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2010年のコスタリカ内政・外交情勢



1月 |  2月 |  3月 |  4月 |  5月 |  6月 |  7月 |  8月 |  9月 |  10・11・12月




1月


I.内政


1.2010年選挙に向けた動き


(1)各政党は選挙活動停止期間の解けた1月2日から、1ヶ月後に迫った選挙に向けて、各地区での集会や党員による家庭訪問など、選挙前最後の戦略的支持要請活動を展開した。一方で選挙最高裁判所(TSE)は、投票用紙を含む関連用具の投票所への送付、投票当日の政党、一般市民、外国団体からの監視人登録、選挙当日の結果伝達訓練を行うなど、最後の準備に追われた。

(2)TSEが今般の選挙から、票の数え直し作業を行わないと発表したことについて、複数の政党が再検討を求めていた他、憲法裁判所にこれを違憲として2件の訴えが出されていた。憲法裁判所は22日、これを違憲事例に該当しないとして棄却した。

(3)自由運動(ML)は12日、政府計画(Plan de Gobierno)を発表し、治安の悪化を国家非常事態としてこの対策に取り組むこと、雇用増加、教育の質向上、経済のドル化、フラットタックス導入等の政策を掲げた。

(4)議員候補にも重複立候補している広域戦線(FA)のトレホス大統領候補は6日、全国遊説を止め、議席獲得のための地元での選挙活動に集中する旨述べた。

(5)15日、オットン・ソリス(市民行動党:PAC)、ロランド・アラヤ(愛国同盟:AP)、ワルテル・ムニョス(国家統一党:PIN)の3大統領候補が会合を持ち、ソリス候補を支持する旨合意に達した。AP、PINは国会議員、市議会議員の候補者リストは維持する。一方TSEは、政党間の「同盟」は10月末までに登録されるべきであったとして、アラヤ、ムニョス両候補への票がソリスの票として集計されることはないと述べた。

(6)ラ・ナシオン紙が連日、ゲバラML候補の選挙資金の出所が不透明であると大きく報じた。ゲバラ候補はこれに不快感を示し、同紙とのインタビューを取り止めたり、紙面買い取り広告で同紙の非中立性を批判したりしたことで話題となった。

(7)PACその他の政党は選挙活動の最終局面に至り、選挙資金の不足を訴えた。特に世論調査において支持率が低迷している政党は、銀行に選挙活動のための資金融資を断られたケースがあり、TSEはこれを懸念して、将来的には政党に対する補助金制度を改善する必要があると述べた。



2.1月発表の世論調査結果


   世論調査ではラウラ・チンチージャ国民解放党(PLN)候補が依然として優勢を示していたが、その支持率が40%を越えて1回目投票で勝利が確定するか、もしくは決選投票にもつれ込むかが話題となった。

(1)Borge & Asociados社(実施期間:5~9日、誤差±3.5%)
チンチージャPLN候補    38.7%
ゲバラML候補     18.3%
ソリスPAC候補     9.6%
フィッシュマンPUSC候補     3.7%

(2)UNIMER社(実施期間:6~12日、誤差±3.5%)
ラウラ・チンチージャ(PLN)     .40.9%(前回43.1%)
オットー・ゲバラ(ML)     30.4%(前回30.3%)
オットン・ソリス(PAC)     13.7%(前回16.0%)
ルイス・フィッシュマン(PUSC)     5.9%(前回 6.0%)

(3)CID-Gallup社(実施期間:11~17日、誤差±3%)
チンチージャPLN候補     44%
ゲバラML候補     27%
ソリスPAC候補     12%
フィッシュマンPUSC候補     10%



3.国会


   国会は現在特別会期中で、年末年始休みが15日で終わり、18日から再開する予定だったが、ロドリゴ・アリアス大統領府長官は20日、選挙前に開会しても議員が集まらず効率が悪いとして、国会は選挙後の2月8日まで召集しないこととする旨述べた。




II.外交


1.ハイチ地震に対するコスタリカの支援


(1)12日午後5時頃ハイチで発生した地震に関し、当国大統領府コミュニケは13日、アリアス大統領の声明を発出し、救助隊をハイチに派遣する旨報じた。

(2)赤十字社、警察官、医師、消防隊、国家緊急委員会(CNE)関係者、電力公社(ICE)関係者等合計55名から成る救援隊はTACA航空の協力を得て、17日から10日間の予定でハイチにおける救助活動を開始した。

(3)また、コスタリカ赤十字社が当地企業、一般国民に対してハイチ救援物資・募金活動を開始した他、電力公社(ICE)も、携帯電話のメッセージを通じての募金活動を開始した。



2.インスルサOAS事務総長とアリアス大統領の会談


(1)当国大統領府は15日コミュニケを発出し、同日、アリアス大統領が私邸において、当国訪問中のインスルサOAS事務総長と会談し、ホンジュラス問題及びハイチの地震等について協議したと発表した。この中でインスルサ事務総長は、「1月28日以降、ホンジュラスが一刻も早く国際社会に復帰するよう努力する。アリアス大統領が、本件解決に尽力したことに報いるべく、一日も早い暫定政権の退陣を願っている。」と述べた。一方アリアス大統領は、ミチェレティ暫定政権が大統領就任式前に退陣すること等のサンホセ合意案の重要な点が履行されなかったことに対して遺憾の意を示した。

(2)同会談後、コスタリカ政府はインスルサOAS事務総長の再選を支持することを表明した。



3.チリ大統領選挙


   当国外務省18日、コミュニケを発出し、チリ政府及びチリ国民に対し、セバスティアン・ピニェラ大統領候補が、17日に実施された大統領選挙決選投票で選出されたことに対する祝辞を送った。



4.スターニョ外相の日本・韓国訪問


(1)スターニョ外相は、1月16、17日に東京で開催された第4回アジア中南米協力フォーラム(FEALAC)外相会合に出席した。同会合には、ラテンアメリカ及びアジアから合計35カ国が出席した。

(2)FEALAC外相会合の後、17日午後には日・中米外相会合が実施され、この場で正式に、日本は中米統合機構(SICA)に域外のオブザーバーとして加盟した。日本の加盟については、昨年6月28日にマナグアで開催されたSICA外相会合で議題として提出され、翌日の首脳会合で承認されていた。日本とSICAの双方は、政治、経済、社会、教育、文化及び環境の各分野において友好協力関係を強化することを確認した。

(3)スターニョ外相は日本訪問後、韓国を訪問し、19日にチョン・ウンチャン韓国首相及びユ・ミョン外相と会談した。この中でスターニョ外相は、韓国と二国間あるいは韓国と中米諸国との自由貿易協定を締結する可能性を検討することに合意した。



5.ハマッド・カタール首長の当国訪問


   25日、アリアス大統領はカタールのハマッド首長と会談し、政治、経済、投資及び科学技術の分野の協定並びに文化、科学、教育、スポーツ及び観光の分野の交流を促進するための覚書に署名した。またアリアス大統領は、両国政府は、今年の早いうちに相互に大使館を開設することに合意した旨述べた。



6.ホンジュラス


   スターニョ外相は27日、ホンジュラスのロボ大統領就任式に出席した。





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2月


I.内政


1.大統領・国会議員選挙


(1)2月7日(日)6時から18時にかけて、全国2038箇所の投票所で大統領・国会議員選挙が平和裡に行われた。世論調査を発表することが出来る選挙前最後の日である3日に発表されたUNIMER社の調査結果は、チンチージャPLN候補が第一回目の投票で勝利を決定するための得票率40%に届くかどうかは見極め難く、決選投票となる可能性も2割程度あると報じていたが、即日開票の結果、最終的にはチンチージャ大統領が予想を上回る46%の票を獲得し、2位に付けたオットン・ソリスPAC候補を20%以上引き離す大差でコスタリカ史上初の女性大統領として勝利を確定させた。ソリス候補は21時過ぎに敗北宣言を、チンチージャ次期大統領は22時半過ぎに勝利宣言を行い、「今日の勝利を謙虚に受け止め、これから国民の皆さんが自分に託した課題に真剣に取り組んで行きたい」と述べた。大統領就任式は5月8日にサバナ公園にて行われる。

(2)全て投票用紙が各投票所から選挙最高裁判所に集められ、9日より大統領選の(17日に終了)、18日より国会議員選挙の(26日に終了)開票確認作業が行われた。この結果、それぞれの最終結果は以下のとおり。大統領選の投票結果は、全国81市のうち80市でチンチージャ候補が勝利するという圧勝であった。なお、女性議員の数は23議席に上り、コスタリカ史上初めて、女性議員の数が全体の40%を超えることとなった。

(大統領選)
ラウラ・チンチージャ(PLN)    896,516票(46.90%)
オットン・ソリス(PAC)    478,887票(25.05%)
オットー・ゲバラ(ML)    399,788票(20.91%)
ルイス・フィッシュマン(PUSC)    74,114票( 3.87%)
オスカル・ロペス(PASE)    36,104票( 1.88%)
マイラ・ゴンサレス(RC)    13,945票( 0.72%)
エウヘニオ・トレホス(FA)    6,782票( 0.35%)
ロランド・アラヤ(AP)    3,158票( 0.16%)
ワルテル・ムニョス(PIN)    2,049票( 0.10%)

(国会議員選挙)
国民解放党(PLN)    24議席
市民行動党(PAC)    11議席
自由運動(ML)    9議席
キリスト教社会統一党(PUSC)    6議席
排除なき参画党(PASE)    4議席
広域戦線(FA)    1議席
国家復興党(RN)    1議席
コスタリカ刷新党(RC)   1議席



2.チンチージャ次期大統領の動き


(1)9日、チンチージャはアリアス大統領と会談し、今後の引継ぎ事項について協議した。会談後チンチージャは「最も偉大な大統領の後継者として、自分が挑む仕事の重要性を改めて実感した」と述べ、アリアス大統領は「引継ぎが円滑に行われるよう、何でも協力する。彼女が大統領となって再びこの大統領府に帰ってくることは夢だったが、それが実現した」と述べた。

(2)次期政権は「オープン」な政府となろうことを繰り返し述べていたチンチージャは、選挙後次々と野党のトップと会談し、対話重視の姿勢を強調した。16日にはゲバラ元ML大統領候補と会談し、PLNとMLが治安対策分野で協力する旨、17日にはソリスPAC大統領候補と会談し、「特に医療制度改革や貧困地域における教育施設の充実、奨学金の対象拡大等のテーマについて」PLNとPACが協力する旨、それぞれ約束を取り付けた。チンチージャは引き続き、19日にFAのメリノ議員及び次期議員と、24日にはPASEのロペス議員及び次期4議員と会談し、それぞれ、環境、社会福祉分野で協力していくことを確認した。



3.大西洋岸港湾管理・経済開発委員会(Japdeva)幹部に関する動き


   1月8、15、29日に実施されたSintrajap(Japdevaの労組)総会で、政府が推進しているリモン港コンセッションに賛成派である新たな役員15名が任命され、19日に右の労働省登録が完了、新理事らは24日から勤務を開始するはずであったが、同コンセッションに反対派の旧理事が、同任命の正当性を認めず、新旧幹部、ひいてはコンセッションに賛成、反対両派の対立が尖鋭化している。旧理事は事務所の明け渡し等、権限の引渡を拒んでおり、交渉の難航が予想される。政府がコンセッションに際しJapdeva労働者に提示している補償金額は計137百万ドル。



4.その他


   10日、ホセ・ホアキン・トレホス元大統領(在職1966-70)が老衰のため逝去。享年93歳。



II.外交


1.選挙関係


   アリアス大統領は1日、メヒア団長率いるOAS国際選挙監視団52名と会談した。右会談には、アリアス大統領の他、スターニョ外相、アンティジョン報道大臣他が同席した。



2.リオグループ首脳会合


(1)アリアス大統領は、チンチージャ次期大統領を国際社会に紹介する絶好の機会であるとして、22日から23日にかけてメキシコのカンクンで開催されたリオグループ首脳会合に、チンチージャ次期大統領を伴って出席した。

(2)アリアス大統領とチンチージャ次期大統領は22日、パナマのマルティネリ大統領と会談し、麻薬等の組織犯罪に対して共同で対策を講じることで合意した。また、チンチージャ次期大統領はメキシコ滞在中、コロン大統領(グアテマラ)及びオルテガ大統領(ニカラグア)、フネス大統領(エルサルバドル)、フェルナンデス大統領(アルゼンチン)、ウリベ大統領(コロンビア)、フェルナンデス大統領(ドミニカ共和国)及びピニェラ次期大統領(チリ)とも会談した。

(3)リオグループ首脳会合は、米国及びカナダ抜きで地域機構設立を模索する目的で会合が開催されたが、アリアス大統領はこの実現は困難であるとして、「地域機構設立よりも、地域諸国による共同体設立の方が建設的であろう。ラ米の現状を見る限り、国家間の溝ができており、連合について協議するのは困難だからである。」と述べた。またアリアス大統領はその演説において、具体的な名前には言及しないものの、独裁者を批判し、各国民が民主主義を実現するべく適切な為政者を選出するよう訴えた。



3.ニカラグア


(1)コスタリカ政府が、リバス・ニカラグア最高選管委員長及びその家族による外交特権を利用した外交官ナンバー車両の不適切な使用を巡って、同車両の剥奪手続きに入ったことを受けて、ニカラグア政府は在ニカラグアのコスタリカ大使館に対し、外交官ナンバー車両の国外移動を禁止する旨通知した。

(2)ニカラグアのモラレス副大統領は12日、ニカラグアの12チャンネルにおいて、「チンチージャが大統領になれば現在よりも両国の関係が円滑になることを信じる」旨述べた。



4.米国


コスタリカ外務省は24日、コミュニケを発表し、第3回米州繁栄の道イニシアティブ大臣会合に出席するため、クリントン米国務長官が3月3日にコスタリカを訪問する予定である旨発表した。



5.その他


(1)国連の依頼により米国のエール大学及びコロンビア大学の専門家が2年に1度実施している、世界163カ国を対象とした環境保護調査において、コスタリカは世界第3位にランクされた。これによれば、コスタリカが傑出している分野は森林で、100点満点中100点、また、海洋生物多様性の分野並びに水利用の分野で高得点を得た。逆に、低得点の分野は海洋保護の分野で僅か18.6点に過ぎなかった。

(2)大統領府は19日、コミュニケを発表し、国際ジャーナリストのオッペンハイマー氏が、18日付のエル・ヌエボ・エラルド紙等に、次期OAS事務総長にはアリアス大統領が望ましいとの同氏の意見を掲載したことについて、アリアス大統領は19日、次期OAS事務総長選挙に出馬する可能性を完全に否定し、インスルサOAS事務総長の再選を支持する旨述べた。





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3月


I.内政


1.選挙関連


(1)TSEは1日、大統領選の勝者はチンチージャである旨正式に発表し、8日の国際女性デーにはTSE講堂にて、当選証書授与式典が執り行われた。同式典では、アルフィオ・ピバ第一副大統領、ルイス・リベルマン第二副大統領に対しても当選証書が授与された。

(2)大統領選、国会議員選に続き、市議会議員選挙についてもTSEによる開票確認作業が1~9日にかけて行われた。市議会においても野党の躍進が見られ、県の首都である7自治体の市議会議員計65名のうち、PLNは25議席を獲得したに過ぎず、国会でも躍進したPAC、ML、PUSC、PASEは同地域において合計38議席を得た。またPLNは495全市議会議席のうち196議席を獲得したが、議決に必要な過半数を占めたのは81市のうち11市のみであり、06年の26市の半分にも至らなかった。

(3)PACのアルファロ議員が、アリアス大統領の選挙期間中の言動について「政府の中立性に反する」とTSEに訴えていた件について、TSEは17日、これら言動を「曖昧で不適切」とする判断を下した。これはアリアス大統領が、PLN大統領候補がチンチージャに決まった際、アリアスが「自分の夢が叶った」と発言したものと、マルティン法務大臣が議員候補として出馬するため大臣職を辞した際、大統領がこれに個人的な言及を加えたことに対するもの。



2.次期閣僚の指名


(1)チンチージャ次期大統領は、外交、治安対策、経済、環境エネルギー、社会教育と分野毎に次々と次期内閣メンバーを発表し、大統領就任1ヶ月以上前に全て閣僚の指名を完了した。次期内閣メンバー一覧は下記のとおり。なお、全21閣僚の9名が女性であり、チンチージャの謳う「内閣におけるジェンダー均衡」はほぼ達成された(* は女性)。

(省庁名)        (閣僚名)
大統領府        マルコ・アントニオ・バルガス・ディアス
外務省        レネ・カストロ
内務公安警察省        ホセ・マリア・ティヘリノ・パチェコ
財務省        フェルナンド・エレロ
法務平和省        エルナンド・パリス(留任)
教育省        レオナルド・ガルニエル(留任)
公共事業運輸省        フランシスコ・ヒメネス
経済商業省        マジ・アンティジョン*
厚生省        マリア・ルイサ・アビラ*(留任)
労働・社会保険省        サンドラ・ピスク*
文化・青年省        マヌエル・オブレゴン
国家計画・経済政策省        ラウラ・アルファロ・マイカル*
農牧省        グロリア・アブラハム*
環境エネルギー省        テオフィロ・デ・ラ・トーレ
住宅省        イレーネ・カンポス*
貿易省        アナベル・ゴンサレス*
科学技術省        クロティルデ・フォンセカ*
コスタリカ観光庁        カルロス・リカルド・ベナビデス
スポーツ省(無任所大臣)        ジセル・ゴジェナガ・カルボ*
社会福祉開発省(無任所大臣)        フェルナンド・マリン
地方分権・自治開発省(無任所大臣)        フアン・マリン

(2)22日、次期政権下で大統領府長官に就くための準備の関係からバルガス現MOPT大臣が辞任し、アリアス大統領はこの後任として、チンチージャ次期大統領の指名したヒメネス氏を任命した。

(3)この他、公的機関の長としてチンチージャが発表したのは以下のとおり。

中銀総裁:ロドリゴ・ボラーニョス
コスタリカ電力公社(ICE)総裁:エドゥアルド・ドリアン
コスタリカ石油公社(RECOPE)総裁:ホルヘ・エンリケ・ビジャロボス



3.大統領就任式準備委員会


   チンチージャは2日、5月8日に開催される大統領就任式の準備委員会を任命した。次期大統領の実弟であるアドリアン・チンチージャ氏及びアリアス大統領の娘であるシルビア・アリアス氏両者が同委員長を務める。同委員会は、アリアス大統領の国際的知名度及び当国初の女性大統領の誕生ということもあり、今般就任式における出席者は例年より多くなると予想しており、最終的にサバナ公園で大統領就任式を挙行することを決めた。当日は同公園に大規模な舞台、約千人の特別招待客とその他観客のための約7千人分の席が設置され、その周辺にはテントがはられその他一般客が新大統領就任の瞬間を共有できるためのスペースとなり、就任式同日夜には設置された舞台で国内外アーティストのコンサートが開かれる予定。



4.次期国会議員


(1)当選議員の間では早くも次期国会役員の指名や審議案件の優先順位等について協議が進められている。各政党は、次期国会における政党の代表となる院内総務をそれぞれ次の通り決定した旨発表した。

国民解放党(PLN):ビビアナ・マルティン氏
市民行動党(PAC):フアン・カルロス・メンドサ氏
自由運動(ML):ビクトル・ダニロ氏
キリスト教社会統一党(PUSC):ワルテル・セスペデス氏
排除なき参画党(PASE):ビクトル・グラナドス氏
国家復興党(RN):フスト・オロスコ氏
コスタリカ刷新党(RC):カルロス・アベンダニョ氏
広域戦線党(FA):ホセ・マリア・ビジャルタ氏

(2)一方、PAC、ML、PUSC、PASE(4政党議員合計30名)の党首は10日、会合を持ち、与党PLNを除いた次期国会役員候補リストを作成し、これを野党同盟として推進していく方向で検討を開始した。国会議長は与党から選出されるのが常だが、与党PLNは24議員にしかならないため、国会役員選出に必要な29議席を得るためには、いずれかの野党との合意形成が必要となる。



5.国会の動き


(1)国会で2009年9月に国会を通過した新交通法について、その罰金則が厳しすぎるとして国会でこの見直しが検討されていたが、議員間で合意が得られず、同法は修正されることなく1日に発効した。国会では引き続き同法の修正が協議されているが、罰金の額引き下げの他、今般新法によって導入された運転免許の点数制度や血液中のアルコール濃度許容範囲についても再検討が行われている。

(2)23日夜、CAFTA関連法で最後まで課題として残っていた著作権関連法の修正案を1回目の審議で承認した。同法が完全に承認されるまで、現在米国がコスタリカに対して課している砂糖の輸入規制は続く。



II.外交


1.米国


(1)4日から5日にかけて、クリントン米国務長官が第3回米州繁栄の道イニシアティブ大臣会合に出席するため、コスタリカを訪問した。チンチージャ次期大統領及びカストロ次期外相は4日、同国務長官と会談し、中米地域の麻薬撲滅のための戦略を推進するための協力を要請した。同国務長官はチンチージャ次期大統領に対し、「コスタリカ国民が、非常に能力が高く、経験のある女性を次期大統領に選出したことを大変嬉しく思う」と述べた。またアリアス大統領は、4日夜、クリントン米国務長官を私邸に招待した。

(2)クリントン米国務長官は、4日の米州繁栄への道会合で約10分間のスピーチを行い、米国との自由貿易協定の恩恵を受けない人々に機会を与える必要があるとして、中小零細企業支援、税関手続きの簡素・効率化を通じた外国投資誘致、女性企業家の優遇、英語の普及、企業に対する環境対応策研修の実施の必要性等について言及した。



2.グアテマラ


   アリアス大統領は5日、特別機(パナマの航空機)でグアテマラを訪問した。中米諸国からは、グアテマラ、エルサルバドル、ホンジュラス、ドミニカ(共)、ベリーズの首脳が出席し、クリントン米国務長官と協力関係、貿易、麻薬対策について協議した。



3.チリ


(1)コスタリカ国家緊急対策委員会は、チリ政府の要請を受けて、13日から10日間の日程で、チリを訪問し被災者の援助を行った。また、当国在住チリ人及びコスタリカ国民は、先のチリ地震で倒壊した約50万戸の家屋の再建のための援助として、当地チリ大使館を通じて、3月末まで募金活動を行った。

(2)アリアス大統領は健康上の理由により、11日にチリで実施された大統領就任式を欠席した。



4.アラブ首長国連邦


   11日、コスタリカとアラブ首長国連邦は外交関係を樹立した。右により、アリアス政権下の4年間で新たに外交関係を樹立した国は、20カ国となった。両国は同日、ニューヨークのアラブ首長国連邦国連代表部において、ウルビナ・コスタリカ国連大使とアルジャルマン・アラブ首長国連邦大使との間で本件外交関係樹立に関する署名を行い、大使レベルの外交関係を樹立する旨、また国連憲章及び国際法の精神に基づき、政治、経済、人道、文化、科学の分野で相互理解及び友好協力関係増進のために努力する旨の共同声明を発出した。



5. キューバ


(1)アリアス大統領は10日、キューバで、2月23日に長期間のハンガーストライキの末死亡した、オルランド・サパタ・タマヨ政治犯が死亡したことについて、「政治犯は民主国家においては存在しない。各政治犯は反論の余地のない全体主義の証左である。」と述べ、キューバの体制を非難した。

(2)11日ラ・ナシオン紙はアリアス大統領の「政治犯の釈放」と題する投稿記事を掲載した。同記事において大統領は、「私は、キューバが一党独裁制を止めて多元主義を採用し、米州の例外国家たることを放棄し、民主主義体制に転換することを強く求める。」と訴えた。



6.コロンビア


   23日、アリアス大統領はコロンビアを公式訪問し、同国ウリベ大統領と麻薬対策、海事協力協定の推進、海上の経済排他領域における違法行為の取締り、船舶の捜索、救助等について会談した。アリアス大統領は、ウリベ大統領から、コロンビアの内外において著名な人物に授与される「サンカルロス賞」勲章を受章した。

7.ウルグアイ


(1)30日にコロンビアで報じられたアリアス大統領へのインタビューにおいて、「近々、ムヒカ大統領に親書を発出し、ウルグアイの軍隊廃止の考えを説明する予定である。なぜ、ウルグアイは軍隊が必要なのか。ウルグアイの敵はどこか。」等と発言した。これについて、ウルグアイのムヒカ大統領の盟友であるウイドブロ上院議員(元トゥパマロ指導者)は、「今般のアリアス大統領の発言は、他国に対する内政干渉であり、配慮に欠けた無礼な発言である。」と、非難するとともに、「コスタリカは軍隊を有しないが、治安警備隊を有しており、右は軍隊と同機能を有している」と述べた。

(2)アリアス大統領はこれを受け、再度ウルグアイ軍隊を廃止する助言について強調し、既にウルグアイのムヒカ大統領宛に、ウルグアイ軍隊の廃止を助言する書簡を発出したと述べた。アリアス大統領は、「私は、他国の内政に干渉するつもりは毛頭なく、これはあくまでも助言である。軍隊は発展、平和、自由、幸福に対する敵である。ウルグアイは軍隊を必要としない。」と、インタビューに応えた。



8.その他


(1)18日、コスタリカのWTO加盟20周年式典に参加するため、ラミーWTO事務局長が当国を訪問した。

(2)ウガルデ外務副大臣は7日、コスタリカは先般2月25日、国際司法裁判所(ICJ)に対して、ニカラグアとコロンビアとの間で争われている領土及び海洋紛争問題に関し、コスタリカが、非当事国として審理プロセスに参加することを書面にて要請した旨明らかにした。ICJはコスタリカの参加に対する異議を5月26日まで受け付けている。




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4月


I.内政


1.新国会関連


(1)5日、TSEは2月7日の国会議員選挙にて当選した次期議員に当選証書授与を行った。次期国会構成議員は女性22名、男性35名。年齢幅も32歳から67歳と広く、職業は14名が弁護士、10名が何らかの教職に就いた経験を有する。一方、22名が一度も公職を務めた経験がなく、同経験を有する者の中でも9名は自治体におけるものとなる。

(2)5月1日に発足する新国会の議長を始めとする国会役員について、これら全てポストを野党議員で構成する旨の同盟が協議されていたが、自由運動(ML)は9日、この野党間の同盟に参加せず、与党国民解放党(PLN)に票を投じることを決定し、野党同盟は事実上崩壊した。

(3)29日、チンチージャとゲバラML元大統領候補は記者会見を開き、PLNとMLが28日、2ヶ月にわたる交渉の末、今後2年間を有効期限とする9頁から成る政策合意文書「ガバナビリティ改良のための約束」に署名した旨発表した。同合意内容は以下のとおり。

(ア)国会役員選出に関する相互支持

   MLはPLNの推す議長候補であるビジャヌエバ議員及びPLNが他のポストに推す全て候補に賛成票を投じる。その代わり、PLNはMLが第一書記に擁立する候補を支持する。

(イ)国会審議案件の審議順番に関する相互支持

   法案は通常、国会に提出された順に審議されるが、動議によってその優先順位を変えることもできる。PLNは今後、MLの優先法案が少なくとも常に3本、審議法案リストの15番目までに含まれるよう、MLの動議を支持し、同じくMLは、PLNの優先法案がトップ10までに少なくとも常に3本含まれるよう、PLNの動議を支持する。

(ウ)委員会の長

   PLNはMLが歳出入管理委員会及び治安委員会の長を務めることに合意し、同選出を支持する。

(エ)公営機関の長

   PLNはMLが推薦する人物を、電気通信公社(ICE)、石油公社(Recope)、社会保険庁(CCSS)、職業芸術訓練学校(Covao)の幹部に付けるよう検討する。

(オ)共通の関心事項である法案の共同推進

   両政党は治安、住宅、環境、貿易と経済統合、競争力強化に関する27法案について、協力して推進し、その審議を妨害しないことを約束した。

(カ)その他

   PLNは経済のドル化、国家改革、病院待機リスト削減、個人を重視した教育など、MLの優先課題について議論する場を定期的に設けることで合意した。また、MLはPLNに2012年に契約期限の切れるスペインの車検会社Riteve(現在車検市場を独占)との契約を更新しないことを約束させた。



2.チンチージャ次期政権の政策に関する報道振り


(1)チンチージャ次期大統領は23日及び24日、次期閣僚及び各公営機関の長及びその顧問を一堂に集め、政権の優先課題について協議する初めての会合の場を設けた。23日の会合では、冒頭アギラール会計検査院長、ブレネス国家訟務庁長官がそれぞれに、国家予算制度や各種手続き、義務、制度について講義し、現政権において注目された国庫管理の重要性を次期閣僚の脳裏に叩き込んだ。

(2)バルガス次期大統領府長官は会合の後、「ロドリゴ大統領府長官は「首相」役を務めたが、自分は権力の集中を図ることなく、チームワーク方式で任務を遂行したい」と述べ、次期政権の決定プロセスは、現政権時と異なり、大統領府長官の一点に集中することはない旨明言した。



3.ロドリゲス元大統領他に対する裁判の開始


   14日、ロドリゲス元大統領を被告に含むICE-ALCATEL訴訟の審理過程が始動した。ロドリゲス元大統領を含む計8名は、2001年8月、GSM携帯40万回線の設置業務をALCATELに委託する代償として、各種金融商品や現金等の形で賄賂を受け取った疑いで、汚職や公金横領等の容疑がかけられている。



4.BCIEコスタリカ支部代表への調査


14日、ダラネセ検事総長は外務省に対して、オルトゥーニョBCIEコスタリカ支部代表に対する捜査の便宜上、オルトゥーニョの不逮捕特権を解除する用意があるかどうかBCIE本部に確認して欲しいとする書簡を発出した。同書簡には、2007年から2008年にかけてBCIEよりコスタリカ政府に供与された2百万ドルの使途に関連し、検察庁がオルトゥーニョの汚職及び公金横領容疑に対する捜査を2008年7月から行っていることが明らかにされている。



5.クルシータス鉱山開発問題

   16日、最高裁は、クルシータスにおけるカナダ企業の金鉱山採掘が、水資源、森林、絶滅の危機に瀕している動物・鳥類に影響を及ぼす環境破壊を引き起こしているという訴えを退け、同鉱山の採掘は合憲との判決を下した。国内のマスメディアやインターネット、ソーシャルネットワークやブログは同判決を大きく採り上げ、環境保護団体等を中心として学生や一般市民、アーティスト等が22日、本件判決に抗議するデモ行進を実施した。



6.政党関連


(1)市民行動党(PAC)の党首選

   PACは17日開催された総会で、フォンセカ現職議員を党首に選出した。同女史は5月1日に就任する。総会は同じく、ロマン・マカヤ氏(元党内予備選候補)を政治委員会の委員長に任命した。オットン・ソリス氏は、次期大統領選には出馬しないことを再度明言し、今後は1人の党員として貢献したいと述べた。

(2)29日、パチェコPLN党首(2006-2010国会議長)は、5月15日を以てPLN党首の職を辞する旨発表した。



7.その他


(1)ロドリゴ・アリアス大統領府長官による次期大統領選に向けた動き

ロドリゴ・アリアス大統領府長官は15日、健康状態が許せば、将来的に大統領に立候補することは充分にあり得ると発言し、アリアス大統領も実弟について「多大な美徳のある人物」であると述べた。ロドリゴ長官は最近、アリアス大統領に同行して公的行事に出席する頻度が高くなっている。

(2)28日、大西洋岸港湾管理・経済開発委員会(Japdeva)とその労組が、リモン港がコンセッションされた暁には1,500名の労働者が137百万ドルの補償金を受領することについて合意したが、リモン港、モイン港周辺では29日早朝より、この決定に反対する地域住民と公安警察が対立、3名の警察官が銃弾により怪我をし(1名は重態)、28名が逮捕される騒ぎとなった。

(3)国会は29日午後6時過ぎ、憲法法廷が合憲と判断した14本目のCAFTA最終関連法案について、議会は審議最終日29日の午後6時過ぎ、2回目の投票を行い、ルイス貿易大臣の見守る中これを承認し、これを以て特別国会期は閉幕となった。



II.外交


1.カタール


   アリアス大統領は12日、「コスタリカ政府は、在外にコスタリカ大使館を開設するための資金が限られており、カタールはコスタリカに対して大使館開設のために多くのインフラを提供してくれ、大使館ビルも寄贈してくれた。コスタリカ政府が負担するのは費用の一部である」として、5月8日までにカタールのドーハにコスタリカ大使館を開設する旨発表した。アリアス大統領は13日、カタールの投資家等から構成される代表団と、両国間の経済関係強化及び大使館開設について会談した。



2.中米


(1)チンチージャ次期大統領はエルサルバドル(12日)、ホンジュラス(12日)、グアテマラ(13日)、ニカラグア(20日)、パナマ(21日)と中米各国を次々と訪問し、各国首脳と会談した。チンチージャは、最初の訪問地エルサルバドルで「コスタリカは長年にわたって、中米治安委員会と距離を置いてきたが、今後は、コスタリは同委員会の会合に出席することとしたい。中米地域の治安問題は日増しに深刻化してきており、中米地域のいかなる国も個々に解決することは困難であり、中米地域全体で治安問題に取り組む必要がある。」旨言及し、中米各国と一丸となって地域の治安対策に取り組む旨表明した。

(2)アリアス政権下で関係が停滞していたニカラグアを20日に訪問したチンチージャは、オルテガ大統領と両国国境付近における観光地帯の設置や、両国共通の争点である治安問題と麻薬問題について協議し、この2年間中断していた、二国間委員会を再開することを決定した。次回の両国首脳会合は、オルテガ大統領の提案により、今年の11月にコスタリカのグアナカステ県で実施されることになった。



3.スターニョ外相と潘基文国連事務総長との会談


   スターニョ外相(次期国連大使)は16日、ニューヨークの国連代表部で、潘基文国連事務総長と会談した。この際スターニョ外相は、現在国連気候変動枠組条約事務局長に立候補しているコスタリカのクリスチアナ・フィゲレス候補の気候変動交渉官としての高い資質について触れ、同人が事務局長に相応しい人物であることを説明した。



4.キューバ


   19日、コスタリカとキューバが昨年3月に外交関係を再開して以来初のキューバ大使に、駐コスタリカ・パルド・キューバ総領事(Antonio Miguel Pardo)が任命された。



5.インド


   コスタリカ外務省は20日、コスタリカがインドの首都ニューデリーに大使館を開設した旨発表した。スターニョ外相は、「インドに大使館を開設するということは、中国に大使館を開設するのと同様に、コスタリカの外交史のページを開くことであり、アジア諸国との交流、投資、協力関係を強化することは重要である。」と述べた。



6.米国


(1)米国とコスタリカは23日、メリダイニシアティブに係る合意文書に署名し、この結果コスタリカは追加資金として、264万米ドルを受領することとなる。右協力の目的は治安対策強化で、具体的には、司法警察に対する技術研修、国境における捜査、警察官の装備、刑務所管理、指紋調査に関する備品整備等に使用される。これに対してスターニョ外相は、米国の合計900万ドルの協力に対して感謝の意を表し、コスタリカに軍隊がない特殊性を考慮して、今後とも麻薬犯罪及び組織犯罪に対して取り組んでいく姿勢を強調した。

(2)26日、生物多様性研究所(INBio)は、本年度オサ、タラマンカ、トルトゥゲロ、マケンケ、リンコンデラビエハ及びニコヤ地方の森林保全に取り組むために、2億5千800万コロン計上する旨発表した。本件は、2007年にコスタリカと米国が締結した、「2008年から2024年の自然に関する債務帳消し基金」に基づき、実施される環境スワップ案件。




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5月


I.内政


1.新国会の成立


(1)1日、新国会議員が就任し、議長を始めとする役員の選出が行われた。新役員は以下のとおり。 議長:ルイス・ヘラルド・ビジャヌエバ(PLN、弁護士、当選3回目) 副議長:アニー・サボリオ(PLN、経営者、初当選) 第一書記:ミレイヤ・サモラ(ML、弁護士、初当選) 第二書記:イレアナ・ブレネス(PLN、経営者、初当選) 第一副書記:エドガルド・アラヤ(PLN、政治学者、初当選) 第二副書記:カルロス・アベンダニョ(RN、牧師、当選2回目)

(2)ビジャヌエバ新議長は、今期国会がその効率的な審議と対話能力の高さ、そして何より適切な法を定めることのできる国会として認識されることを望むと述べ、国会審議第一日目より、野党との対話に努める旨述べた。



2.アリアス大統領の一般教書演説


   1日、アリアス大統領は国会において1時間にわたり、4年間のアリアス政権の施政総括報告演説を行った。その中で、アリアス大統領は、4年間の最大の成果は「国に再び自信を与え、将来の方向性を示し、希望を持たせた」ことであると述べた。また、現実的な外交を行い、中国、キューバ、穏健派アラブ諸国を含む20カ国以上と外交関係を樹立したことも一つの成果として挙げた。



3.チンチージャ大統領就任式の開催


(1)8日、大統領就任式がサンホセ市内のサバナ公園で開催され(出席者6千名強)、日本からは特派大使として武正外務副大臣が出席した。同式典へは65カ国の代表が出席したが、主な出席者は、フネス・エルサルバドル大統領、コロン・グアテマラ大統領、ロボ・ホンジュラス大統領、オルテガ・ニカラグア大統領、マルティネリ・パナマ大統領、カルデロン・メキシコ大統領、ウリベ・コロンビア大統領、コレア・エクアドル大統領、サアカシュビリ・グルジア大統領、フェリペ・スペイン皇太子等。また武正副大臣は就任式前日の7日、チンチージャ大統領、カストロ新外相と懇談した。

(2)チンチージャ大統領は、11時半過ぎに大統領就任の宣誓を行い、当国で38代目の大統領に就任し、約25分間の就任演説を行った。チンチージャ大統領の演説要旨は以下のとおり。

(ア)自分は、謙虚、誠意、確実をモットーに、各セクターとの対話と団結を通じて、特定の政党や団体や企業だけではなく、全ての国民に裨益する政策を実行する。
(イ)新政権は、コスタリカの平和と自由と人権を守るためにモラルある指導力を通して働く。
(ウ)新政権は、国民が安心して暮らせるように治安回復のための政策を実行する。
(エ)新政権は、教育、保健衛生、住宅を向上し、子供や高齢者の生活を改善し、貧困対策を推進する。
(オ)新政権は、経済成長を実現しつつ、コスタリカの環境保護政策を推進し、天然資源に配慮しながら、再生可能なエネルギーを生産する(会場から大喝采があがった)。
(カ)新政権は、バイオテクノロジー、有機農業、宇宙産業等を通して、技術革新を推進する。
(キ)我々コスタリカ人は、皆兄弟姉妹であり、勇気と希望を以て与えられた時間に価値を見出し、尊厳を持って生活しなければならない。

(3)同就任式典終了後、チンチージャ大統領は、全閣僚を召集して初閣議を開き、4つの政令(露天堀鉱山採掘のモラトリアム、治安関連2本、全国保育ネットワークに関するもの)に署名した。



4.チンチージャ新政権の動き


(1)大統領審議会の設置 チンチージャ大統領は11日付で政令を発出し、大統領府の下に自らが率いる「治安と社会平和」、「福利厚生と家族」、「競争力と刷新力」、「環境」の計4つの大統領審議会を設置することとし、更にこれら審議会の下に、各分野の専門家からなる名誉職の顧問組織が設置される旨発表した。

(2)政府ハイレベル特別会合の実施 チンチージャ大統領は22日、閣僚を集め、二度目の「Encerrona」と呼ばれる政府ハイレベル特別会合を実施した。その中で、チンチージャ大統領は、現政権は既に治安問題、教育・医療インフラの充実、国家保育網の構築など、政策のプライオリティ付けを行ったが、政府の予算はこれらの履行さえままならない程に厳しいとして、プライオリティ付けの終わった今、早急にこれら政策実行に必要な予算額を集計し、その財源の手当を急ぐ旨述べた。尚、チンチージャ政権の特徴である閣僚や各種独立組織の長等、ハイレベル関係者を集めたこの種の「Encerrona」は、政権終わりまで必要に応じて不定期に続けられる由。

(3)ロドリゴ・アリアス大統領府前長官に対するチンチージャ大統領の牽制 チンチージャ大統領は、ロドリゴ・アリアス前大統領府長官が2014年の大統領選に出馬する旨発言したことについて、「ロドリゴ氏の発言が(出馬の有無を明らかにする以上の)深い意味を持たないことを望む。選挙キャンペーンの前倒しは、政府内部の動揺につながるので、極力避けて欲しい」として、選挙活動を開始するには少なくとも18~24ヶ月待つべきであると述べた。これに対しロドリゴ氏は「勿論、政府の邪魔をするつもりはない」とする一方で、12月の市長選では自らの候補の応援を行う予定であると述べた。



5.市長選に向けた動き


   12月5日の市長選まで7ヶ月に迫り、選挙最高裁における立候補手続きが進められている。現在までにアラフエラ市の市長立候補を決めているのが、ロベルト・トンプソン元大統領府副長官とホセ・ルイス・パチェコ氏(アラフエラ刷新党)。サンホセ市長に明示的に立候補を決めているのは現アラヤ市長のみ。オスカル・ロペスPASE元大統領候補は、サンホセ市長ポストへの立候補について「慎重に検討している」として、立候補への支持を集めるため、PACのオットン・ソリス、ロマン・マカヤやサンホセ市議会幹部と協議していることを明らかにした。



6.議員の給与改定法案


   新国会は、初めの審議に議員の給与増額の法案を選んだ。これは、現在の議員の月給2.5百万コロンを、4.3百万コロン(約8,600ドル)に増額するもので、当初は与党PLNを中心として、PACとFA以外の44議員の賛同を得ていたが、国民からの厳しい批判を受けて、PASEやPUSCの一部に賛同を取り消す議員が相次ぎ、最終的には35議員の賛同によって24日に承認された。同法案は国会承認後ただちに、反対派議員によって諮問のため憲法法廷に提出され、憲法法廷は1ヶ月後までに諮問結果を発表することとなった。チンチージャ大統領は当初より、今般給与改定が国家予算にネガティブな影響を与えることなく、国会内で捻出できる範囲であることが証明されなければ本件法案には署名しない旨述べていたが、26日、同法案に署名しないことを決めた旨国会議長宛に書簡を送付した。



II.外交


1. コスタリカ大統領就任式に伴う二カ国会談


   8日の大統領就任式へ出席するために当国を訪問した各国代表は、下記のとおりそれぞれ当国要人と会談した。

(1)スペイン
アリアス大統領は、フェリペ・スペイン皇太子と会談し、ラ米での諸問題について、また、中米EU連携交渉締結の必要性について会談した。

(2)中国
アリアス大統領は、7日、リ・ビン中国国家人口・家族計画大臣と会談した。リ・ビン大臣は、当国と中国の協力関係について言及し、「中国とコスタリカは、国交樹立以降飛躍的に増進した。また、経済、社会、教育、文化の分野においても有益な協力関係を構築している。」と述べた。また、カストロ新外相は、チンチージャ大統領の中国訪問に先立って、「自分は今年の10月14日の上海万博のコスタリカの日に中国を訪問する。」と述べた。

(3)ニカラグア
出欠が注目されていた隣国ニカラグアのオルテガ大統領は、8日、チンチージャ大統領と大統領就任式終了直後に5分ほど、ニカラグア人のコスタリカ移民問題について話し合った。コスタリカ在住のニカラグア人は、大統領就任式会場に集まり、オルテガ大統領に対し、彼らの支援を要請した。カストロ外相は、チンチージャ大統領とオルテガ大統領との会談は、今年11月に実施される旨述べた。

(4)メキシコ
カルデロン・メキシコ大統領は、8日、チンチージャ大統領と治安問題、麻薬対策、気候変動等二国間関係について数分間会談し、今年11月にメキシコで開催されるCOP16にチンチージャ大統領を個人的に招待した。

(5)コロンビア
ウリベ・コロンビア大統領は、8日、チンチージャ大統領と約20分間会談し、「コロンビアとコスタリカは伝統的に良好な関係を有しており、将来にわたって共通のテーマを有している。コスタリカ国民に対し、民主主義の成熟を祝福し、また、アリアス大統領のこれまでの尽力とチンチージャ大統領のこれからの成功を祈願している。」旨述べた。

(6)エクアドル
コレア・エクアドル大統領は、エクアドルとコスタリカの関係強化を期待し、チンチージャ大統領をエクアドルに招待した。

(7)グルジア
サアカシュビリ・グルジア大統領は、コスタリカを初訪問し、チンチージャ大統領に対し、グルジアとロシアとの紛争解決の支援を要請した。また同大統領は、エコツーリズム関係の行事に出席するため数日間コスタリカに滞在した。

(8)キューバ
就任式出席のためコスタリカを訪問したラソ・キューバ国家評議会副議長は、チンチージャ大統領と文化及び科学技術の分野の協定と交流を増進すること、特に医療分野と医療教育の関係強化について会談した。



2.カタール


   6日カタール時間の11時、エスカランテ・コスタリカ大使は、マハムード・カタール外相に対し、信任状の写しを奉呈し、これによってコスタリカはカタールの首都ドーハに大使館を開設した。右開設はアラブ諸国の中では最初となる。



3.外務省人事


   外務省が発表した主要人事は以下のとおり。

(1)在国連代表部勤務のエルナンデス(Jairo Hernandez)氏が対外政策局長に就任する。
(2)エルナンデス(Marta Hernandez)ドミニカ(共)大使が、官房長(副大臣ランク)に就任する。
(3)ヒメネス(Gabriela Jimenez)前大統領府儀典長がメキシコ大使として転出する。
(4)ウガルデ(Edgar Ugalde)前外務副大臣は、コロンビア大使に転出する。
(5)ウルビナ(Jorge Urbina)前国連大使は、在オランダ大使に任命された。同任命は、後にオランダ政府のアグレマンを得ずして行われていたとマスコミに取り沙汰されたが、前オランダ大使の任期は6月1日で切れ、その後ウルビナ大使が同ポストに就任する予定。
(6)在スペイン・サエンス・コスタリカ大使が在ニカラグア大使に任命された。
(7)在パナマ大使には、PLNのベロカル(Fernando Berrocal)元大統領予備選候補(及び元内務公安大臣)が任命される予定。
(8)在グアテマラ大使にはリデス(Lidieth Brenes)氏が、在ホンジュラス大使にはグティエレス(Marielos Gutierrez)氏が、在エルサルバドル大使にはプラド(Mimi Prado)氏がそれぞれ就任する予定。



4.EU


(1)チンチージャ大統領が就任後初の外遊先に、17日から19日にかけてEUラ米首脳会合の開催されたマドリッドを選んだ。第6回EUラ米首脳会合では18日、中米EU連携協定が署名され、チンチージャ大統領は今般の署名は政府の最も重要な成果の1つである旨強調した。またチンチージャ大統領は、中米EU連携協定の署名に非常に満足しており、特にコスタリカにとって経済成長及び雇用創出を推進する大きなチャンスとなると述べた。

(2)第6回ラ米EU首脳会合に出席するためにスペイン滞在中のカストロ外相は、14日、モラティノス・スペイン外相と二国間関係について、イグレシアス・イベロアメリカ会議事務局長と今年12月にアルゼンチンで開催される次回のラ米EU首脳会合について協議した。



5.スペイン


   当国ユダヤ人団体の招聘で当国を訪問中のスペインのアスナール元首相は10日、チンチージャ大統領と会談し、中東和平問題について協議した。



6.韓国


   26日付当国外務省コミュニケは、コスタリカが韓国哨戒艦の沈没事件に関し、「コスタリカ政府は,今年3月26日に発生し46名の死者を出した、北朝鮮による韓国哨戒艦の沈没は北朝鮮の魚雷によって引き起こされたと結論づけた,米国、豪州、韓国、英国、スウエーデンの民間及び軍の合同調査団の報告書を憂慮の念をもって受けとめる」として、韓国への連帯を表明する旨発表した。




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6月


I.内政


1.チンチージャ大統領とロドリゴ・アリアス前大統領府長官の軋轢


(1)15日、チンチージャ大統領と会談したロドリゴ・アリアス前大統領府長官は、会談後記者団に対して、自分には現国会内に多くの友人がおり、政府が推進したいと考えている法案の推進に協力できると述べるとともに、チンチージャ政権のスタートを「困難な出だし」と評価した上で、「大統領府という歯車装置のねじをいくつか締め直す必要があるようだ」と助言した。同会談はチンチージャの公式日程表には記載されておらず、従ってチンチージャ大統領は会談後、如何なる会見も行わなかった。

(2)これに対し21日、マルコ・バルガス大統領府長官は「政府に対する如何なる評価を下すにも、40日間という時間は十分ではない」としてロドリゴ前長官の「気品に欠ける」発言に対し強い不快感を示し、ロドリゴ・アリアス前大統領府長官の発言は「軽率」であると批判した。

(3)22日、チンチージャ大統領も沈黙を破り、同前長官の政府の決定事項に干渉する態度に再度苦言を呈した。チンチージャ大統領は、既に2014年大統領選挙に向けて選挙活動を始めていることを公言して憚らないロドリゴ前長官に対して「こうした動きは政府の円滑な政治運営に資さない。ましてや、政府を自分の選挙運動の踏み台にしようなど、もっての他である。」「引き際を判断する基準やセンスを有することも大切で、一度選挙過程が終われば、新政府に場所を譲るべきである。」として批判し、ロドリゴ前長官が現政権の「政治的嗅覚のなさ」に触れたことについても、このような断定的な評価を下すには十分な時間が経過していないとして、同評価は「理不尽」であると述べた。

(4)ロドリゴ前長官はチンチージャ大統領の発言を受けてコミュニケを発出し、チンチージャの言うことはもっともであると認めるとともに、先般、ロドリゴ前長官を「気品に欠ける」と批判したバルガス大統領府長官に対しても、数行を割いて敬意を示した。



2.ダラネセ検事総長の進退問題


(1)今年1月にダラネセ検事総長が行った人事に関し、人事異動の対象となった検事次長の訴えに基づいて5月末に司法上級審議会がこれを不適切と見なし、右人事異動を止めるよう勧告したことについて、ダラネセ検事総長がこれは不当な介入であると主張し、最高裁が介入し同勧告を取り消さないのであれば自分は辞任すると述べた。

(2)ルイス・パウリーノ・モラ最高裁長官は15日、検察の人事や規律に関しては司法上級委員会の管轄に当たるとの判断を明らかにし、同委員会の決定を支持すると述べた。モラ長官は、現時点では情報が不足しており、今後双方からより詳細な情報を得て、本件が委員会と最高裁のどちらの管轄となるのか検討し、本件人事の正否を決めたい、として、この結果が出るまでの人事凍結措置であると説明した。また、ダラネセ検事総長の辞任の可能性については「個人的な問題である」としてコメントを避けた。

(3)一方、ダラネセ検事総長はその汚職事件の捜査や麻薬組織犯罪取締の手腕を買われ、30日、国連より、今般グアテマラ無処罰問題対策国際委員会(CICIG)代表を辞任したカストレサーナ暫定代表の後任者として指名された。ダラネセ検事総長は、同決定について「非常に光栄なことである」が、同職を引き受けるかどうかについては家族と相談してから決める旨述べた。

(4)国連の決定について、チンチージャ大統領は当国に対する高い評価であるとして満足の意を示したが、検察庁からは、有能なダラネセ検事総長が辞任することとなれば、後任の人選は国にとって大きな挑戦となろう、との声が聞かれた。



3.厚生省による国会議員事務所の閉鎖騒動と国会移設の可能性


(1)厚生省は15日、国会議事堂周辺に3つの建物に分かれて存在する議員事務所について、劣化が激しく衛生状況も悪化しているとして、これら建物内の事務所を翌日までに退去するよう命じた。閉鎖勧告は5年前から出ていたが、厚生省が具体的な閉鎖の期限を提示したのは初めて。

(2)ビジャヌエバ国会議長はこれに対し、議員事務所の代替となる場所の確保が必要であるとして、漸次的に1年かけて撤退する代替案を厚生省に対して提出した。

(3)厚生省に立ち退きを命じられて以来、国会を移動するしかないと考えていたビジャヌエバ国会議長は17日の帰宅途中で、現大統領府から200mのところに建設中の建物を見つけ、翌日からBCIEにこの購入を働きかけ、この建物を将来の国会とすべく調整を進めている。同建物は11月に完成する予定で、ビジャヌエバ議長は、早ければ来年の3月には議員らは大統領府の近くに引っ越し、新たな国会の開所式を行うことができるかもしれないと述べた。



4.その他


(1)交通法改正案
   憲法法廷が「条件によっては」との曖昧な一文を違憲と判断した、罰金を合理的な範囲内に下げる交通法改正案について、国会は16日、再度特別委員会へ差し戻し、点数制や血中アルコール濃度等について内容を再検討することを決めた。

(2)国立大学4大学は2011-2015年の国立大学予算について政府と合意に至らず、同予算を現在のGDP比1.23%から2.34%に増加することを求めて、15日、サンホセ市内で教員、学生と共に大規模なデモ行進を行った。政府側は、増加できたとしてもGDP比1.30%が限度であるとしている。

(3)政府は国会が無許可タクシーに関する法案審議を一時中断したことを受け、17日、無許可タクシー業界と再度同法案内容についての交渉を再開した。無許可タクシー業界は、もし同法案が、彼らを違法のまま蚊帳の外に放っておくことを意味するならば、全国で大規模な道路封鎖を行うと宣言していた。



II. 外交


1.スターニョ前外相の国連大使辞任


(1)去る5月5日のアリアス前政権の最後の閣議において、スターニョ外相自身が自らを国連大使に任命したことについて、同31日当国倫理訴訟委員会は、右任命は倫理規定に反するもので、政府は右任命を無効とする必要がある旨表明した。

(2)チンチージャ大統領は1日、遅くとも8日までには閣議で、スターニョ前外相の国連大使任命問題に対する、政府としての法的手続きを開始するかどうかを決定する旨述べた。

(3)2日、当国大統領府は、スターニョ国連大使発チンチージャ大統領宛の書簡を受領し、同書簡の中で、スターニョ国連大使が同ポストを辞任する意志を明らかにした旨発表した。チンチージャ大統領は、当国外交の専門家を1人失うことについて残念である旨述べた上で同辞表を受理し、右辞任は直近の閣議にて承認された。

(4)8日、各種メディアは、ウリバリ元ラ・ナシオン紙編集総局長がスターニョ前外相の後任として国連大使に就任する旨報じた。ウリバリ氏によれば、同氏は2日にチンチージャ大統領から国連大使就任に関するオファーを受け、7日、同就任を受諾した。58歳のジャーナリストであるウリバリ氏は、「国連大使というポストは大命であり、自分にとって、晴天の霹靂である。自分は、外交官としてのキャリアもなく、また、国際政治を系統立って学習した経験はないが、広範な分野に関する知識がある。」と述べた。



2.イスラエル


(1)当国外務省は1日、5月31日に発生したイスラエル海軍によるガザ支援船団への襲撃事件に関して犠牲者に追悼の意を表すコミュニケを発出した。一方当国国会も議会声明を発表したが、これは犠牲者を追悼するのみに留まらず、イスラエル軍の軍事力行使を強く非難する内容となった。

(2)7日、当地イスラエル大使館は、9日から13日まで予定されていたリーベルマン・イスラエル外相の当国訪問は「技術的理由」により延期された旨発表した。本件訪問は本年4月から予定されており、イスラエル政府高官とチンチージャ大統領との会談を通じた両国間関係を強化を目的としていた。



3.パレスチナ


   8日、チンチージャ大統領は、報道関係者の前で、アリアス前政権を踏襲し、引き続きパレスチナを国家承認する旨述べた。



4.OAS


   カストロ外相は8日、リマで開催されたOAS総会に出席して演説を行い、この中で、ラ米の軍事費増加を非難し、環境問題について連帯を訴えた。また、同外相はリマにてデクヤエル元国連事務総長及びクリントン米国務長官と会談し、クリントン長官とは、フランクリン・チャン元宇宙飛行士による宇宙産業振興(プラズマ推進)について協議した。



5.SICA


(1)カストロ外相は12日、アレマンSICA事務局長を外務省に迎えて会談し、地域統合の現状やSICAとしての成功事例や課題について、その中でも特に、治安、環境、地域機構制度や薬品の共同購入等といった地域に裨益する機会の活用などについて協議した。カストロ外相はこの会談の中で、コスタリカ国内で官民協力の下進められている宇宙産業の開発、推進について紹介し、中米各国には同産業に参画することのできる企業が約80あることが判明したと述べ、中米各国やその企業にもプロジェクトに参加することを促し、関心があればSICAを通じてその意思を示して欲しいと述べた。

(2)チンチージャ大統領は29日にパナマで開催されたSICA首脳会合に出席し、同機会を利用して、パナマを訪問中のイ・ミョン・バク韓国大統領、及びベルルスコーニ・イタリア首相と二国間会談を行った。



6.カストロ外相による国会における外交方針演説


   カストロ外相は14日、国会において議員らに対し今後4年間の外交方針を説明し、この中で、現政権の重点分野は、地球規模の環境問題であり、特に気候変動及び生物多様性に取り組むと述べた。また、対外政策の重点地域は、中米並びにアジア・太平洋地域に置くこと、外務省及び選挙最高裁を通じた在外選挙の実現や、海外直接投資を利用した宇宙産業の振興についても尽力する旨説明した。



7.キルギス


   当国外務省は16日、キルギスの騒乱に対する懸念を表明するコミュニケを発出した。



8.中国


(1)2日、当国移民局はピスク労働大臣の要請で、国家スタジアムを建設中の中米チナフェック社がサンホセ市内のコンドミニオ建設のために申請した、中国人労働者100人に対する査証発給手続を中断した。ピスク労働大臣は、エンジニア・建築家協会の調査によれば、右コンドミニオ建設のために中国人労働者を連れてくる必要はないとして、25日、同査証発給申請を却下するよう要請した。

(2)一方、ブルゲス在中国コスタリカ大使は、在コスタリカ中国大の商務官が、同査証発給を求めて当国労働省及び外務省に対し圧力をかけた旨明らかにし、同商務官の在中国コスタリカ大使館に対する圧力は、今回が初めてではなく、不快であると述べ、「こうした内政干渉は、今回で最後にして頂きたい」と口上書で中国側に伝達した。



9.外務省人事


(1)現政権が発表した主な外務省人事は以下のとおり。

(政治任命)
中国大使:マルコ・ビニシオ・ルイス前貿易大臣
米国大使:ムニ・フィゲーレス元副大統領候補、元貿易大臣
仏大使:ボニージャ元韓国貿易事務所所長
カナダ大使:デルガド元コスタリカ銀行頭取
ドイツ大使:ローゼンストック(企業家、数多くの博物館館長を歴任)
アルゼンチン大使:ビジャロボス元サンホセ市役所顧問
パナマ大使:ベロカル元内務公安大臣
エルサルバドル大使:プラド前大統領府顧問
ドミ(共)大使:トーレス前大統領府副長官
バチカン大使:サンチェス前国会議員

(職業外交官)
コロンビア大使:ウガルデ前外務副大臣
ブラジル大使:モンへ元在外公館課長
スペイン大使:ペテル元パナマ大使
オランダ大使:ウルビーナ前国連大使
メキシコ大使:ヒメネス前大統領府儀典長
ニカラグア大使:サエンス前スペイン大使
イスラエル大使:カレラス元ニカラグア大使

(2)職業外交官協会は、現政権下では縁故採用が多く、これは外交官の専門性に反し時代錯誤であると批判した。例えば、カストロ外相室の新しい補佐役のうち4人は、グアナカステ県出身のPLN関係者で、一人はバジェステロ前国会議員の娘で、もう一人はオカンポ前国会議員の娘であり、カストロ外相の元教え子で、ピバ副大統領の甥は、外務大臣室長に就任している。




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7月


I.内政


1.ダラネセ検事総長の辞任


(1)6月30日、国連はCICIGの次期代表として当国のダラネセ検事総長を指名すると正式に発表した。

(2)19日、モラ最高裁長官は、ダラネセ検事総長から辞表が提出されたことを発表し、26日、最高裁において正式に辞任が受理された。

(3)ダラネセ氏は8月1日からCICIG代表に就任する予定である。他方で、同氏の辞任の原因となったとされる司法上級委員会の検察人事介入案件に関して、20日、同氏は「司法上級委員会が介入できない法的理由を説明した文書をモラ最高裁長官に提出した。本件は慎重に扱われるべきで、これ以上コメントしたくない。」と述べた。



2.全国市長選挙


(1)PLNは3日、全国81の市総会において、12月の市長選挙に出馬する党の市長候補を選出した。サンホセ市の総会では、アラヤ現市長(52歳、農業技師)が、満場一致で次期市長候補に選出された。アラヤ氏がサンホセ市政のトップに立ってから既に19年が経過しており、今回市長に選出されれば、サンホセ市政は25年間、アラヤ氏指揮の下にあることとなる。

(2)アラヤ市長は、市長に再選された暁には、現在350名の市警察を倍増し、極貧生活者のためのシェルターを設置したり、中低所得者層に向けた都市住宅計画を遂行すると述べた。



3.PLN新党首選出


(1)31日、PLN党大会が開催され、ロドリゴ・アリアス前大統領府長官等の支持を受けたベルナル・ヒメネス元国家計画・経済政策大臣(国会議員、中央銀行総裁を歴任)が新党首に選出された。

(2)他方で、午前10時から始まった同大会は途中解散となったため、副党首、財務官を選出するに至らなかった。

(3)今時大会では党首の他、党幹部の大部分が選出される予定だったが、オスカル・アリアス前大統領及びロドリゴ・アリアス前大統領府長官に近いグループ(党内の主流派と見られている)が推す候補が、副幹事長選で敗れた後、副党首選出でも勝利できなかった(同派の候補は過半数を獲得できなかったため第二回投票に持ち越し)ため、同派が今時大会を途中解散させたとの見方もある。



4.その他


(1)教育予算
   国会は5日、現行憲法がGDPの6%以上と定める教育予算を8%に引き上げることについて、同部分の憲法改正を行うことで2度目の承認を行った。本件は憲法改正となるため、別々の国会期2期においてそれぞれ2回投票・承認されればならず、今後の手続きとしては来年2011年5月1日に再びチンチージャ大統領より同法案が国会に提出されるのを待つこととなる。

(2)治安問題
   ティヘリノ内務公安大臣は、国会議員を前に、コスタリカの警察官は、街頭で市民を守るには非常に脆弱であり、現在、市民千人当たり一人の警察官にも満たない旨述べた。更に同大臣は、装備不足、適正な給与への是正等課題が山積しており、このままでは近いうちに対処不可能な困難な状況に陥るであろう。」と述べた。

(3)クルシータス問題
   22日、最高裁は、クルシータス鉱山採掘を中止する権限は政府が有するとの見解を示した。これにより、本件採掘を請け負う加系Industrias Infinito S.A.社に対するコンセッションを政府が打ち切るか否かが争点となったが、27日、チンチージャ大統領は、現時点ではコンセッションを打ち切らず、同社への同様の裁判が行われている行政訴訟裁判所の判断を待つと発表した。

(4)水に対する権利
   21日、マルティンPLN院内総務は水に対する権利を人権として保護するための憲法改正について、PLNが8年間支持し続け、チンチージャ大統領も議員時代に署名した憲法121条(国会の権限)改正案を否定し、憲法50条(国民が健康に生きる権利)に水資源保護を含める案を推進する旨表明した。

   29日、PLNはPAC、FA、排除なき参画党(PASE)、国家復興党(RN)及びコスタリカ刷新党(RC)代表者(6党合わせて57議席保有)と会合を行い、憲法改正案の内容について合意に達した。同改正案は、憲法50条及び121条双方を改正するもので、50条には「水に対する人権は基本的かつ拒絶できない」との文言を、121条には「水は公共財産であり、その開発は現行立法の規定に従う」との文言を加えるものである。



Ⅱ.外交


1.対中国関係


(1)国立スタジアムの建設に従事している中国の建設会社(AFECC社)は、サンホセ市サバナ・スル地区のコンドミニオ3棟の建設に従事する40名の中国人労働者の査証手続きのために、在中国コスタリカ大使館領事に謝礼を提供していたことを受けピスク労働大臣は、右労働者への査証発給を中止する命令を下し、新たな報告書を提出するよう指示した。その後同社は、コスタリカでの事業を取りやめ、コスタリカから撤退する旨表明した。また同社は、国立スタジアムの建設材料(免税措置を受けている)、及び同スタジアム建設従事のための車両に対する公用ナンバーの目的外使用疑惑により、検察庁に告発された。

(2)コスタリカ政府は、国立スタジアム建設に携わる中国企業に対し、同企業が免税で輸入した機材を流用したり、労働者が他の事業に従事しないよう規制を強化することを決定した。



2.SICA


(1)チンチージャ大統領は、20日エルサルバドルで開催されたSICA首脳会合に出席し、同会合の成果が中米関税同盟進展及び市民の治安プログラムに反映されることを期待する旨述べた。また、同大統領は、中米市場を活性化するためには、モニタリングが重要であり、医療、市民の治安、貧困撲滅の分野で中米諸国が目標を達成しなければならない、と述べた。

(2)同日、コスタリカ、エルサルバドル、グアテマラ、パナマの首脳並びにドミニカ(共)の副大統領、ベリーズの副首相が特別宣言に署名し、ホンジュラスのSICA復帰を承認した。



3.対コロンビア関係


   23日、サントス次期大統領が当地を訪問し、チンチージャ大統領と1時間半にわたって会談した。

   会談後、記者会見においてチンチージャ大統領は、コロンビアとの協力分野としてまず治安問題を挙げ、その他環境、エネルギー、観光協力についても言及した。サントス次期大統領は、「自分は、ウリベ大統領がこれまでコスタリカと構築してきた政治路線を継承していき、環境、治安、貿易等の地域共通の課題を強化していきたい。」と述べた。



4.対韓国関係


(1)6月29日、李明博韓国大統領は、チンチージャ大統領の提案を受けて、コスタリカ及びパナマと自由貿易協定交渉を開始することとした。

(2)同自由貿易協定以外のテーマとしては、コスタリカは同大統領に対し、韓国からの借款で、コスタリカ大学にラ米科学技術パークを設置できないなかどうか打診した。

(3)カストロ外相は、「韓国との自由貿易協定については、既にCOMEX(貿易省)と連絡を取り、右準備を開始するよう手配している。」と述べた。



5.対キューバ関係


   8日、コスタリカ政府はカトリック教会及びスペイン政府のキューバ国内での仲裁の進展を歓迎する旨の以下のコミュニケを発表した。 



6.対メキシコ関係


   13日、カストロ外相はメキシコを訪問し、12月にカンクンで開催される気候変動会合の準備について協議した。また、中米諸国間で、中米地域で年々増加するメキシコとコロンビアの組織犯罪に対峙するための協定を締結する計画があること、及び2011年第一四半期に米国も含めて中米諸国が右協定を協議するために会合を開催する旨述べた。



7.対ニカラグア関係


   21日、カストロ外相は、サンファン河浚渫問題について協議するために、ニカラグアを訪問し、サントス・ニカラグア外相と会談した。22日、オルテガ・ニカラグア大統領は、ロベルシ外務副大臣が発出した「サンファン河の浚渫については科学的調査結果が出るまでは、中止すべきである。」旨の書簡に対し不快の念を表明した。サントス外相は、コミュニケを通して、「サンファン河はニカラグアに帰属するので、我々が必要とする時にはいつでも浚渫できる。」と述べた。更に、サントス外相は21日、「時期は未定なるも、我々は近いうちにサンファン河浚渫を開始する。」旨声明を出した。

   また、カストロ外相は、上記ニカラグア訪問を利用して、米国艦隊のコスタリカ寄港の許可は、コスタリカの軍拡を意味するのではなく、麻薬・組織犯罪に対峙するためのパトロールを許可するものであり、右はコスタリカと米国との協定の一環である旨サントス外相に説明した。



8.対米関係


   当国外務省は23日、米国アリゾナ州の移民法に反対する声明を発出した。
また27日には、麻薬犯罪対策及び組織犯罪対策のため、米軍艦隊派遣の必要性に関する声明を発表した。



9.その他


(1)気候変動
   2名のコスタリカ人(グティエレス(Edgar Gutierrez Espeleta)コスタリカ大学統計学科長(生物学者)及びカンポス(Maximiliano Campos)OAS水資源課長)が、2014年に報告書を提出するための気候変動に関する政府間パネル(IPCC)に参加する。

(2)宇宙開発
   24日、グアナカステ県リベリア市で、当国外務省主催の国家宇宙開発計画開始式典が開催された。宇宙開発は、チンチージャ政権の重点事項の一つで、右を通じて中米統合、環境分野での発展及び当国の国際社会でのプレゼンスを高めることを目標としている。




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8月


I.内政


1.統一地方選


(1)6日、選挙最高裁判所(TSE)が12月5日実施予定の統一地方選を告示。告示対象は、全国81自治体の市長、副市長、第二副市長、472人の地区長(Sindico)、1,856人の市議会議員(Consejal de Distrito Propietario)、8特別区の区長(Intendente)、副区長及び32人の特別区議会議員(Consejal Municipal de Distrito Propietario)。通常、市長等の任期は4年だが、新公職選挙法により、今次選挙の当選者だけは6年となる。これは、今後地方選挙を国政選挙の間の年に実施することとしたため、次回選挙を2016年に実施するための特別措置である。

(2)28日、チンチージャ大統領は「市制の日」記念式典におけるスピーチの中で、現在議論が活発化している地方分権問題に触れ、地方への権限委譲には賛成するものの、すべての市に良い市長がいるわけではなく、官僚主義によって予算が有効利用されていない例もあると批判し、権限委譲の中身を吟味する時間が必要であると述べるとともに、地方分権に慎重な姿勢を見せてきたアルファロ国家企画・経済政策大臣を支持するとの立場を示した。



2.同性婚承認法案


   10日、憲法裁判所は、TSEが12月5日に実施しようとしていた、同性婚承認法案の国民投票に関する見解を発表した。その中で、同国民投票を実施すれば同性愛者に対する差別が助長される可能性があり、少数の人権に関する決定を大多数の判断に委ねてはならないとして、国民投票を実施しないようTSEに命じた。また、国民投票は、国際条約で認められている人権保護に関する決定に使われるべきではなく、同性婚承認は国会が扱うべきテーマであるとの見解を示した。



3.チンチージャ政権3ヶ月の世論調査


   Unimer社がチンチージャ大統領就任から約3ヶ月経った7月末に世論調査を実施し、大統領の施政評価は38%、大統領の指導力有りが74%等、ある程度の支持を得たとの結果になった。



4.ダラネセ検事総長のCICIG代表就任


   1日、ダラネセ検事総長が同職を辞任しCICIG代表に就任した。任期は2011年9月までの13ヶ月。同氏は検事総長としてやり残した仕事として、有罪判決を増加させるための検事業務の評価制度の導入(現在、検察が起訴した訴訟の内52%が無罪判決)及び検察理事会(検事補佐及び専門検事25人から成る)の機能強化を挙げた。ダラネセ検事総長辞任に伴い、後任人事に注目が集まっている。



Ⅱ. 外交


1.対中国関係


   1日、楊潔チ中国外相は、コスタリカを訪問し、チンチージャ大統領等と会談。右会談において、チンチージャ大統領が中国側にリオ・フリオ~リモン間の道路拡張計画(片側2車線の合計4車線にする拡張工事、2億2千百万ドル)及び北部回廊道路建設計画(当国北部のグアトゥソ、ウパラ、チレを貫通する道路建設、790万ドル)に関する協力を要請した他、レベンタソン及びディキスの水力発電所建設計画、リモン港の石油精製所の近代化及び新鮮なフルーツを輸出するためのコンテナーターミナルの建設についても協議した。また、中国のコスタリカ中央銀行に対する中小零細企業並びに女性のための資金供与についても協議された。同外相はアリアス前大統領とも会談した。



2.麻薬対策・対米関係


(1)外務省は7月27日付コミュニケで、麻薬・組織犯罪対策協力のために当国に米国艦が派遣されていることについて、その正当性を、麻薬問題の深刻さと、これまでの順調な米国との協力関係という観点から説明した。また8月5日、リモン市及びシキレス市の医療サポートをするための米国間「硫黄島」のリモン港寄港について、国会で賛成多数で承認された。

(2)外務省は7月29日付コミュニケで、コスタリカは、カリブ海域における麻薬違法取引の取り締まりを強化するため、オランダ、ベリーズ、米国、フランス、グアテマラ、ドミニカ(共)の7ヶ国と協定を締結した旨発表した。



3.対コロンビア関係


   7日、チンチージャ大統領はサントス新コロンビア大統領就任式に出席した。チンチージャ大統領は、コロンビアは投資するには有望な国であるが、右はウリベ前政権の尽力の結果治安状況が改善され、企業が投資する環境が整ったことが大きい、と述べた。また同大統領は、コレア・エクアドル大統領と両国共通の関心事項である環境について会談した。



4.対ニカラグア関係


   モラレス・ニカラグア副大統領は、8月中に開始予定のサンファン河浚渫について、サンファン河はコスタリカ国境直近に位置しているので、両国は連絡を密に取り合って、右浚渫が両国にとって全く影響を及ぼさないことを確認する必要がある旨述べた。



5.インスルサOAS事務総長の当地訪問


   23日、チンチージャ大統領は当地訪問中のインスルサOAS事務総長と治安、麻薬対策等について会談した後、マリファナ合法化に関して「他国の例、健康に及ぼす影響、中毒者に対する対処など様々な事項を綿密に調査する必要がある。」と発言。




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9月


I.内政


1.アリアス派を巡る動き


(1)PLN幹部の一部(副党首及び監査)が未選出の状況を巡り、反アリアス派はロドリゴ・アリアス前大統領府長官が全て指揮することに反発を感じ、早期の選挙実施を要求しているのに対し、アリアス派は来年1月の幹部会改選の際に選出すれば良いとの立場で、両派は対立している。

(2)本件に関し、未選出の副党首就任に意欲を示し、早期の党大会開催を求めていたクララ・リーベルマン氏(反アリアス)は、12月の市長選を前に党内融和を優先するとして、年内の党大会実施を求めない方針を示した。これにより反アリアス派運動は熱を失ったとの見方も出ている。

(3)他方で、コスタリカ・カトリック教会の資金運用に関して、現在検察が違法行為の有無について調査を進めており、これにアリアス兄弟が実質的な経営権を握るSama Internacional社の関与も取りざたされている。



2.野党連合結成への動き


   市民行動党(PAC)、自由運動(ML)、キリスト教社会統一党(PUSC)、排除なき参画党(PASE)及び広域戦線(FA)の野党5党は、国会における主導権を握るための連合結成に合意した。右5党の合計議席は31議席になり、全57議席中の過半数を占めることになる。



3.新検事総長の選出


   4日、最高裁において8月に辞任したダラネセ前検事総長の後任選出が行われ、ホルヘ・チャバリア前公安副大臣が選出された。同氏はコスタリカ大学法学部を卒業し、これまで組織犯罪、経済犯罪、汚職等を中心に33年間にわたる治安関連業務の経験を有する。同氏は選出後ラ・ナシオン紙の取材に応え、これまでの検察による有罪確定率60%を低すぎると批判し、80%まで引き上げる方針を示した。



4.国際商事紛争仲裁法案


   国際商事紛争の仲裁をコスタリカ国内で実施することを可能にするための「国際商取引法国連委員会モデル法案」(国際商事紛争仲裁法案)が、国会外交委員会で承認され、現在本会議で審議中である。この法案は、全ての自然人・国際法人及び全ての外国での義務を伴うビジネスに適用され、契約書締結から仲裁実行まですべてのプロセスが対象となる。



Ⅱ. 外交


1.カストロ外相の訪日


   13日から15日にかけて、カストロ外相が、アジア太平洋諸国との関係強化の枠組みにおいてアジア外遊を実施し、最初の外遊先として日本を訪問。岡田外相及び小沢環境相と会談したほか、宇宙航空研究開発機構(JAXA)、NHK、自動車会社(電気自動車視察)、JICAを訪問し、国連大学で講演を行った。訪日の主な目的は、政治・経済関係強化、環境・科学・観光・宇宙開発協力の拡大。



2.カストロ外相の訪韓


   カストロ外相は訪日後の15日及び16日に韓国を訪問した。申・外交通商部長官臨時代理等と会談を実施し、既に開始を合意したFTA交渉や、環境協力、デジタル政府化、宇宙開発等について協議した模様。また、韓国科学技術機構、韓国開発機構を訪問した他、韓国政府高官・有識者・企業関係者会合に出席。更に延世大学で講演を行い、同大学との協力協定に署名した。



3.チンチージャ大統領の国連総会出席


   チンチージャ大統領は初の国連総会に出席し、総会及びMDGsに関する国連首脳会合で演説を行い、治安対策や環境問題への協力を訴えた。また、ペレス・イスラエル大統領、アッバース・パレスチナ大統領等と二国間首脳会談を実施した他、米企業との会合やプレス・インタビューにおいて、コスタリカへの投資を誘致した。<

   同大統領に同行したカストロ外相もケント加米州担当相、グリシェンコ・ウクライナ外相、シャヒード・モルディブ外相等と会談を実施し、モルディブと外交関係樹立に合意した。



4.対ニカラグア関係


   8日、カストロ外相は国会環境委員会において、ニカラグアのサンファン河浚渫計画に関し、ニカラグア政府の環境調査の結果に満足しており、コスタリカの環境には特段影響を及ぼさない旨表明し、事実上サンファン河浚渫計画を容認した。



5.対ボリビア関係


   モラレス・ボリビア大統領が「実質的にコスタリカの軍隊は米軍である」と発言したことに対し、1日、コスタリカ外務省はコミュニケを発出して強く反発した。これを受けて4日、モラレス大統領はコスタリカを侮辱する意思はなかったとして謝罪した。



6.対エクアドル関係


   エクアドルでコレア大統領がクーデター未遂と呼んだ騒擾事件に関し、コスタリカ外務省は30日、コレア政権を支持し、クーデターの企てを非難する声明を発出した。




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10・11・12月


I.内政


1.新検事総長の選出


   10月4日、最高裁において8月に辞任したダラネセ前検事総長の後任選出が行われ、ホルヘ・チャバリア前公安次官が選出された。同氏はチンチージャ政権発足時に公安次官に任命されたが、検事総長選挙に出馬するために同職を辞任していた。コスタリカ大学法学部を卒業し、これまで組織犯罪、経済犯罪、汚職等を中心に33年間にわたり治安関連業務の経験を有する。



2.ICE元幹部の収賄疑惑


   10月22日、英ロンドンの法廷において、英国保険会社PWS Holdingの元社員が、INSとの保険契約に際してINS及びICEの元幹部に贈賄をしていたと証言し、25日には同法廷で検察が、贈賄対象はセケイラ元ICE総裁と複数の元INS幹部であったことを明らかにした。



3.鉱山開発の規制


(1)11月9日、広域戦線(FA)や市民行動党(PAC)が環境保護のために推進してきた、露天掘り鉱山採掘禁止を規定する法案が可決された。同法案成立により、露天掘り鉱山開発の他、シアン化物等の有毒物質を使用した鉱山開発等に対する政府のコンセッション許可が禁止されることとなった。

(2)11月24日、行政裁判所は、アリアス前政権がIndustrias Infinito S.A.社(加系)に付与したクルシータス金鉱山開発コンセッション付与を違法と判断し、同コンセッションを停止する判決を下した上で、Infinito社や政府等に対し、本件開発によって引き起こされた森林伐採を回復するよう命じた。更に同裁判所は検察に対し、コンセッションを付与したアリアス前大統領、ドブレス前環境大臣等に対し、背任容疑による刑事告発を検討するよう要請した。



4.世論調査


   11月26日、Unimer社の世論調査結果が発表され、対ニカラグア紛争への政府対応への支持が66%、チンチージャ大統領の施政への支持が62%(10月から21%上昇)等となり、対ニカラグア紛争への対応が政府の支持率上昇に寄与していることが判明。
   また、国民の最大の心配事は1位:治安(33%)、2位:失業(14%)、3位:物価高(10.6%)等となった。



5.地方選挙


(1)12月1日、全国地方選挙が実施され、市長選において、PLNが、首都圏主要都市(サンホセ、アラフエラ、エレディア、カルタゴ)を含む、59市長選(全市長の72%)で勝利した。

(2)投票率は28%と低迷し、依然として市民の市長選への関心の低さが示された。



6.国家開発計画の発表


   12月14日、チンチージャ政権の2014年までの政策の中心となる「2010ー2014国家開発計画」が発表された。2014年までの経済成長5~6%の達成、再生可能エネルギーによる電力95%生産等の具体的数値目標を設定し、そのための政府の行動軸を「社会福祉」、「治安・社会平和」、「環境と土地の有効利用」、「競争力とイノベーション」に4分類した。



Ⅱ.外交


1.カストロ外相のアジア訪問


   10月、カストロ外相が自身二度目のアジア訪問としてカタール、インド及び中国を訪問した。カタールではハマド首長と会談した他、コスタリカ大使館の開館式に出席した。インドではクリシュナ外相及びラメシュ環境相と会談した他、コスタリカ大使館の開館式に出席した。中国では、楊潔チ外相及び回良玉・国務院副総理と会談し、FTA等の経済関係促進の他、治安対策、環境、航空産業等に関する協力について協議した。またカストロ外相は中国において、アジア太平洋地域のコスタリカ大使(日本、韓国、中国、シンガポール、カタール及びインド)と会合を持ち、同地域への外交戦略について協議した。



2.対ニカラグア紛争


   10月、コスタリカ政府はサンフアン河浚渫に関連し、ニカラグア軍がコスタリカ領土(Isla Calero地域)に侵入し、またコスタリカの環境に重大な影響を及ぼしていると告発し、その後本件はIsla Calero地域の帰属を巡る国境紛争に発展した。解決のための二国間対話の目途が立たず、11月、コスタリカの要請に応じてOAS緊急理事会が開催され、国境付近に駐留するニカラグア軍の撤退勧告を含む決議が採択されたが、ニカラグア軍は撤退せず、OASの調停能力の限界が露呈された。またコスタリカはICJに対し、ニカラグアによる領土侵入と環境破壊の中止を求めて提訴した。12月には、メキシコ及びグアテマラが、本件紛争の仲介を行う意思を表明したが、実を結ばなかった。コスタリカは本件を主権に関わる問題として重視し、カストロ外相を中心に各国や国連の場においてコスタリカの立場を説明し支援を求めた。



3.多国間関係


(1)10月26日、チンチージャ大統領がコロンビアで開催された第12回トゥクストラ対話と協議メカニズム・サミットに出席し、民主主義体制の強化、環境保護、治安対策等について協力を訴えた。

(2)12月4~6日、チンチージャ大統領は亜で開催された第20回イベロアメリカ・サミットに出席し、対ニカラグア紛争に関するコスタリカの立場を説明し協力を求めた。また、各国代表と個別に会談し、協力を働きかけた。

(3)12月9日、メキシコ・カンクンで開催されたCOP16に、コスタリカ代表としてピバ副大統領が出席し、炭素中立化等、コスタリカの気候変動への取り組みを発表するとともに、先進国に具体的アクションを求めた。また、同副大統領はカストロ外相とともに記者会見を実施し、対ニカラグア紛争に関する立場を説明した。



4.その他


(1)10月10日、中国人権活動家の劉暁波氏のノーベル平和賞受賞について、チンチージャ大統領が劉氏の活動を評価する発言をし、「友人同士の間では注意深く見つめ合うことも大事である」と述べ、中国の人権状況を批判するコメントを発表した。他方で、その直後の14日、同大統領は、中国の援助で建設中の国立スタジアムを中国大使の案内で訪問し、中国との友好関係をアピールした。また、その場では劉氏のノーベル平和賞受賞に関する言及を避けた。

(2)10月27日、コスタリカ政府は、キルチネル前亜大統領逝去に関し、弔意を表するコミュニケを発表した。

(3)11月1日、コスタリカ政府は、10月31日の伯大統領選挙でジルマ・ルセーフ氏が勝利したことに関し、伯政府及び国民に祝意を表するコミュニケを発表した。

(4)11月23日、コスタリカ政府は、北朝鮮による韓国・延坪島への砲撃を非難するコミュニケを発表した。

(5)コロンビア・ウリベ前政権で内務法務大臣と駐伊大使を務めたサバス・プレテルト・デ・ラ・ベガ氏が、10月初頭ローマにおいて、在伊コスタリカ大使館に対して政治亡命を申請していたが、コスタリカ政府は政治的迫害の証拠がないとして右申請を拒否した。




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