、パナマは中米議会(PARLACEN)に何の付加価値も見いだせないと述べ、7月1日に大統領に就任した際には、パナマはPARLACENから脱退する手続きを開始する旨述べた。
3.ニカラグア
25日、7月にニカラグアからコスタリカに引き渡される予定である次期SICA議長国に関して、ニカラグアのコロネル外務次官がこれをコスタリカでなくグアテマラに引き渡したいと発言し、両国間での論争となった。これに対し、コスタリカのスターニョ外相は26日、グアテマラ外相と電話会談を行い、SICA議長国のローテーションを尊重するとのグアテマラの意志を確認したと述べ、コスタリカ外務省は不適切かつ敵対的なニカラグアの対応に遺憾の意を表明し、中米地域における法的枠組みの尊重を求めた。
4.米国
ルイス・ディエゴ・エスカランテ駐米コスタリカ大使は20日、オバマ大統領に信任状を奉呈した。オバマ大統領は同大使を通じて、先にバイデン副大統領がコスタリカを訪問した際の待遇に対する謝意を述べた。
5.カナダ
25日、オタワにおいて第一回コスタリカ・カナダ政治協議が実施された。カナダからは、Alexandra Bugailiskisラ米・カリブ担当副大臣が、コスタリカ側からはウガルデ外務副大臣が出席し、両国は、それぞれの外交重要政策を確認し合った。これは、6月4-5日に予定されているPeter Kent外務大臣のコスタリカ訪問の事前協議に当たる。
6.その他
(1)国連
コスタリカ政府は11日、国連事務局に対して、大陸棚の限界を定めるための暫定申請を行った。
(2)スリランカ
コスタリカ外務省12日付でプレスリリースを発出し、スリランカにおける人権状況の悪化に対し、安保理は沈黙を続けるべきではないと主張するとともに、LTTEに対し武装解除を呼びかけ、紛争当事者に対して国際人道法の尊重と人道支援の実施を訴えた。
(3)ロシア
ロシアとコスタリカは13日、外交樹立65周年の記念祝賀レセプションを開催した。
(4)北朝鮮
コスタリカ外務省は25日、北朝鮮の核実験に対する非難声明を発表し、北朝鮮に対して全ての核関連プログラムの中止を求めるよう、安保理で主張した。
6月
I.内政
国民解放党(PLN)党内選挙の実施
(1)2010年の大統領選挙に向けて、与党国民解放党(PLN)の大統領候補を決める党内選挙が7日全国1064箇所の投票所で行われた。同党内選挙において、アリアス政権の路線を継続するといわれるラウラ・チンチージャ、サンホセ市長として貧困層の支持を多く得るといわれるジョニー・アラヤ、そして前内務公安大臣のフェルナンド・ベロカルの3名の間で激しい選挙戦が行われ、7日21時半、チンチージャ候補が勝利宣言を行った。12日に集計作業を終えたPLN本部の発表によれば、最終結果は以下のとおり。
ラウラ・チンチージャ 55.51%(286,323票)
ジョニー・アラヤ 41.61%(214,619票)
フェルナンド・ベロカル 2.8%(14,872票)
投票者数 520,266人(全国選挙登録民270万人の約19%)
(2)チンチージャ候補は「他の政党は我々を伝統政党と呼ぶかもしれない。しかし、党史上初めて女性に率いられ大統領選に参加する今のPLNは、変化を象徴している。」「コスタリカの女性たちは今日、彼女たちに閉ざされた扉はないと悟ったはず」と述べ、「我々は変化を求める全ての人たちを歓迎する」と呼びかけた。またアラヤ候補とベロカル候補に対しても、自らの選挙キャンペーンに合流するよう呼びかけた。また同候補は、「我々が成功するとすれば、それはアリアス大統領の築いた成果の上に成り立つものである」と、アリアス大統領への讃辞も忘れなかった。
(3)対立候補のアラヤ氏は、チンチージャ候補の勝利はアリアス大統領を始めとする政府閣僚がチンチージャ候補に肩入れした結果であるとして、政府の非中立性を強く批判した。一方、アリアス大統領は9日、党内選結果について「コスタリカ国民がいつの日か女性大統領を選出することは、長年の自分の夢だった。今その夢が現実になろうとしている。」「PLN支持者が経験が豊富で、カリスマと知性のある女性を選んだのは当然のこと」と述べた。
(4)パチェコPLN党首は、今般の党内選が廉潔なプロセスによるものであることを強調するとともに、党内が出来るだけ早く党内選の対立によって生じた軋轢を乗り越え、一致団結して明年2月の大統領選に臨むことを希望する旨述べた。チンチージャとアラヤの党内選後初の会談は16日に行われたが、その後双方共に休暇に入ったため、両派間での次期議員ポスト、閣僚ポストの割り当てに向けた交渉は翌月に持ち越された。
2.その他政党における2010年大統領選に向けた動き
(1)市民行動党(PAC)
(イ)PACは3日、5月31日に行われた党内選の正式結果を発表し、各候補の得票率をソリス候補71.57%、カンベル候補18.82%、マカヤ候補9.60%と発表したほか、党の登録者数が66124名、この34%が投票した旨明らかにした。ソリス候補は、PACは引き続き国会議員候補の選出に取り組むとして、特別委員会が立候補者の条件を定め、立候補者がしかるべく登録した後、9月に80名からなる党の全国総会が国会議員候補を選出することになると述べた。PACの議員候補は、倫理、経済、社会面についての65時間の研修を受講しなければならない。
(ロ)15日、ソリスPAC大統領候補の選挙チームは、党内選の対立候補であったカンベル、マカヤ両氏の不在の中、PAC事務所に設置を完了した。同選挙チームを率いるのはフランシスコ・モリーナ議員。
(2)愛国同盟(AP)
2010年選挙に向けて、CAFTA反対派を中心に結成されたAPは19日、PACに対して、次期選挙における同盟を提案した。PACはこれに対して明確な返答を避けている。
(3)キリスト教社会統一党(PUSC)
(イ)26日夜から28日にかけて、PUSC総会が開催され、26日、カルデロン元大統領(90-94年)が2010年選挙に向けた大統領候補に選出された。カルデロン元大統領は現在、社会保険庁への医療器具購入に係る収賄の罪で係争中だが、党幹部はその無実放免を信じて疑わないとする発言を繰り返した。
(ロ)引き続き行われた27日の総会では、7県全ての議員候補計50名が選出された。まずフィッシュマン党首がサンホセ県の議員候補リスト筆頭にグロリア・ベハラノ氏(カルデロン元大統領夫人)を推薦し、これが承認された。次にカルデロン元大統領自らがフィッシュマン党首をリスト第二位に推薦、続いて第三位にグラシエラ・クルス弁護士(係争中のCCSS-Fichel裁判におけるカルデロン側第二弁護士且つカルデロンの従兄弟の嫁)が選出、承認された。また、プンタレナス県議員候補リストの第1位に指名されたロドルフォ・ソトマイオール氏(党青年部長)もカルデロンの側近と言われる。
(4)排除なき参画党(PASE)
オスカル・ロペスPASE議員は16日記者会見を開き、党の要請により、2010年の大統領候補として出馬することを発表した。
(5)自由運動(ML)
27日、139名からなるML総会は全会一致で、ゲバラを党首に再任した。
3.その他
(1)BCIE資金問題
2月27日、ロドリゴ大統領府長官は憲法法廷に対して、BCIE資金問題について会計検査院が行った調査は無効である旨主張する訴えを提出し、憲法法廷がこの訴えを受理していたが、ロドリゴ長官が6月2日、この訴えを取り下げていたことが明らかになった。よって、会計検査院は引き続き同長官に対する調査を進めることとなった。
(2)住宅都市開発公庫(INVU)総裁交替
住宅都市開発公庫(INVU)総裁が飲酒運転で逮捕され、22日に辞任したことに伴い25日、臨時閣議は建築家Agustin Mourelo氏を新たに総裁に任命した。
II. 外交
1.ブラジル
ブラジルのルーラ大統領が2日から3日にかけてコスタリカを公式訪問した。アリアス大統領及びルーラ伯大統領は、大統領府において会談し、コスタリカの次期SICA議長国就任を待ってSICA・メルコスール間での連携協定締結に向けた検討を開始する意向を表明した。ルーラ大統領は、CAFTAを締結しているコスタリカは、対米及び対伯輸出の大きなビジネスチャンスをブラジル企業に提供するとして、閣僚及びブラジル・エタノール業者に対し、コスタリカで起業するよう呼びかけ、企業ミッションの派遣を検討すると述べた。
2.カナダ
カナダのピーター・ケント国務相(外務・アメリカ地域担当)が4日、コスタリカを訪問し、スターニョ外相との会談において、中米地域情勢、人間の安全保障網、治安情勢について協議した。二国間関係については、カナダの国連安保理非常任理事国(2011年-2012年)への立候補に対するコスタリカの支持、コスタリカ人のカナダビザ取得問題等が話し合われた。ケント国務相は同じく、アリアス大統領やパチェコ国会議長他とも会談した。
3.SICA
(1)ニカラグアは19日に開催されるはずであったSICA首脳会合を「日程の都合」で延期とした。同会合には、アリアス大統領も出席する予定で、ここで議長国引き渡しが行われるはずだった。国内では、ニカラグアのハシント・スアレス議員に対する18日付のテレビインタビューが放映され、同議員はこの中で、オルテガ大統領がSICA各国の大統領に対して、議長国をコスタリカに引き渡すことを取り止めるよう引き続き働きかけていることを明らかにし、「アリアス大統領は、中米の首脳会合に全く顔を出さず、これらが無駄な会議だ等とぶしつけなことを言う。出席したくないというなら、その望みを叶えてあげようと思う」と述べ、もしコスタリカと折り合いが付かないのであれば、SICAはコスタリカを除く中米4か国とドミ共でやっていく可能性を検討すべきであると述べた。
(2)SICA首脳会合は最終的に29日にニカラグアにおいて開催され、これに出席したアリアス大統領は演説の中で、「我々は他国を尊重し、他のSICAメンバーに対して、ある一定の政治的立場をとるように、もしくはとらないように助言したことなどないし、ましてや他国の立場をボイコットしたりしたことはない。」「SICA機関にはコスタリカが支持するものもあれば、そうでないものもある。それは、あなた方と同様に主権を有するコスタリカの権利である。あなた方とは違い、コスタリカは地域制度から離脱したり、地域組織の提案を拒否したことはない。」と述べ、中米議会や中米司法裁判所に加盟しないとするコスタリカの立場は決して地域統合の意志に反するものではないことを強調した。
4.キューバ
(1)コスタリカ外相とキューバ外相は26日、二国間協力・貿易、対移民サービスの強化に関する、今後のスケジュールを記したロードマップを正式に交換した。その主な内容は、以下のとおり。
(イ)教育、文化、厚生、科学技術分野における交流を促すような協力枠組み合意の交渉に入り、両国委員会を設置して定期的に会合の場を持つ。
(ロ)商業・貿易関係の強化についても具体的な合意の可能性を図る。
(ハ)サンホセ・ハバナ間の移民の流れを秩序あるものとするための対話、情報共有、協力を活性化させる。
(ニ)両国外務省は、2009年後半に両国間で展開すべきワーキング日程を数週間のうちに決定する。
(2)キューバとの国交回復が実現して以来、在キューバ大使人事が注目されてきた。アリアス大統領はフェルナンド・ドュラン元コスタリカ大学学長に同ポストをオファーしたが、ドュラン氏は自分の居場所はあくまでも学界であるとしてこれを受け入れず、最終的に6年以上在キューバ総領事を勤めてきたホセ・マリア・ペナバッド氏がキューバ大使に任命された。
5.ホンジュラス
(1)28日朝8時頃、突然ホンジュラスを追放されたセラヤ大統領がサンホセの空港に降り立った。アリアス大統領は急遽空港へ向かい、両大統領は空港で記者会見を行った。セラヤ大統領は「自分は引き続きホンジュラス大統領であり、国際社会に対する支持を求め、故国への帰還を希望する。」と述べ、アリアス大統領に受け入れを感謝すると同時に、政治亡命を求める理由はないと述べた。一方アリアス大統領は、今般「クーデター」に対する強い遺憾の意を表明し、「今回の事態はホンジュラスのみならず、地域の民主主義における大きな後退である。中米の民主主義は、こうした惨事が二度と起きないまでに成熟したものと思っていた。」と述べ、国際社会がこれを弾劾することを求めた。
(2)セラヤ大統領は28日20時頃、ベネズエラ政府の手配した航空機によりマナグアへ発った。
(3)コスタリカ国内の政治家、有識者等は一様に今般の事態に対する強い遺憾の意を表し、セラヤ大統領への支持を表明した。また、アリアス大統領に対して、ホンジュラスの民主主義回復に向けた先導者となるよう求めた。
(4)コスタリカ国会は29日、セラヤ大統領に代わって大統領に任命されたミチェレッティ・ホンジュラス国会議長を非難する目的で、同隣国のクーデター行為を拒絶し、セラヤ大統領の一刻も早い復権を求める旨の決議を出した。
6.その他
(1)23日にポルトガルのリスボンで開催された第11回行政・国家改革イベロアメリカ会議にロベルト・ガジャルド計画大臣が出席した。
(2)コスタリカのラウラ・トンプソン・ジュネーブ国連代表部大使が29日、国際移住機関(IOM)の事務局次長に選出された。
7月
I.内政
1.各政党における2010年大統領選挙に向けた動き
(1)国民解放党(PLN)
PLN内部では、議員候補や次期政権の閣僚候補選定に向けた各派閥間の厳しい交渉が行われ、チンチージャ派とアラヤ派が同交渉において何らかの合意に達し、党が一丸となって2010年選挙に臨むことができるかどうかが注目された。当初アラヤ氏は自らをサンホセ県の議員候補に含めることを求めて、チンチージャ派の対応を「閉鎖的」と批判していたが、最終的にチンチージャ候補は自らの政府における閣僚候補にアラヤを据えることに前向きな姿勢を示し、アラヤが議員立候補を断念することで、23日、両派は勢力配分において合意に達した。またチンチージャ候補は30日、党関係者との昼食会においてベロカル元候補を2010年に発足する政権の政策企画グループに含めることを発表した。PLN内部での議員リスト作成を巡る取引は、8月の党総会まで続くが、少なくとも党内選元候補である3者の間で合意が成立したことによって、党分裂の危機は回避することができた。
(2)市民行動党(PAC)
3日5時、PACにおける議員立候補希望者の登録が締め切られ、党側は211名の希望者があったと発表した。ボラーニョスPAC事務局長は、2010年選挙におけるPACの議員獲得目標数は29議席であると述べた。
(3)愛国同盟(AP)
(イ)APのマリアノ・フィゲーレス代表は5日、もし同盟が成立するのであれば、オットン・ソリスPAC大統領候補はAPと共同の大統領候補になり得るとして、PACに対し、同党との選挙同盟を受けるか否かの返答を早急にするよう求めた。AP設立メンバーのカンポス元議員は、「PACが前回選挙と同様の勢いを保っていると思っているのであれば、それは大きな間違い」とPACの煮え切らない態度を批判した。
(ロ)これに対し、26日に開催されたPAC総会は、オットン・ソリス候補を党として正式に承認するとともに、APとの選挙同盟は行わないが、党の倫理観に適った分野においてであれば政策協調を行うことができる、とする決議を採択し、事実上、PACとAPの同盟の可能性は崩壊した形となった。
(4)自由運動(ML)
11日に開催されたML総会において、オットー・ゲバラ党首が3度目の大統領候補に選出された。同氏はこれまで、大統領ポストと議員ポストに重複して立候補するとしてきたが、これを「党のイメージ向上のため」に断念し、大統領候補としての活動に専念すると宣言した。ML総会は、25名の国会議員候補についても正式に選出し、同候補らは、当選した場合はその給料の3%を党の活動のために出資すること、また離党した場合は議席を放棄する旨を宣誓した。サンホセ議員候補リストの筆頭はパトリシア・ペレス氏。
(5)広域戦線(FA)
FAは25日サンホセ県総会を開き、トレホス・コスタリカ工科大学(TEC)学長を次期大統領候補とすることを決めた。トレホス学長はCAFTA反対派の代表的な人物であり、FAの同提案を受け入れた模様。この決定の後、TEC理事会はトレホス学長に対して、学長職に専念できないのであれば辞任を求めるとしていたが、同学長は正式な返答を保留し続けている。ホセ・メリノFA党首は、「トレホス学長は大統領候補でありながらが学内に留まる権利を有している」と述べ、辞任を求めるTEC学内の動きを批判した。
2.世論調査結果
27日付ディアリオ・エクストラ紙は「Borge y Asociados」社が7月に実施した最新の世論調査結果を発表し、チンチージャPLN候補が圧倒的な支持を得ていると結論づけた。これによれば、もし今日が投票日だったら誰に投票するかとの質問に対し、46.5%がラウラ・チンチージャ(PLN)と回答した由。これに続いたのは、「誰にも投票しない」で23%、オットン・ソリス(PAC)が9.5%、オットー・ゲバラ(ML)が8.5%、ラファエル・アンヘル・カルデロン(PUSC)が6.3%。
3.選挙法改正案の国会審議
国会では8年越しの選挙法改正案に対し、300近い動議が提出されるなど、与野党の間で激しい議論が繰り広げられていたが、28日、本会議は漸く一回目の審議にてこれを承認(賛成票42、反対票はMLによる3票)した。ソブラド選挙最高裁(TSE)長官は特に、同法案が株式会社からの選挙献金を禁じたことについて、「選挙の透明性を高めるための大きな一歩」であるとして高く評価した。同法案が10月までに二回目の本会議承認を経て可決されれば、2010年選挙からの適用が可能となる。
4.カルデロン元大統領裁判
昨年11月に始まり、これまでに147名の証言が行われたカルデロン元大統領の裁判は27日から、検察側と弁護側がそれぞれの結論を裁判官に対して述べる最終段階に入った。検察側は27日、各種証拠をもとに、収賄容疑の主犯格は同大統領であった旨結論付けた。
5.その他
イギリスの「The New Economics Foundation」社が2年ごとに発表する報告書によれば、コスタリカは世界で最も幸福度の高い国となった。第2位はドミ共、第3位はオーストラリア。
Ⅱ.外交
1.ホンジュラス情勢
(1)アリアス大統領は2日、テレビ記者会見を開き、自分は民主主義信奉者として、その政策や個人的思想はともかく、民主的に国民によって選出された政府を支持する義務があるとして、あらゆる外交手段を用いて今般のホンジュラスの政治的危機を乗り越える努力に協力すると述べた。
(2)アリアス大統領は7日、セラヤ大統領とミチェレッティ・デファクト政権大統領、そしてクリントン米国務長官から電話を受け、「双方が誠意を持って対処することを条件に」ホンジュラスの紛争の仲介者を引き受けることとなった旨発表し、これを名誉なことであると述べた。
(3)9日、アリアス大統領私邸においてまずセラヤが、続いてミチェレティがそれぞれ仲介役であるアリアス大統領と二者会談を行ったが、セラヤ、ミチェレティとも直接対面することを拒否したため、最終的に双方の代表から成る委員会を編成して、解決策を探ることとなった。
(4)10日、アリアス大統領が調停するセラヤ派、ミチェレティ派双方代表による話し合いは、5時間にわたったものの最終的に決着がつかず、具体的成果を出すことなく終了した。
(5)10日、ベネズエラのチャベス大統領は、アリアス大統領の調停について、「北(米国)から指示を受けた重大な間違い」であると述べ、「一国の大統領(アリアス)が盗人(ミチェレティ)に対し、合法的大統領であるセラヤと同等の待遇を与えているとは、何と愚かなことか」と述べ、ミチェレティはコスタリカで逮捕すべきであったと述べた。
(6)大統領府は15日、18日にアリアス大統領の仲介により、双方代表団による対話が再開される旨発表した。
(7)ニカラグアのオルテガ大統領は17日、アリアス大統領が和解のための政府を提案したことについて、「クーデターを起こした犯罪者と合法的な政府を一緒にしようなどというのは非常識な提案」と批判した。
(8)18日正午、アリアス大統領は双方代表団に対して以下の7点を提案した。
-セラヤ大統領の復職
-双方代表を含む「団結のための政府」の設置
-紛争の起因となった全ての政治犯罪の恩赦
-合意遂行を監視する「実証委員会」の設置
-選挙の一ヶ月繰り上げ(10月最終日曜日の実施)
-選挙の透明性と平穏を確保するため、選挙実施1ヶ月前に、国軍の指揮権を政府から選挙最高裁に移譲
-セラヤ大統領に対し、今後非合法的ないかなる世論調査、国民投票の実施をも控えることを求める
(9)アリアス大統領の仲介による対話プロセスは19日15時まで続いたが、ミチェレティ派はセラヤの復職を断固として認めず、最終的にいかなる合意にも至らず決裂した。アリアス大統領は会合終了後、ホンジュラスでの流血事態を防ぐために、自分は引き続き72時間、各方面と調整する努力を行うと述べた。
(10)72時間経過後の22日17時過ぎ、アリアス大統領は大統領府において、セラヤ派、ミチェレティ派代表団同席の下、上記(8)の7点の提案を含む「サンホセ合意案」を読み上げ、同合意案を受け入れるか否かは双方の意志に任せるとした。しかし、ミチェレティ派はセラヤの復職にあくまでも同意せず、同対話プロセスは幕を閉じた。
(11)28日、トゥストラ首脳会合出席のためコスタリカを訪問中のカルデロン・メキシコ大統領は、「中米各国は、ホンジュラスの対立する両派がサンホセ合意案を受け入れるよう、強く推進すべきである」と強調した。
2.SICA
外務省は1日、コスタリカがSICAの議長国に就任した旨コミュニケにて発表し、その中で、議長国として特に、中米・EU連携協定交渉の完結、SICAとMERCOSURとの関係強化、中米統合銀行(BCIE)の資本強化に重点的に取り組むと述べた。また同コミュニケは、コスタリカが、6月28日にホンジュラスでクーデターが同国の憲政秩序を乱すという困難な時に議長国を勤め、同国の民主制度回復に向けた恒常的な調整と対処を推進する義務を負うこととなったと述べた。
3.ニカラグア
2005年9月にコスタリカがニカラグアを提訴していた、両国間のサンフアン河航行権問題について13日、国際司法裁判所(ICJ)が判決を下した。同判決は、以下の点においてコスタリカ側の主張を認めたが、唯一、コスタリカは警察の任務を担う航行権は有さないとし、たとえ沿岸地域の警察の任務に関連するものであっても、河川上の武器や弾薬の輸送及び警察官の移動は許されないとした。
(イ)コスタリカがサンフアン河において、乗客運搬及び観光目的の商業的航行を、金銭面も含め、ニカラグアの如何なる規制も受けることなく行うことができる。
(ロ)サンフアン河のコスタリカ側沿岸住民は、その生活の必要性を満たすための同河川の航行において何の制限をも受けることはなく、コスタリカ河岸からの生活のための漁獲を自由に行うことができる。
(ハ)コスタリカ側沿岸住民に対する基本的公共サービスのため、公務員が同河川を航行することを妨げない。
コスタリカ外務省はこれを歴史的判決であり、コスタリカ外交の勝利であるとして、サンフアン河がニカラグアの領土であることは国際的事実であり争点ではないものの、ニカラグアの同河川に対する主権が無制限・絶対ではないことが証明できたことを喜びとする旨の声明を発表した。
4.パナマ
(1)アリアス大統領は1日、パナマのマルティネリ大統領の就任式に出席した。
(2)マルティネリ大統領は15日、保健衛生施設を視察するためコスタリカを訪問し、アリアス大統領と会談した。同大統領によれば、パナマの非効率的保健衛生制度は、コスタリカの保健衛生分野における効率性及び病院管理から学ぶところが多くある由。両大統領は両国間の自由貿易協定についても協議した。
5.アルゼンチン
タチェッティ外務筆頭副大臣が3日、コスタリカを訪問し、ウガルデ外務副大臣との間で二国間協議を実施した。両副大臣は両国間の友好関係を更に発展させるための政治諮問制度設置のための覚書きに署名するとともに、コスタリカがSICA議長国である2009年後半に、SICAとMERCOSURの関係を発展させる旨約束した。
6.第11回トゥストラ対話と協調メカニズム首脳会合の実施
(1)27日から29日にかけて、グアナカステ県サンタ・クルス市においてトゥストラ首脳会合が開催され、アリアス大統領、グアテマラのコロン大統領、エルサルバドルのフネス大統領、パナマのマルティネリ大統領、コロンビアのウリベ大統領、メキシコのカルデロン大統領とドミニカ(共)のアルブルケルケ副大統領及びベリーズのベガ第一副首相、そしてインスルサOEA事務総長が出席した。ホンジュラスのセラヤ大統領(代理としてメヒア副大統領が出席)とニカラグアのオルテガ大統領は欠席した。
(2)最終日29日には6つの骨子73項目から成るグアナカステ宣言が採択された。その要旨は以下のとおり。
(イ)政治課題:民主主義と人権擁護の観点からホンジュラスでのクーデターの発生を非難する。アリアス大統領により提案されたサンホセ合意案を支持する。麻薬や銃器取引等の国際組織犯罪を撲滅すべく域内各国の協力関係を推進する。
(ロ)メソアメリカの統合・開発計画に関する課題:同地域のインフラ整備として、コスタリカが中心となり、「太平洋回廊促進のためのメソアメリカ国際幹線道路網建設計画」(Aceleracion de Corredor Pacifico de la Red Internacional de Carreteras Mesoamericanas(RICAM))を推進する。パナマが調整役となり海上輸送に関するインフラ整備とサービス向上を図る。メキシコが調整役となり域内インフラの電子化を図る。
(ハ)経済・貿易・金融課題:ラテンアメリカの環太平洋地域経済圏を実現し、同域内の経済統合を推進、アジア諸国、太平洋諸国及びEU諸国との経済関係を強化する。
(ニ)域内協力:教育面において、メキシコがSICA諸国の大学院留学生を100名受け入れ、留学を通じて将来を担う人材の能力向上、競争力を強化する。保健衛生面では、特に新型インフルエンザ対策に関して各国間が協力する。環境面では、生物資源、気候現象、大陸内の水資源利用、人体に無害な食料供給、自然災害対策等について各国間が協力する。
(ホ)地域・多数国課題:各国が持続的発展を達成するため、気候変動問題を重視し、国連気候変動枠組み条約及び京都議定書の枠組み内において、公正かつ有効な手段を講じる。人権問題、青少年問題に対処するための域内の各種制度を構築、強化する。
(ヘ)緊急課題:経済危機の原因を究明し、発展途上国におけるダメージを修復するべく短期的及び長期的な手段と行動を講じ、特に社会的弱者を救済すべく対処する。新型インフルエンザ等の世界的な医療問題に効率的に対処するため、世界保健機関や米州保健機関と連携を強化する。
(ト)2010年にコロンビアで、2011年にパナマでトゥストラ対話と協調メカニズム首脳会合を実施する。
7.メキシコ
トゥストラ首脳会合に出席するためにコスタリカを訪問したカルデロン・メキシコ大統領は30日、サンホセにおいてアリアス大統領と会談し、地域の治安問題、新型インフルエンザ対策、気候変動問題、二国間の経済・貿易関係及び観光分野における両国間の協力強化、文化・芸術交流の活性化について協議した。
8.その他
(1)第27回学際的人権セミナー
アリアス大統領は6日、米州人権機構(IIDH)が主催する第27回学際的人権セミナーに出席して冒頭演説を行い、この中で、ラ米地域における軍事強化の傾向を強く非難した。
(2)ベネズエラ
ロドリゲス環境大臣は9日、ベネズエラ当局より、6月11日、12日にセント・クリストファー・ネーヴィスで開催された第6回ペトロカリブ首脳会合に、手違いでコスタリカが招待されなかった事実を陳謝する旨の書簡を受けたと述べた。コスタリカは同首脳会合でペトロカリブに加盟することを模索していたが、そもそも招待されなかったためにこれは実現しなかった。
8月
I.内政
1.閣僚交替
5日の閣僚会議後、アリアス大統領は記者会見において、スニガ財務大臣、マルティン法務大臣、モラレス労働大臣が一身上の都合により辞職することが承認され、この後任として、それぞれフィリップス財務大臣(前副大臣)、パリス法務・平和大臣、ゴンサレス労働大臣(前副大臣)が任命された旨発表した。辞任した3名の大臣はいずれも次期国会議員選挙に出馬する予定。
2.2010年大統領選挙に向けた動き
(1)21日、PLNの党全国総会が終日開催され、同党の国会議員候補リストが確定された。チンチージャ大統領候補はこの日に合わせ、党内各派と約2ヶ月間の粘り強い交渉を行っており、当日は「自分にとって各派閥の割当は存在しないに等しい。PLNは既に内部の境界線を消し去り、一つの党となった。個人にラベルを付けることはしない。」と述べ、党が一丸となって2010年選挙に臨むことを強調した。
今般選出された41名の議員候補の内、チンチージャは少なくとも30議席の獲得を予測している。同41名のうち、議員経験者は4名のみであり、その他の候補者は多くが市議会議員を経ているものの、国会議員は初めての者ばかりである。
(2)コスタリカ工科大学(TEC)理事会は、広域戦線(FA)の大統領候補として出馬することとなったエウヘニオ・トレホス学長に辞任を求めていたが、最終的に、トレホス学長が有休を使って選挙活動を行うことで両者の協議は落ち着いた。
(3)アリアス大統領が議員立候補するために辞任したマルティン法務大臣について「政府を去ってしまうのは非常に残念であるが、今後は国会から頑張ってもらいたい」と述べたことに対し、PACのセルヒオ・アルファロ議員が「政府関係者の中立性」を定める選挙法第88条に違反するとして選挙最高裁(TSE)に訴えていたが、TSEは7日、この調査に取りかかった。
(4)愛国同盟(AP)は30日、総会においてロランド・アラヤ氏を大統領候補に選出した。
(5)世論調査結果
CID-Gallup社が5日から14日にかけて実施した世論調査によれば、もし今日が大統領選挙当日だとした場合の投票結果は以下のとおり(誤差±3%)。
ラウラ・チンチージャ(PLN) 43%
オットン・ソリス(PAC) 26%
オットー・ゲバラ(ML) 8%
ラファエル・アンヘル・カルデロン(PUSC) 6%
3.新型インフルエンザ
アリアス大統領が新型インフルエンザにかかり、11日から18日にかけて公務を欠席、休養した。
4.移民法、選挙法の改正
現政権就任以前からの懸案事項であった移民法及び選挙法の改正案がそれぞれ4日と11日に国会で可決され、19日にアリアス大統領によって署名された。これら新法の署名式には、国会各党派の代表も出席した。新選挙法は主に、選挙プロセスにおける女性の均等参加(男女交互の議員候補リストの導入、但し2014年より)、政治献金に関わる不正防止のための規制強化、政党への国の補助制度の改訂とその減額(GDPの0.19%から0.11%へ)等を新たに導入する。新移民法は6ヶ月後の2010年2月に発効予定。
5.BCIE資金問題問題
ロドリゴ・アリアス大統領府長官は20日、会計検査院の求めに応じて出頭し、50分にわたってBCIE供与資金の使い道について再度これを正当化するとともに、同長官は常に良心に基づいて行動し、国庫に損害を与えたことはなく、罰則の対象とはなり得ないことを強調した。
6.アリアス大統領が国会通過の法案に拒否権
アリアス大統領は、国会が承認したサンホセ市街中心地に民芸品販売のための建物を置くことを認める法案について、政府の観光地整備計画と相反するとして5日、これに拒否権を発動した。国会はこれを廃案とした。
7.法務省改名
国会は法務省の名を「法務・平和省」と改名する旨の法案を承認し、コスタリカは世界で4番目(ラ米で初めて)の「平和」の名を持つ省庁を有する国となった。
Ⅱ. 外交
1.スペイン副首相及びイベロアメリカ会議事務局長の当国訪問
2日から3日にかけて、スペインのデ・ラ・ベガ副首相及びイグレシアス・イベロアメリカ会議事務局長が当国を訪問し、アリアス大統領他とホンジュラス問題解決のための協議を行った。デ・ラ・ベガ副首相はアリアス大統領と2国間関係についての協議も行った。
2.中米裁判所
コスタリカ外務省は6日、ニカラグアのマナグアで開催された中米裁判所で、コスタリカ税関協会がコスタリカ政府を提訴した問題について、そもそも、コスタリカは中米裁判所の加盟国ではなく、従って、中米裁判所はコスタリカ国内において何ら司法権の行使も法的権限も有しないと主張した。
3.中国
(1)7日、当国コスタリカ大学内に中国孔子学院が開設された。
(2)21日、中国政府は昨年11月胡錦濤国家主席がコスタリカを訪問した際の合意に基づき、当地中国大使館を通じてサッカーボール1万個及び自転車1千台の供与を実施した。右は全国の教育機関、刑務所等に配布されることとなり、供与式には、スターニョ外相、干波(Yu Bo)在コスタリカ中国臨代、パリス法相、マタ教育省副大臣、パンドルフォ・スポーツ副大臣他が出席した。
4.ホンジュラス
(1)18日、当地ホンジュラス大使館モラサン公使参事官は、「セラヤ大統領の指示により、デファクト政権の体制を支持している当地ホンジュラス大使館のスアソ臨時代理大使を13日付で解任した」旨、また自らが臨時代理大使に就任することを通報した。コスタリカ政府も、ロダス外相から同様の書簡を受領しており、これを承認した。
(2)スターニョ外相はOAS外相委員会の一員として24、25日にホンジュラスを訪問した。
(3)コスタリカ外務省において27日、SICA加盟国外相会合が開催され、各国外相は、次の2点で合意した。
-ホンジュラス憲法秩序の即時回復と、セラヤ大統領の復権を全面的に支援する。
-8月31日に招集されるOAS常設委員会の特別セッションにおいて、ホンジュラス憲法の下での秩序を再構築するための新たな提案がなされることを支持するとともに、現在の憲法の破壊された状態から生れた政府は承認しないことを改めて表明する。
5.ニカラグア
当国外務省ウガルデ副大臣は、24日から28日にかけてニカラグアとの国境地域を訪問し、サンフアン河の航行権に関する今般のICJ判決につき、地域住民に説明を行った。
6.パナマ
28日、スターニョ外相はパナマ寄り国境地域のシクサオラ及びチャンギノラを訪問し、バレラ・パナマ外相と会談して、国境地域の治安及び観光等について協議した。また両外相は、ここ数年台風及び深刻な洪水の被害を受けたカリブ海岸の国境地域の被害削減のための対策に関しても合意した。
9月
I.内政
1.観光大臣の辞任
ベナビデス観光大臣は9日、チンチージャPLN大統領候補の選挙活動を支援するために辞表を提出し、右は同日、閣僚会議にて受理された。残任期間はアラン・フローレス大臣(前副大臣)が大臣職を務めることとなる。
2.第188回独立記念式典
14日及び15日の両日に亘り、旧都カルタゴ市及び首都サンホセ市において、アリアス大統領、全閣僚の出席の下、コスタリカの独立188周年を記念する式典が行われた。
3.BCIE資金問題
会計検査院は17日、調査報告書を発表し、ロドリゴ・アリアス大統領府長官に対するBCIE資金管理問題の責任は問わない旨決定を下した。
4.2010年大統領選挙に関する動き
(1)市民行動党(PAC)の議員候補選出
19、20日両日、PACが全国総会を開催し、この場で159名の議員立候補者の中から30名の次期国会議員候補が選出された。男女比率はほぼ半々。議員候補に政治家としては経験の浅い者ばかりが選出されたが、この点についてソリス大統領候補は「新米であることは弱点ではなく、刷新力である」と述べた。また総会は、もしPAC議員が当選後に離党することがあれば、離党者は党に対して補償金を支払うよう義務付けることで合意した。
(2)愛国同盟(AP)の議員候補選出
APは20日、総会を開き、24名の次期国会議員候補を選出したが、サンホセ第一位の候補者にロランド・アラヤAP大統領候補意中の人物(リスベス・ケサーダ元住民擁護官)が選出されず、代わりに選出された労組関係者の周辺人物に牛耳られる可能性に憤慨した同大統領候補が総会を退出するハプニングが起きた。その後、AP党内では和解が図られた模様だが、今般の出来事は、新たに2010年選挙に向けて結党されたAP内部の多様性とまとまりのなさを露呈した形となった。
(3)野党による選挙同盟の失敗
2010年大統領選に向けて、かつてのCAFTA反対派野党が結束し、与党に対抗する選挙同盟を結ぶことができるかどうかが注目されていたが、広域戦線(FA)大統領候補に選出されたトレホス工科大学学長やロランド・アラヤAP大統領候補等、CAFTA反対派の代表的人物が、同盟のためのタイムリミットは既に過ぎてしまった、もはや野党同盟の可能性は残されていないと続けて発言し、野党選挙同盟への道は完全に閉ざされた。
(4)9月発表の世論調査結果
(i)Borge & Asociados社(8月18日~30日実施)
- 問:もし今日が大統領選だったら、誰に投票するか
- ラウラ・チンチージャ(PLN) 43.0%
- オットー・ゲバラ(ML) 9.0%
- オットン・ソリス(PAC) 8.3%
- ラファエル・アンヘル・カルデロン(PUSC) 3.8%
- 誰にも投票しない 20.3%
- 問:(「来年2月の次期大統領選に投票する」と回答した76%に対し)誰に投票するか。
- チンチージャPLN候補支持 55%
- ソリスPAC候補 13%
- ゲバラML候補 13%
- カルデロンPUSC候補 6%
- ロランド・アラヤAP候補 2%
- 態度未決定・白票 13%
5.住宅都市機構(INVU)総裁の更迭
大統領府は16日付で、アグスティン・モウレロ都市住宅機構(INVU)総裁を更迭し、後任としてアルフレド・ボラーニョス氏を任命した旨発表した。モウレロ氏はINVU予算を巡り、アリアス大統領に何の相談もなく憲法法廷に訴えたことにより、大統領府の不興を買っていた。
6.その他
(1)国会において、政教分離を求める憲法改正案が提示され注目を集めた。カルタゴのウジョア司教は、アリアス第一次政権時代から、政府とカトリック教会の間には調和のとれた関係が必要であるとの立場が採られてきたことを指摘し、憲法でカトリックを国教と定めた規定の排除に着手しないよう訴え、次期大統領選挙でこのような法案を支持する者には投票すべきでないと訴えた。一方報道によれば、アリアス大統領は、教会と国家の関係は良好であり、従来から既に政教は分離しており、憲法中にカトリック教を公式なものと規定することは止めるべしとの意見である、但し、憲法中の神への言及は、カトリック、プロテスタント、イスラム、ユダヤとは関係ないので、右は残して然るべしとコメントしている。たらないと述べた。
(2)国会は16日、23日から発効するはずだった厳罰化された交通法規定の導入を6ヶ月遅らせる旨承認した。いずれにせよ、飲酒運転(2-8年の禁固刑)、公道におけるカーレース(1-3年の禁固刑)及び脅迫的運転(1-3年の禁固刑)は予定通り23日に発効する。これら以外の罰則については現在、3つ(PLN、PUSC、MLそれぞれ提出のもの)の法案が提出されており、特別委員会がこれらを審議する。
(3)モラ長官及びカルサーダ第四法廷長は11日、加企業「Infinito」がクルシータス地区にて行っている掘削作業は違憲であるとの訴えに対する判決の判断資料としてクルシータス地区を視察し、反対派と賛成派の意見を聞いた。これに基づき、報告書が作成されて、最終的な第4法廷の結論が出される予定。
Ⅱ. 外交
1.中国
(1)コスタリカ石油公社(Recope)とペトロチャイナの合弁事業
今年3月に、当国会計検査院が却下したRecopeとペトロチャイナのモイン石油精製所の拡張工事計画に関する合弁事業について、会計検査院は3日、これを承認した。Recopeによれば、モイン石油精製所の拡張工事によって年間2億ドルの利潤を得ることができる。Recopeは今後少なくとも15年間は石油精製所を借款することになるが、その後同石油精製所を購入することも可能となる。
(2)2010年上海万博
9日付報道によれば、08年11月17日にコスタリカ政府と上海万博委員会との間で署名された協定には秘密条項が盛り込まれており、この中で中国は、コスタリカに対して2010年の上海万博に参加するための諸経費として65万ドルの援助をオファーしていた。同万博は、世界から192カ国及び48の国際機関が参加予定で、中国政府による参加国リストにはコスタリカも入っている。
2.ホンジュラス
(1)アリアス大統領は、14日、アリアス大統領は、米国国務省ケリー国務次官補代理(西半球担当)と、ホンジュラス問題解決のために協議した。
(2)アリアス大統領は16日、5名のホンジュラス大統領候補者を官邸に迎え、会談した。出席者のうち、アビラ・キリスト教民主党候補、ロボ国民党候補、サントス自由党候補及びアギレラ革新統一党候補の4人が声明文に署名した。ハム民主統一党候補は、セラヤ大統領の復権をホンジュラス大統領選挙の前提条件としており、他の4人の大統領候補者達を「偽善者」として、同声明文に署名しなかった。
(3)国連総会に出席するために訪米中のアリアス大統領は、21日、クリントン米国務長官とホンジュラス問題解決のための協議を実施した。
(4)ホンジュラスのデファクト政権のミチェレティ大統領は、「セラヤ氏のホンジュラス帰還を以て、アリアス大統領のホンジュラス問題の仲介者としての役割は終了した」と発言した。
3.国連
(1)アリアス大統領は国連において22日、全世界で5人の首脳のみが気候変動に関してのスピーチを行う中、中進国の代表として演説を行った。
(2)アリアス大統領は24日、第64回国連総会の一般演説を行った。またアリアス大統領はCNNのインタビューに応え、ホンジュラス情勢、コロンビアの米軍基地及び南米諸国の軍事支出の3点について言及した。
(3)25日、アリアス大統領は国連安保理事会の討論会に出席した。
4.アラブ諸国
(1)パレスチナ
国連総会に出席するため訪米中のアリアス大統領は、23日、アッバース・パレスチナ自治政府大統領と会談し、パレスチナが隣国イスラエルと同等の権利を有することを改めて支持するとともに、パレスチナが一国家として国際社会で承認されるようコスタリカは今後も努力する旨伝えた。
(2)カタール
同日、アリアス大統領は、ハマッド・カタール首長と会談した。カタールはコスタリカに対する投資を検討しており、同首長はここ数ヶ月以内にコスタリカを公式訪問する予定。
(3)クウェート
24日、アリアス大統領は、ナーセル・クウェート首相と会談した。
5.アリアス大統領のマイアミ講演
29日、アリアス大統領はマイアミのフロリダ大学で開催された、マイアミ・ヘラルド社紙主催の米州会議において、「将来は我々の責任にかかっている」と題して、主にホンジュラス情勢について講演した。
6.米国
29日、コスタリカ外務省において、在コスタリカ・ブレナン米国大臨代とスターニョ外相との間で、米国がメリダプランの枠内で、コスタリカに対する麻薬対策のために100万ドルの追加資金援助を行う旨の協定に署名が行われた。同署名式には、ベッキオ内務公安大臣及びアンティジョン報道大臣も同席した。右支援の内、7万6千ドルがマネーロンダリング対策に、90万ドルが、一般麻薬犯罪を捜査するための警察器材の購入、警察官の研修及び戦略計画等に当てられる。
7.ベネズエラ
29日、在コスタリカ・ピネダ・ベネズエラ大使は、ALBA諸国の外交団、知識人、芸術家、学生及びベネズエラ国営機関の関係者等を招待し、ベネズエラ、ニカラグア、キューバ、メキシコに続き、サンホセにおいて「平和基地」の開所式を実施した。同「平和基地」構想は、コロンビア領土内に米軍基地7カ所を設置することを許可したコロンビアのウリベ大統領、反対派の市民が今年8月6日、ベネズエラのチャベス大統領と会合を持った際、チャベス大統領が米国の政策に対抗して中南米に議論の拠点を設立することを提案したことに由来する。
8.その他
(1)13日から21日まで、コスタリカにおいて第4回平和省地球会議が開催された。同会議には日本も含めて世界38カ国から約200名が参加し、平和の文化創設の目的で討論が行われた。アリアス大統領は開会式において、世界は平和実現のために軍事費ではなく貧困削減のために予算を使用すること、理想主義でなく現実問題に対処すべくプラグマティズムが大切であること、コスタリカでの法務・平和省設置のためにチンチージャ元法務大臣(PLN次期大統領候補)が尽力したこと等に言及して演説を行った。
(2)30日、ロドリゴ・アリアス大統領府長官は閣議後の定例記者会見の場で同日付で、ホセ・マリア・ペナバ(Jose Maria Penabad)氏(81歳。外交官、作家、ジャーナリスト)を在キューバ・コスタリカ大使に任命した旨発表した。
10月
I.内政
1.カルデロン元大統領裁判
サンホセ裁判所は5日、検察が汚職と公費横領の罪で24年を求刑していたカルデロン元大統領を全会一致で有罪とし、禁固5年の判決を下した。これによって同元大統領は10ヶ月の審理の後、コスタリカ史上初めて汚職による有罪判決を受けた元国家元首となった。また、バルガス元社会保険庁長官にも同等の禁固5年、ボラーニョス元社会保険庁幹部には3年6ヶ月、Walter Reicheフィッチェル元社長については同4年の有罪判決が下された。
裁判結果について、それぞれの弁護士は最高裁(第三法廷)に破棄裁判を申請すると述べており、同申請が行われた場合、今般有罪判決を受けた7名に対する禁固刑の執行は、第三法廷が何れかの判断を下すまで先延ばしとなる。
2.次期大統領選に向けた動き
(1)大統領選・国会議員選公示
7日、当国選挙最高裁判所は、来年2月7日に実施予定の大統領・副大統領選挙、国会議員選挙、市会議員選挙を公示する式典を同裁判所内講堂にて開催し、71政党の参加する選挙戦の幕が切って下ろされた。選挙期間中は政府公報も禁じられる。
(2)与党PLN副大統領候補の決定
12日、PLNの党設立58周年祝賀式典の席において、チンチージャ候補は2名の副大統領を発表した。チンチージャ候補は、第一副大統領には生物多様性研究所(通称INBio)のアルフィオ・ピバ取締役を指名し、同氏は自らの政権の環境政策を取り仕切る旨述べた。また、第二副大統領候補にはルイス・リベルマンScotiabank社長を指名した。リベルマン氏は自ら、「経済界をまとめる大役を仰せ使った」と説明した。
(3)ML、副大統領候補及び議員候補の選出
オットー・ゲバラML大統領候補は3日、ML総会に於いて、次期大統領選挙におけるML副大統領候補に、マリオ・キロス国会議員及びロレナ・サン・ロマン女史を指名したことを発表した。MLは5日には議員候補を選出した。
(4)PUSC大統領候補の交替
5日に禁固5年の有罪判決を受けて大統領候補を辞退することとなったカルデロン元大統領の後釜として、PUSC議員候補は9日、ルイス・フィッシュマン党首を擁立することを決定した。同決定はPUSC総会にかけられ、依然として党内で多大な影響力を有するカルデロン元大統領の「お墨付き」を得て承認された。
(5)各政党による立候補者登録
7日から23日まで、各政党はそれぞれの大統領、副大統領、国会議員、市議会議員候補の立候補登録を行い、最終的に登録された9政党の大統領・副大統領候補は以下のとおり(政党名アルファベット順)。
(i)排除亡き参画党(PASE:Accesibilidad sin Exclusion)
- 大統領候補:オスカル・ロペス・アリアス(38歳、現職議員)
- 第一副大統領候補:アグネス・リリアナ・グティエレス
- 第二副大統領候補:ミゲル・カルデロン・フェルナンデス
(ii)市民行動党(PAC:Accion Ciudadana)
- 大統領候補:オットン・ソリス・ファジャス(55歳、経済学者、元PLN議員、PAC創設者)
- 第一副大統領候補:モニカ・セグニニ・アコスタ
- 第二副大統領候補:フリオ・ハンフレイズ
(iii)愛国同盟(AP:Alianza Patriotica)
- 大統領候補:ロランド・アラヤ・モンへ(62歳、化学技術者、元PLN議員)
- 第一副大統領候補:ロシオ・バラオナ・リエラ
- 第二副大統領候補:ディオニシオ・カバル
(iv)広域戦線(FA:Frente Amplio)
- 大統領候補:エウヘニオ・トレホス・ベナビデス(50歳、現コスタリカ工科大学学長)
- 第一副大統領候補:カルメン・チャコン
- 第二副大統領候補:ウィルメル・マタリタ
(v)国民統一(PIN:Integracion Nacional)
- 大統領候補:ワルテル・ムニョス・セスペデス(50歳、PIN創設者、元PIN議員、医師)
- 第一副大統領候補:アルバロ・モンテロ・メヒア
- 第二副大統領候補:ビビアン・ゴンサレス・トレホス
(vi)国民解放党(PLN:Liberacion Nacional)
- 大統領候補:ラウラ・チンチージャ・ミランダ(50歳、政治学者、元PLN議員、副大統領)
- 第一副大統領候補:アルフィオ・ピバス・メセン
- 第二副大統領候補:ルイス・リベルマン・ジンスバーグ
(vii)自由運動(ML:Movimiento Libertario)
- 大統領候補:オットー・ゲバラ・グス(49歳、ML党首、弁護士及び企業家)
- 第一副大統領候補:マリオ・キロス・ララ
- 第二副大統領候補:ロレナ・サン・ロマン・ヨハニング
(viii)コスタリカ刷新党(RC:Renovacion Costarricense)
- 大統領候補:マイラ・ゴンサレス・レオン(56歳、元ティバス市長、弁護士、政治学者)
- 第一副大統領候補:カルロス・アルベルト・ビケス・アラウス
- 第二副大統領候補:ホセ・フランシスコ・エレラ・ウマニャ
(iv)キリスト教社会統一党(PUSC:Unidad Social Cristiana)
- 大統領候補:ルイス・フィッシュマン・ゾンジンスキ(62歳、元PUSC議員、大臣、副大統領、弁護士、企業家)
- 第一副大統領候補:ウンベルト・バルガス・カルボネル
- 第二副大統領候補:イリス・サモラ・スンバド
3.10月発表の世論調査結果
(1)Unimer社(実施期間:9月9日~15日)
( i )アリアス大統領に対する支持率は4ヶ月前の前回調査とほぼ変わらず、約半数47%の国民がアリアス大統領の采配を「良い」「非常に良い」と評価していることが明らかになった。これは、歴代大統領の3年目の支持率としては最も高いものとなる。一方、「悪い」「非常に悪い」とのマイナス評価は17%で、前回と比して3%の増加。
( ii )政府に対する「良い」「非常に良い」との前向きな評価は、大統領のそれに比して26%と低く、今般の調査では「悪い」「非常に悪い」と回答した者が、前回調査から10%増え、27%となった。政府に対しては、「国家予算の執行状況が効率的でない(34%)」「問題解決能力はあるが、時間がかかる(41%)」もしくは「問題解決能力はあるがそのための努力を何もしていない(33%)」「一部の利益のために機能している(73%)」といったコメントが挙げられた。
(2)CID-Gallup社(実施期間:17~25日)
( i )各大統領候補の支持率
- チンチージャPLN候補 44%
- ソリスPAC候補 18%
- ゲバラML候補 12%
- フィッシュマンPUSC候補 10%
( ii )政党に対する支持率
- PLN 41%
- PAC 16%
- PUSC 11%
(3)Demoscopia社(実施期間:13~22日)
( i )各大統領候補の支持率
- チンチージャPLN大統領候補 53%
- ゲバラML候補 15.7%
- ソリスPAC候補 12.3%
- アラヤAP候補 3.7%
- フィッシュマンPUSC候補 1.5%
- ロペスPASE候補 0.6%
- トレホスFA候補 0.2%
( ii )2月7日に投票する予定か。
- 投票する 76.2%
- 未定 16.6%
- 投票しない 6.2%
- 無回答 1.1%
( iii )アリアス大統領は30日、Demoscopia社の世論調査結果において、77.2%の国民がアリアス大統領を誇りに思うと回答した事実について「感動した。今後も、最も虐げられた人たちのために努力し続ける」と述べた。また同世論調査は、アリアス政権運営を前向きに評価する人は78%で、閣僚の内で最も評価の高かったのはアビラ厚生大臣の46.6%であった。
4.国会副議長の小型飛行機不正使用疑惑
(1)バジェステロ国会副議長(与党PLN)が、公安警察の小型飛行機を利用して11日に自宅に置き忘れたパスポートを取りに帰り、そのついでに、リベリア市で開催された市のPLN集会に参加したとして、この利用が公用機の私的利用及び選挙公示後の国会役員の中立性に反するとして、野党が強く批判した。
(2)この事実について、13日、ダラネセ検事総長はバジェステロ副議長が公共財を個人の利益のために利用したかどうかについて調査を開始した旨発表した。また、ロドリゴ・アリアス大統領府長官も「結果の重大性を顧みない行為」と非難し、ベッキオ内務公安大臣に対して、本件の経緯を調査するよう求めた。
(3)チンチージャPLN大統領候補はプレスリリースにて、本件をPLNの選挙倫理委員会の審査にかけることとした旨発表した。
(4)デル・ベッキオ内務公安大臣は、19日にロドリゴ・アリアス大統領府長官に対し、今般飛行機使用問題に関する報告書を提出し、この中で、使用許可を出したマドリガル公安副大臣は使用目的の詳細を聞いて居らず、当然のことながら国会副議長としての公務に関係する目的であると信じて疑わなかったとして、公安省に責任はないと断言した。
5.吊り橋崩落事故
(1)22日、当国アラフエラ県のサンホセ県との県境にて吊り橋が崩落する事故が発生し、通行中のバス乗客5名が死亡した。国内では、2007年にJICAが行った橋梁状況調査報告書において、国内の橋の多くが老朽化し、危険な状態にあると警告していたにも拘わらず、放置していたとして公共事業運輸省に対する批判が高まった。アリアス大統領は23日夜、緊急に修復の必要な国内の橋10基の改修工事に1,500万ドルを充てる事を命じた。
(2)ゴンサレス公共事業運輸大臣は26日、事故の責任を取って辞任する旨発表した。翌日、アリアス大統領は右を認めると同時に、同大臣の業績を賞賛する書簡を公表した。
Ⅱ.外交
1.カストロ外相のアジア訪問
10月、カストロ外相が自身二度目のアジア訪問としてカタール、インド及び中国を訪問した。カタールではハマド首長と会談した他、コスタリカ大使館の開館式に出席した。インドではクリシュナ外相及びラメシュ環境相と会談した他、コスタリカ大使館の開館式に出席した。中国では、楊潔チ外相及び回良玉・国務院副総理と会談し、FTA等の経済関係促進の他、治安対策、環境、航空産業等に関する協力について協議した。またカストロ外相は中国において、アジア太平洋地域のコスタリカ大使(日本、韓国、中国、シンガポール、カタール及びインド)と会合を持ち、同地域への外交戦略について協議した。
2.対ニカラグア紛争
10月、コスタリカ政府はサンフアン河浚渫に関連し、ニカラグア軍がコスタリカ領土(Isla Calero地域)に侵入し、またコスタリカの環境に重大な影響を及ぼしていると告発し、その後本件はIsla Calero地域の帰属を巡る国境紛争に発展した。解決のための二国間対話の目途が立たず、11月、コスタリカの要請に応じてOAS緊急理事会が開催され、国境付近に駐留するニカラグア軍の撤退勧告を含む決議が採択されたが、ニカラグア軍は撤退せず、OASの調停能力の限界が露呈された。またコスタリカはICJに対し、ニカラグアによる領土侵入と環境破壊の中止を求めて提訴した。12月には、メキシコ及びグアテマラが、本件紛争の仲介を行う意思を表明したが、実を結ばなかった。コスタリカは本件を主権に関わる問題として重視し、カストロ外相を中心に各国や国連の場においてコスタリカの立場を説明し支援を求めた。
3.多国間関係
(1)10月26日、チンチージャ大統領がコロンビアで開催された第12回トゥクストラ対話と協議メカニズム・サミットに出席し、民主主義体制の強化、環境保護、治安対策等について協力を訴えた。
(2)12月4~6日、チンチージャ大統領は亜で開催された第20回イベロアメリカ・サミットに出席し、対ニカラグア紛争に関するコスタリカの立場を説明し協力を求めた。また、各国代表と個別に会談し、協力を働きかけた。
(3)12月9日、メキシコ・カンクンで開催されたCOP16に、コスタリカ代表としてピバ副大統領が出席し、炭素中立化等、コスタリカの気候変動への取り組みを発表するとともに、先進国に具体的アクションを求めた。また、同副大統領はカストロ外相とともに記者会見を実施し、対ニカラグア紛争に関する立場を説明した。
4.その他
(1)10月10日、中国人権活動家の劉暁波氏のノーベル平和賞受賞について、チンチージャ大統領が劉氏の活動を評価する発言をし、「友人同士の間では注意深く見つめ合うことも大事である」と述べ、中国の人権状況を批判するコメントを発表した。他方で、その直後の14日、同大統領は、中国の援助で建設中の国立スタジアムを中国大使の案内で訪問し、中国との友好関係をアピールした。また、その場では劉氏のノーベル平和賞受賞に関する言及を避けた。
(2)10月27日、コスタリカ政府は、キルチネル前亜大統領逝去に関し、弔意を表するコミュニケを発表した。
(3)11月1日、コスタリカ政府は、10月31日の伯大統領選挙でジルマ・ルセーフ氏が勝利したことに関し、伯政府及び国民に祝意を表するコミュニケを発表した。
(4)11月23日、コスタリカ政府は、北朝鮮による韓国・延坪島への砲撃を非難するコミュニケを発表した。
(5)コロンビア・ウリベ前政権で内務法務大臣と駐伊大使を務めたサバス・プレテルト・デ・ラ・ベガ氏が、10月初頭ローマにおいて、在伊コスタリカ大使館に対して政治亡命を申請していたが、コスタリカ政府は政治的迫害の証拠がないとして右申請を拒否した。
11月
I.内政
1.マルコ・バルガス公共事業運輸大臣の任命
3日、アリアス大統領は今般吊り橋落下による5名の死亡事件の責任をとって辞任したゴンザレス前公共事業運輸(MOPT)大臣の後任として、マルコ・バルガス調整大臣を任命する旨発表し、4日閣議にてこれが承認された。
2.2010年大統領選に向けた動き
(1)9日、ソリスPAC大統領候補は、PACが政権に就いた際に実施する政策をまとめた文書を発表し、その中で貧困対策と競争力向上を強調した。
(2)選挙キャンペーンが加熱し、特にチンチージャPLN候補とゲバラML候補の間で激しい相互批判が繰り広げられた。ゲバラ候補は、チンチージャが内務公安大臣を務めた90年代前半頃から治安は悪化してきていたのに、チンチージャは自らが副大統領兼法務大臣を務めた現政権においてさえ適切な治安対策を怠ったと批判し、厳格な犯罪取締を約束するキャンペーンを大々的に展開した。
3.ロドリゲス元大統領他の起訴
当地検察庁は6日付で、ミゲル・アンヘル・ロドリゲス元大統領(1998-2002)他9名を汚職の罪で起訴した。起訴書類によれば、ロドリゲス元大統領らは、保険庁(INS)が英国の再保険会社に支払う、電力通信公社(ICE)の再保険査定額を水増し請求し、その余剰分を出張費や物品購入に充てたり、関係者の間で分配した疑いが持たれている。ロドリゲス元大統領はICE-Alcatel事件においても起訴されており、同審理は2010年2月15日開始の予定。
4.小型飛行機不正使用疑惑
(1)公安警察の小型飛行機を私的に利用した疑いが持たれているバジェステロ国会副議長は23日、捜査に全面的に協力するとして、自発的に議員免責特権を放棄した。
(2)ラ・レプブリカ紙は9日、内務公安省の報告によれば、アリアス兄弟は現政権において、自ら経営する砂糖製造工場「Taboga」に23回、公用小型機を利用して行っていたと報じた。
5.ラテンアメリカで最も汚職の少ない国
Transparency Internationalの調査は、コスタリカを、チリ、ウルグアイに続きラテンアメリカでは3番目に汚職の少ない国と評価した。
Ⅱ.外交
1.ニカラグア
(1)2日、当地ラ・ナシオン紙は、ニカラグアのオルテガ大統領の子息2人が同国リバス最高選管委員長がコスタリカに所有する住宅に居住しており、中立的立場にあるべきリバス委員長はオルテガ大統領と癒着していると報じた。
(2)アリアス大統領は3日、ニカラグア最高裁がオルテガ大統領の再選を可能とする判断を下したことが、2003年にコスタリカの憲法法廷が大統領再選を可能とする判断を下したことと比較されている点に関し、「コスタリカ司法は完全に独立しているが、ニカラグアでは裁判官は政党に属し、司法の独立はない。」と述べ、これらの判断の経緯は「水と油のように」全く異なるものであると強調した。
(3)26日及び27日付当地ラ・ナシオン紙は、ニカラグアのリバス最高選管委員長(CSE)及びその家族が、在コスタリカ・リバス・ニカラグア大使の名義で購入された外交官ナンバーの車を使用しており、本来であればこれは違法である旨報じた。
2.中米裁判所
(1)コスタリカ税関業者協会が政府を提訴した事案に関する中米裁判所の判決に対して、コスタリカ外務省は3日付で右を強く批判するプレスリリースを発出し、コスタリカ政府は同裁判所を承認しておらず、判決は全く無意味であると主張した。
(2)11日付当地ラ・ナシオン紙は、「中米司法裁判所は、加盟国であるグアテマラ、ホンジュラス、エルサルバドル及びニカラグアにおける選挙不正、クーデターには沈黙を守り、加盟国でないコスタリカの内政に、折りにふれて干渉してくる。中米司法裁判所はコスタリカとパナマ抜きでは中米を代表しているとは言えない。」とするスターニョ外相の中米司法裁判所に関する投稿記事を掲載した。
3.米国
アリアス大統領は2日、クリントン国務長官からの電話を受け、ホンジュラス問題に対するアリアス大統領の功績についての謝意、祝意を受けた旨述べた。アリアス大統領はこれに対して「未だ課題は沢山残されている。合意が確実に履行され、現実となるかどうかは、各政党の意志に拠るだろう」と応えた旨説明した。
4. 韓国
10日、韓国で開催された経済協力セミナーに、ガジャルド国家計画・経済政策大臣及びシバハ経済大臣が出席し、韓国とコスタリカはe-learningに関する協力覚書を締結した。
5.国連
11日、当国ウガルデ外務副大臣は、国連安保理において「軍事衝突に際しての市民保護」と題するスピーチを行い、市民の保護は平和維持のための基本要素であり、国連安保理は、軍事衝突に際して、詳細かつ適切な情報を被害者のサポートのために収集する必要があると主張した。
6.アリアス大統領の中東諸国公式訪問
アリアス大統領が、22日から29日まで、トルコ、イスラエル、パレスチナを公式訪問した。同行したスターニョ外相は、出発前の記者会見で、「アリアス大統領は、中東諸国を訪問し、パレスチナの政府高官に対して軍縮の利点を説明する。」と述べた。
(1)トルコ訪問(23~26日)
アリアス大統領は23日にトルコに到着、翌24日にはチェヒール大学を訪問し、名誉博士号を授与された。また、同大学とコスタリカの国連平和大学の間で交流協定が署名され、毎年5名の学生を交流させることが決定した。同日晩、アリアス大統領は、トルコの財界関係者と両国間の経済・貿易関係について懇談した。25日には、アリアス大統領はギュル大統領、エルドアン首相及びサヒン国会議長と会談し、両国間の大使館開設、将来の自由貿易協定等について協議した。
(2)イスラエル及びパレスチナ訪問(26~29日)
アリアス大統領は26日、イスラエルを訪問し、ネタニャフ首相とエルサレムの武力衝突、国境問題、難民問題、定住問題、治安問題等について議論した。また、アリアス大統領は、イスラエルのIntel社を訪問し、同社が6500名の労働者を雇用し、経営が順調にいっている実績に鑑みて、同ノウハウをコスタリカのIntelにも活用したい旨述べた。
また、28日にはパレスチナを訪問し、ファイャード首相と会談した。アリアス政権は2008年にパレスチナを国家承認しており、アリアス大統領はパレスチナを訪問した最初のコスタリカ大統領となった。アリアス大統領は、イスラエルとパレスチナの紛争解決策として、コスタリカが1948年に軍隊を廃止した経験を引用し、パレスチナも軍隊を廃止するよう助言し、「パレスチナは、イスラエルと対決するための軍備を拡張することを廃止し、国の経済発展に力を入れるべきである。」と述べた。
29日には、ナチスに虐殺された約600万人のユダヤ人のために献花し、また、国家の森と呼ばれる木を植林した。その後、アリアス大統領は、イスラエルのペレス大統領と会談した。ペレス大統領は、「コスタリカは恐らく将来の模範国であり、コスタリカは軍隊ではなく教師の国である。将来世界は軍隊ではなく教師に支えられる世界になるであろう。そして、コスタリカがそのモデル国家になるであろう。」と述べた。
7.アリアス大統領の第19回イベロアメリカ・サミット出席
(1)アリアス大統領は、30日~12月1日、ポルトガルのリスボンで開催された第19回イベロアメリカ・サミットに出席し、この場で29日に実施されたホンジュラス大統領選挙のプロセス及び結果を承認する旨の発言をした。アリアス大統領は、「ホンジュラス国民から選出された新大統領がいる。国際社会は、近い将来同大統領を承認するであろう。さもなければ、ホンジュラス国民が苦渋を味わうであろう。」と述べた。他方、複数の南米諸国が「見せかけに過ぎない」等としてこれを承認せず、今次サミットの場では、同選挙に関するラ米諸国のコンセンサスは得られなかった。
(2)イベロアメリカサミット開会前に、アリアス大統領は、エルサルバドルのフネス大統領、パナマのマルティネッリ大統領、ドミニカ共和国のフェルナンデス大統領、スペインのサパテロ首相及びニカラグアとグアテマラの外相と共に、スペインのフアン・カルロス国王と会談した。
(3)演説の中でアリアス大統領は、ラ米諸国が教育費を犠牲にして多くを軍事費に費やしているとして批判し、ラテンアメリカ諸国が真に発展を望むのであれば、直ちに知的水準の向上によって国家競争力をつけ、私企業の発展を促進し、生活水準の向上を図るべきであり、軍事費は削減すべきであると主張した。
8.SICA
外務省は24日付でコミュニケを発出し、12月にコスタリカで開催予定であったSICA首脳会合が中止になった旨発表し、2010年1月1日からは、規約どおり、SICA議長国はコスタリカからパナマに移る旨述べた。
9.その他
(1)APEC
ルイス貿易大臣は、シンガポールで開かれたAPEC会合にオブザーバーとして出席し、シンガポールのルーング貿易大臣及び同国財界人と会合した。また、当地各紙は、メキシコのルイス経済大臣が同会合の場において、コスタリカ及びコロンビアは共に太平洋に面し、アジア諸国との重要な経済関係を有しており、APECに加盟するのに十分な資格を有すると発言した旨報じた。
(2)グルジア
16日の週、ナルバンドフ・グルジア外務副大臣がコスタリカを訪問し、ウガルデ外務副大臣との間で、両国間の政治、経済、文化等に関するメカニズム構築のための覚書に署名した。また、ナルバンドフ外務副大臣は、貿易省、貿易促進機構、観光庁他も訪問した。
12月
I.内政
1.2010年大統領選に向けた動き
(1)3日、次期総選挙のOAS監視団代表、マリア・エマ・メヒア氏(元コロンビア外務副大臣)がコスタリカを訪問し、TSE及び各大統領候補と会合を持った。60~70名で構成される同監視団は、コスタリカ政府の要請に基づき派遣され、1月中旬より当地で選挙活動を監視する。
(2)TSEは3日、クリスマスと年末休暇を尊重するため、16日から1月1日までの期間は、集会やTV、ラジオを通じた選挙広報が禁止される旨の法令を公布した。一方各大統領候補らは同期間中、各コミュニティの年末年始の祭りに姿を見せ、自らパレードやワークショップに参加するなどして住民の支持獲得を図った。
(3)PLNは17日、正式に政府計画(Plan de Gobierno)を発表し、特に治安対策、貧困削減と生産力強化に力を入れることを主張した。一方、チンチージャ大統領候補は「続ける」「継続する」「確立する」といった言葉を多用し、自らの政権は昨年まで自分が副大統領だった現政権の延長上にあることを強調した。
(4)TSEは21日、新選挙法197条に基づき、新たな票の集計作業の流れについてその解釈を発表し、伝統的に行われていたTSEによる票の再集計作業は行わず、選挙当日夜に各投票所が発表する集計結果が正式結果となることを発表した。これによれば、TSEの作業は、各投票所の報告内容を確認することに留まり、1)1位と2位の大統領候補者の得票差が2%未満の場合、2)投票所の提出書類に誤りがあった場合、2)投票管理に瑕疵があったとの訴えがあった場合、3)票集計作業時に少なくとも3名の政党監視者が同席しなかった場合、にのみTSEによる票集計を行うこととなる。
これに対し各政党からは、「選挙プロセスの信憑性にかかわる問題」「民主主義の後退」として批判的な意見が上がっている。
2.国会関連
(1)新住民擁護庁長官の国会指名
8月7日で満期を迎え退職したリスベス・ケサーダ住民擁護官の後任として、25名の立候補があり、国会における同選出プロセスが難航していたが、15日、懸案の投票が漸く実施され、結果としてオフェリア・タイテルバウムPLN議員が30票(与党PLN票23票、野党票7票)を獲得して選出された。同選出においては、25名の候補者の中から、国会が身内の議員を選出することの公平性及び与党議員の独立性が問われ、与党議員が選出されたことについて、野党等から強い批判が相次いだ。
(2)タイテルバウム元議員は翌16日議席を辞し、パチェコ国会議長による宣誓式を経て17日、5代目住民擁護官に就任した。タイテルバウム元議員の後任には同17日、PLN選挙リスト順に沿ってラスカレス元マナグア領事が就任した。
(3)22日、国会は閉会した。原則としては1月18日に開会する予定だが、議員らの間では、選挙の前月に国会を召集しても、人が集まらずに国会は機能しないとして、選挙後の再開を求める声も上がっている。いずれにせよ、4月末までは特別国会期のため、国会を召集するかどうかは政府の意思にかかっている。
3.その他
(1)カラソ元大統領の逝去
9日午後、コスタリカのカラソ元大統領(Rodrigo Carazo Odio、職位1978~1982年)が、心臓病のため当地メキシコ病院で逝去した(82歳)。
(2)文化青年副大臣交替
ラウラ・パチェコ文化副大臣が11月27日に個人の都合により辞任したため、カルバージョ文化大臣は9日、94年から文化省に勤務する、マリベル・サラサール同省総務局長を副大臣に任命した。
(3)民主主義への信頼度調査
9日に発表された世論調査「Latinobarometro」によれば、コスタリカ国内での民主主義への信頼度は昨年の67%から74%へと今年1年で盛り返し、中南米では3番目に高い支持率となった。1位はベネズエラ(84%)で、2位はウルグアイ(82%)。また、アリアス大統領への評価は10段階の5.7で、これはルーラ伯大統領、バチェレ智大統領に次いで高い評価となっている。
Ⅱ.外交
1.アリアス大統領のスペイン訪問
ポルトガルで開催されたイベロアメリカサミット首脳会合に出席した後、スペインを訪問したアリアス大統領は2日、サラマンカ大学で、フェリペ皇太子、同大学の教授、学生及びコスタリカ人留学生の臨席の元、同大学オルテガ学長から名誉博士号を授与された。また、アリアス大統領は、ランサロテ・サラマンカ市長より、アリアス大統領の「平和の使者」としての功績を称え、「サラマンカの鍵」を授与された。
2.中国
1日、中国のアブドゥレシティ副主席は、コスタリカを訪問し、コスタリカと中国との政治及び協力関係発展の目的で、パチェコ国会議長(大統領代行)と会談した他、コスタリカの民主体制及び政策を研究するために国会議員等と会談した。
3.カナダ
カナダのミカエル・ジャン総督が13日から15日にかけて当国を訪問した。ジャン総督は13日にサンホセに到着し、14日には、リモン市を訪問し、「市の鍵」を受け取り、同地域の各セクターの指導者達と会談した。また15日にはアリアス大統領と会談し、観光及び投資分野でコスタリカに対し一層協力することをオファーした。 一方アリアス大統領は、ジャン総督に対して、現在コスタリカ人がカナダに入国するためにはグアテマラでカナダの査証を取得しなければならない不便性を解消するために、サンホセにカナダ領事館を開設するよう要請した。
4.外務省による2009年回顧
15日、スターニョ外相はアリアス大統領同席の下、2009年度のコスタリカ外交政策の最終報告を行った。スターニョ外相は、今年7月に国際司法裁判所で出されたサンファン河に関する判決、ホンジュラス問題解決に際してのアリアス大統領のサンホセ合意提示等の仲介役としての貢献、グアナカステで開催されたトゥストラ対話と協調メカニズム会合、アリアス大統領の中東歴訪等をコスタリカ外交の成果の一部として言及した。またスターニョ外相は、コスタリカは国連安保理の非常任理事国としての任期は今年12月31日で満了するが、この間コスタリカは、国連安保理の制度改革に尽力し、軍縮のテーマに関して積極的に参加したことを強調した。
5.ニカラグア
(1)コスタリカ外務省は4日、当地ニカラグア大使館に対し、ニカラグア最高選管委員長及びその家族が、当地ニカラグア大使館の外交特権を利用した外交官ナンバーの車を使用している事実は違法である旨通報した。ラ・ナシオン紙が同事実を掲載したことについて、当地ニカラグア大使は、同紙の行為は非礼且つプライバシーの侵害であると非難し、当国外務省宛の口上書(17日付ラ・ナシオン紙は同全文を掲載)で、同紙の本件取材行為を規制するよう要請した。これに対し、コスタリカ外務省は、表現及び報道の自由はコスタリカ憲法上明記されたものであるとして、同大使の要請を退けた。
(2)また22日付ラ・ナシオン紙によれば、当国外務省は17日、財務省に対し、当地ニカラグア大使館の外交特権を利用した外交官ナンバーの3台の車を、ニカラグアの最高選管委員長及びその家族が使用することを禁止する措置を講じるよう要請した。同様に、当国内務公安省は、脱税容疑でニカラグアの最高選管委員長及び同夫人、本件関係者に対する捜査を開始した。
(3)23日、サントス・ニカラグア外相は、当地ニカラグア大使館の外交特権を利用した外交官ナンバー車両の使用に関し、「正規の手続きである」とコメントし、「中米外相間の紳士協定として、国家に関する事柄に関しては、通常報道機関に情報の提供はしない」と述べた。
6.第15回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP15)
ロドリゲス環境大臣はアリアス大統領の代理としてコペンハーゲンで開催されたCOP15に出席し、気候変動に関するスピーチを行い、コスタリカの違法森林伐採防止や植林その他の森林保護の努力がクリーン開発メカニズム(CDM)の恩恵を受けていないのは大きな間違いであると述べるとともに、「自然との共存」と称するコスタリカの総合的な環境保護政策について説明した。
7.エジプト
エジプトのエル・ジマイトゥ外務副大臣は8日、コスタリカを訪問し、ウガルデ外務副大臣と両国間の政治・経済関係発展及び両国間の外交官養成アカデミーの交流等について会談した。
8.その他
(1)メソアメリカ・プロジェクト
7日付当国外務省コミュニケは、メキシコで開催中のメソアメリカ・プロジェクト(ベリーズ、コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア、パナマ、メキシコ、ドミニカ(共)、コロンビアで構成)が、エレイン・ホワイト元コスタリカ外務副大臣(現外務大臣室長)を常任理事に選出した旨発表した。
(2)国連安保理
コスタリカは31日を以て、国連安保理非常任理事国としての2年の任期を終了した。
(3)3年前よりUNDPラ米・カリブ地域局長を務めていたグリスパン・コスタリカ元副大統領(フィゲレス政権(1994-1998))が8日、UNDP事務次長に任命された。