小石川植物園とランケスター植物園が学術協定を締結(令和5年9月26日)

令和5年9月28日
川北篤園長とアダン・カレマンス園長
署名をする川北園長
署名をするカレマンス園長
令和5年9月26日、コスタリカのカルタゴ市にて、東京大学大学院理学系研究科附属植物園(小石川植物園)とコスタリカ大学理学部附属ランケスター植物園は、学術交流に関する協定を締結しました。アジア地域の大学(附属植物園)とランケスター植物園とが協定を結ぶのは、今年で設立50年を迎える同植物園の歴史上初めてのこと、及び17世紀(徳川幕府時代)から歴史のある小石川植物園にとっても、中南米の研究植物園との協定は史上初とのことです。

今回の協定の署名式は、小石川植物園の川北篤園長(東京大学大学院理学系研究科教授)他が出席し、ランケスター植物園のアダン・カレマンス園長(コスタリカ大学教授)と署名を交わしました。また、当館から小松親次郎大使とJICAコスタリカ支所から高野剛支所長が多くの現地関係者と共に本署名式に立ち会いました。

本協定では、両植物園の教員及び学生などの交流、共同研究の実施や学術情報の交換など、人的及び知的交流を実現するように、互いに協力していくことなどが合意されました。

署名式で、カレマンス園長は「東京大学の御一行を迎えられたことを大変光栄に思います。また両植物園を繋げるきっかけとなった、在コスタリカ日本国大使館へも謝意を表します。これまでにも、ランケスター植物園は日本との良好な関係を築いてきましたが、この度の協定により、学術の分野でも関係を強化することになります。共通の研究対象があり、情報交換が期待でき、さらに、両植物園・大学の学生や研究者などの人的交流も行い、学術に加えて、文化的な交流を深めて行くことができれば嬉しいです。」と述べられ、川北園長は「植物は世界と繋がっており、今回の協定のように、日本国外の植物園・研究機関と関係を広げていくことは非常に重要であり、共同研究や研究成果を共有することで、植物学全体の発展に繋がることになります。研究者に限らず、日本の学生が海外で研究する経験を得ることで研究者の育成も期待できます。また、日本の植物学の父と称される、牧野富太郎が30年以上在籍していた日本を代表する小石川植物園が海外の植物園と協定を結ぶことで、日本の植物園をより魅力的にすることや日本の植物を多くの方に知ってもらう機会になることも期待しています。」と述べられました。

その後、協定締結を記念したシンポジウムが行われ、両園長と東京大学とコスタリカ大学の学生・研究者による両植物園の概要や研究内容についての発表があり、今後の共同研究への足がかりとなりました。

今後の両国における植物学の発展及び学術交流を通した両国の友好関係の強化が期待されます。

(参考)
・コスタリカ大学理学部附属ランケスター植物園
コスタリカを代表する研究植物園。世界的にも貴重なラン(蘭)のコレクション及び同分野の研究をはじめ植物研究の水準において高く評価されている。
同植物園は一般公開されており、観光名所として、国内外から多くの来場者があり、また日本からの援助により日本庭園も同植物園の見所となっている。
2023年6月には、コスタリカ帰国留学生会(文部科学省国費留学制度で日本へ留学した経験を有する方たちの団体)と共同で、「核兵器のない世界」など平和を祈念する石灯籠を同日本庭園内に設置するなど、平和を象徴する場所ともなっている。

・東京大学大学院理学系研究科附属植物園
植物学の研究・教育を目的とする東京大学の附属施設。同植物園は日本でもっとも古い植物園であり(1684年:徳川幕府時代に植物園の前身となる「小石川御薬園」ができる)、世界でも有数の歴史を持つ植物園の一つ。
一般にも公開されている広大な植物園で、台地、傾斜地、低地、泉水地などの地形を利用して様々な植物が配置されている。日本庭園も設けられている。
同植物園は日本の近代植物学発祥の地でもあり、現在も自然誌を中心とした植物学の研究・教育の場となっており、特に東アジアの植物研究の世界的センターとして機能している。
栃木県日光市には、1902年に設立された「日光分園」があり、東京では栽培の難しい山地植物に関する研究・教育が行われており、「日光植物園」の名前で親しまれている。
 
ランケスター植物園の植物(ラン)を観察している様子(1)
ランケスター植物園の植物(ラン)を観察している様(2)
シンポジウムの様子 (1)
シンポジウムの様子 (2)