コスタリカ社会
平成29年4月25日
常備軍の不保持
(1) コスタリカでは、1949年、ホセ・フィゲーレスによって軍隊が廃止されました。フィゲーレスは、大統領選挙に端を発して起こった1948年の内戦に勝利を収めた後、軍隊廃止を決意しました。その結果1949年に制定された憲法第12条においては「恒久制度として軍隊を放棄する」と明記されました。以降、軍事クーデター等による政情不安に陥る事のない、政治的に極めて安定した民主主義国家となっています。非常事態の際は国会議員の3分の2の賛成投票により、徴兵制の実施及び軍隊の編成の権限が大統領に与えられていますが、1980年代の中米紛争においても軍隊は組織されませんでした。また、モンヘ大統領(当時)は中米紛争の只中、1983年11月に「コスタリカの永世的、積極的、非武装中立に関する大統領宣言」を行いました。
(2) 一方で、コスタリカは常設の軍隊を放棄を宣言すると同時に、集団的安全保障条約であるリオ条約に加盟しました。コスタリカの非武装政策は、地域的集団安全保障条約であるリオ条約に加盟することで、集団的安全保障機関としてのOASの集団的安全保障期間の役割を肯定し、対外安全保障をOASの地域的集団安全保障に頼る形になっています。
(3) そのため、1987年の中米和平合意による中米紛争の沈静化、1991年ソ連崩壊による冷戦終結により、周辺地域の安全保障上のリスク自体が低下した後も、コスタリカは常設の軍隊を持たないことにより、安全保障を中心とした自国の国益が他国の動向に大きく左右され得ることを自覚しており、引き続き対米関係のほか国連やOASといったマルチ外交を重視しています。また、非武装国家として、民主主義、人権、軍縮、環境といった分野で積極的な活動を行うことで、国際社会において平和国家としての地位を築くことにより、万一武力侵攻がコスタリカに対し行われた場合にも国際社会の支援を受けやすい環境を作りだすなど、様々な努力を行っています。
(参考)
【コスタリカ憲法第12条】
「恒久制度としての軍隊を放棄する。公共秩序の監視と維持のため、必要な警察力を保持する。ただ大陸間協定もしくは国家の防衛のためだけに、軍隊を招集することが出来る。いずれの場合も、それらは常に文民の権限に属する。単独でも共同でも、審議すること、声明を出すこと、宣言を出すことは出来ない」
(2) 一方で、コスタリカは常設の軍隊を放棄を宣言すると同時に、集団的安全保障条約であるリオ条約に加盟しました。コスタリカの非武装政策は、地域的集団安全保障条約であるリオ条約に加盟することで、集団的安全保障機関としてのOASの集団的安全保障期間の役割を肯定し、対外安全保障をOASの地域的集団安全保障に頼る形になっています。
(3) そのため、1987年の中米和平合意による中米紛争の沈静化、1991年ソ連崩壊による冷戦終結により、周辺地域の安全保障上のリスク自体が低下した後も、コスタリカは常設の軍隊を持たないことにより、安全保障を中心とした自国の国益が他国の動向に大きく左右され得ることを自覚しており、引き続き対米関係のほか国連やOASといったマルチ外交を重視しています。また、非武装国家として、民主主義、人権、軍縮、環境といった分野で積極的な活動を行うことで、国際社会において平和国家としての地位を築くことにより、万一武力侵攻がコスタリカに対し行われた場合にも国際社会の支援を受けやすい環境を作りだすなど、様々な努力を行っています。
(参考)
【コスタリカ憲法第12条】
「恒久制度としての軍隊を放棄する。公共秩序の監視と維持のため、必要な警察力を保持する。ただ大陸間協定もしくは国家の防衛のためだけに、軍隊を招集することが出来る。いずれの場合も、それらは常に文民の権限に属する。単独でも共同でも、審議すること、声明を出すこと、宣言を出すことは出来ない」
教 育
(1) コスタリカ憲法は、国に教育を提供する義務を課しており、また、教育の自由が憲法上の権利として保障されています。民主主義と人権の概念が、当国における主要教育項目として挙げらてい ます。 政府は、国内総生産(GDP)の最低6%を教育に充てなければならない旨憲法上の規定があ ります。かつては7%超が充当されていたこともありますが、最近は概ね6%前後で推移しています。なお、当国における義務教育は10年間であり、日本でいうところの小学校(6年間)及び中学校(前期中等教育:3年間)教育の他、就学前教育の最終年限(小学校入学前の1年間)も義務教育とされてい ます。義務教育は無償です。
(2) 非識字率は2.4%(2011年)で、中南米諸国中では、ウルグアイ及びチリに次いで第3位の低率。また、就学率は上昇傾向にあり、中等教育以上(日本で言う高校以上)の教育を受けた人口が1995年の27.7%から2004年には33.7%まで増加してい ます。なお、初等教育における就学率は、98.5%、前期中等教育は、70.5%、後期中等教育は、38.4%、高等(大学)教育は、23.4%です。
(3) 国の総人口に比して高等教育機関の数は多く、全国で53の大学があります。うち、国立大学が4大学(コスタリカ大学、ナショナル大学、工科大学、遠隔教育大学)、他は私立大学(大多数は小規模)で す。国民の間では概して国立大学の方が評価は高く、コスタリカ大学(サンホセ東郊に本校、地方数箇所に分校あり:学生数約3.2万人)及びナショナル大学(エレディアに本校、南部に分校あり:学生数約1.3万人)は規模、水準において当国の2大高等教育機関とされています。
(2) 非識字率は2.4%(2011年)で、中南米諸国中では、ウルグアイ及びチリに次いで第3位の低率。また、就学率は上昇傾向にあり、中等教育以上(日本で言う高校以上)の教育を受けた人口が1995年の27.7%から2004年には33.7%まで増加してい ます。なお、初等教育における就学率は、98.5%、前期中等教育は、70.5%、後期中等教育は、38.4%、高等(大学)教育は、23.4%です。
(3) 国の総人口に比して高等教育機関の数は多く、全国で53の大学があります。うち、国立大学が4大学(コスタリカ大学、ナショナル大学、工科大学、遠隔教育大学)、他は私立大学(大多数は小規模)で す。国民の間では概して国立大学の方が評価は高く、コスタリカ大学(サンホセ東郊に本校、地方数箇所に分校あり:学生数約3.2万人)及びナショナル大学(エレディアに本校、南部に分校あり:学生数約1.3万人)は規模、水準において当国の2大高等教育機関とされています。
環 境
(1) 当国の国土はその42%が農牧地、38%が熱帯雨林で、砂漠等の乾燥地はありません。世界の生物種の5%以上が生息しています。コスタリカは環境先進国として広く知られ ています。環境権は個人の権利であると同時に、社会がこれを保障しなければならない対象として認識されています。国土の約4分の1(24%)が国立公園、自然保護区等の指定地域となっており、また、憲法は、健全かつ生態バランスのとれた環境に対する権利を保障するとともに、生物多様性、野生生物保存、森林保護、水質保全等に関し環境保護を定めた諸法律が存在 します。
(2) コスタリカは、気候変動枠組み条約に係わる京都議定書の強力な推進国であり、CDM(クリーン開発メカニズム:排出権取引)に対応する国内法を有してい ます。また、環境外交の推進者であり、オゾン層の保護をはじめ地球環境条約の忠実な履行国です。平成25年12月には、石原環境大臣(当時)とカストロ・コスタリカ環境エネルギー大臣の間で日・コスタリカ低炭素成長パートナーシップへの署名が行われ、二国間で二国間クレジット制度を創設することに合意しました。二国間クレジット制度とは、日本の低炭素技術や製品の移転を通じ、コスタリカで温室効果ガスが削減された場合、削減分を日本の貢献分として評価する仕組みです。
(2) コスタリカは、気候変動枠組み条約に係わる京都議定書の強力な推進国であり、CDM(クリーン開発メカニズム:排出権取引)に対応する国内法を有してい ます。また、環境外交の推進者であり、オゾン層の保護をはじめ地球環境条約の忠実な履行国です。平成25年12月には、石原環境大臣(当時)とカストロ・コスタリカ環境エネルギー大臣の間で日・コスタリカ低炭素成長パートナーシップへの署名が行われ、二国間で二国間クレジット制度を創設することに合意しました。二国間クレジット制度とは、日本の低炭素技術や製品の移転を通じ、コスタリカで温室効果ガスが削減された場合、削減分を日本の貢献分として評価する仕組みです。