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在コスタリカ日本国大使館

Embajada del Japón en Costa Rica

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コスタリカの政治

概 要

(1) 大統領を元首とする立憲共和制。大統領及び国会議員の任期は各4年で、直接選挙により選出。立法権は国会(立法議会)、司法権は最高裁以下の裁判所、行政権は大統領及び内閣により行使される。右三権の他、選挙最高裁判所、会計検査院、検察庁、住民擁護官(オンブズマン)が強い発言権・影響力を有するため、俗に「七権分立」と呼ばれることもある。例えば、公的機関がある規模以上の特別予算を組みそれを執行する際には、会計検査院の事前認可が必要である。

(2) 1948年は大統領選挙の結果を時の政府が無視しようとしたことから内戦が発生したが、内戦を経て作成された1949年の憲法で常備軍を放棄し、以降今日まで70年近くも民主主義を維持してきた。中南米で政治的に最も安定している国の一つと言われており、比較的レベルの高い義務教育を通じて国民一般に立憲民主制の政治理念が浸透している。なお、コスタリカの民主主義の基盤の背景として、(1)常設の軍隊がないこと、(2)教育が普及し、識字率も高く国民の文化水準が高いこと、(3)貧富の差が比較的少ないこと、(4)気候が温暖、自然状況も温和で、過激に走らぬ平和的国民性が培われていること、等が挙げられている。

コスタリカ内政・外交情勢

国家機構


大統領(Presidente) 及び 内閣(Consejo de Gobierno)

   任期は4年で、連続再選は禁止されているが、8年後に再選資格が生ずる。2018年大統領選挙では、市民行動党(PAC)のカルロス・アルバラード・ケサダ(Carlos Alvarado Quesada )候補が勝利した。1949年の憲法制定以来,最も若い,38歳の大統領が就任した。 同大統領は2018年5月に就任し、任期は2022年5月までの4年間である。 当国における行政権は、大統領及び内閣により行使される。閣僚は大統領によって任命され、国会議員との兼任が出来ない。現在、25名の閣僚のうち、女性が14名と半分以上の割合を占めている。



立法議会(国会:Asamblea Legislativa)

   一院制、57名の議員により構成。議員の任期は4年で、連続再選は禁止されている。国会議員選挙は比例代表制を採用し、各党の拘束名簿ではどちらかの性の候補者数を40%盛り込むこととされている。国会幹部(議長、副議長、書記等)の任期は1年で、毎年(5月1日)、国会議員間の投票により選出される。国会の会期は5月1日から7月31日、及び、9月1日から11月30日までの通常国会と、8月の1ヶ月間並びに12月1日から4月30日の期間に行われる特別国会に分かれ、特別国会においては政府が法案審議優先順位を決定できる。一般法案の成立及び条約の批准には、1会期中2度の討論における承認が必要である。    法案の成立に必要な票は38票(3分の2)。政党に関しては、長らく国民解放党(PLN、社会主義インターに所属)の他にいくつかの小政党が選挙毎に結成され、また消滅するような状況であったが、1986年の選挙からキリスト教社会統一党(PUSC)が大政党としてまとまり、以後二大政党制が定着していた。
   しかし、2002年に行われた選挙(大統領及び国会議員)で市民行動党(PAC)が第三勢力として台頭し、二大政党の影響力が低下するにつれ、新政党結成の動きが活性化した。2010年選挙においては、与党が過半数割れし、野党が乱立する様相となり、2014年には第三勢力であったPACよりソリス大統領が当選するに至り、事実上二大政党制が崩壊した。
   2018年大統領・国会議員選挙では一層の多党化の傾向が進み,PLNが17議席、国家復興党(PRN)が14議席、PUSCが9議席、国家統合党(PIN)が3議席、キリスト教社会共和党(PRSC)が2議席、広域戦線(FA)が1議席、無所属が1議席を獲得したのに対し,与党PACは10議席に留まった。
 アルバラード大統領は、自身の大統領就任式においても国民の「連帯」を強く訴え野党との連携を重要視し、重要な閣僚ポストにも野党の関係者を抜擢するなどして、他党との協調を図っている。



最高裁判所(Corte Suprema)

   裁判官22名で構成される。裁判官の任期は8年間で、議会の3分の2の反対のない限り再選される。最高裁判所には4つの法廷があり、第一法廷は民事、行政問題を、第二法廷は労働、家庭問題を、第三法廷は刑事問題を、第四法廷は憲法問題(各行政機関間の法的摩擦を解決するのも同法廷の任務)をそれぞれ扱っている。



選挙最高裁判所(Tribunal Supremo Electral:TSE)

   当国の選挙関連事項(告知、選挙委員会の設置、結果発表等)を総合的に担う。3名ずつの判事及び予備判事は、最高裁裁判官の3分の2の多数決で選出され、任期は6年で再選可能。選挙の6ヶ月前から警察権(公安警察に対する指揮権)を掌握する。また、選挙日の2日前から1日後までアルコール販売の禁止を行う。任務・権能については、憲法第99条から103条にかけて規定がある。



会計検査院(Contraloria General)

   会計検査の他、行政機関の予算及び地方自治体の予算を承認する権限を持つ。また、予備費の予算及び執行を承認する権限を持つ。さらに、政府及び政府系機関の契約の入札の規則並びに内容を承認する。こうした権限を背景に、予算にかかる政府の決定を取り消すこともできるほどの強大な権限を有する。院長及び副院長は、大統領選挙の2年後に国会により任命され、任期8年で、再選が可能で議会の3分の2の反対がなければ罷免されることはない。



国家訴訟庁(Procuraduria General)

   司法権に属し、高度な独立性を有する。そのトップである訟務長官は、国会により任命が承認される。憲法法廷の国側の代弁を行う諮問機関でもある。現在の訟務長官は、2016年に就任したフリオ・フラード・フェルナンデス(Julio Jurado Fernández)が務めている。



住民擁護官(Defensor de los Habitantes:オンブズマン)

   人権保護の為の国会の補助機関。市民の権利侵害のケースにつき報告。憲法法廷にも報告書を提出し、判断を求める。エチャンディ元住民擁護官(2001-2005)は、2003年3-4月に行われたイラク戦争に関し、パチェコ大統領が対米支持を打ち出したことを憲法違反として最高裁の第四法廷に訴え、行政府との対立も辞さない姿勢で国民の信頼を集めた。 その後、ケサーダ女史(2005-2009)、タイテルバウム女史(2009-2014)を経て、2014年9月にソラーノ女史が住民擁護官に就任した。2018年中に、新しい住民擁護官が選出される予定。


地方自治

(1) 当国の地方自治体は、基本的に全国82の自治体(Canton)及び8つの特別行政区(Intendencia)から成る。国土を7分割した「県」(Provincia)と呼ばれる単位もあるが、1998年に県ごとの行政府(Gobernacion)が廃止されてからは、この単位は地理上の区分及び国政選挙における選挙区としての役割だけとなった。自治体の行政府を「市(Municipalidad)」と呼び、その長が「市長(Alcalde)」である。この職は2002年12月の統一地方選挙より、住民の直接投票による選出方式(それまでは政党ごとの比例代表制)が採用されている。地方選挙は4年に1回行われ、次回の地方選挙は2020年2月。

(2) 民主主義が根付いているコスタリカでも地方分権は進んでおらず、警察、課税など主な地方自治体の権限は限定されている。自治体が地方税の導入・変更等を行う際には、これを法案として国会承認を得る必要がある。但し、地方自治政府の歳入の96%が法律で定められたサービス税、土地税等の収入で賄われている。しかし、多くの自治体が財政難に苦しんでおり、中央政府予算の10%を地方交付金とすることが法律で定められているが、実際にはこれまでにこの数値は達成されたことはない。

(3) 現在、82の市長職の内、62%をPLNが占めている。(PUSC:17%、PAC:8%、地域政党:6%、その他:7%)

内 政

(1) 80年代後半から続いたPLNとPUSCの二大政党制は、2004年後半、当国要人の汚職スキャンダルが次々と発覚したことにより、大きく変化した。当時米州機構(OAS)事務総長を努めていたロドリゲス元大統領(PUSC)やカルデロン元大統領(PUSC)が予防拘留された他、フィゲーレス元大統領(PLN)も世界経済フォーラム理事辞任に追い込まれ、国会が喚問を要求する事態となった。汚職問題に取り組むダラネセ検事総長(当時)及び検察の属する司法機関への評価は高まったが、国民の政治不信が高まり、一時、伝統的二大政党への支持率は13%台(2004年12月)にまで落ち込み、新政党の結成が相次いだ。

(2) 2006年2月に大統領・国会議員・地方自治体選挙が実施された。本選挙より、8年を経れば大統領の再選が可能となり(2003年最高裁第四法廷(憲法法廷)判決)、その結果、オスカル・アリアス氏(PLN, 1986-1990年の大統領)が当選した。アリアス政権は、CAFTA-DR(米・中米・ドミニカ共和国自由貿易協定)の推進、外国投資の誘致、入札・コンセッション手続の簡素化、観光促進、インフラ整備等を実施した。

(3) 2010年2月の大統領選では、アリアス前政権下で副大統領を務めたラウラ・チンチージャ・ミランダ女史(PLN, Laura Chinchilla Miranda)が、第一回目の投票で約47%の票を獲得して圧勝し、同年5月にコスタリカ初の女性大統領に就任した。チンチージャ政権は4年間の重点政策として「社会福祉」、「治安・社会平和」、「環境・土地有効利用」、「競争力・イノベーション」の4分野を設定し、財政改革にも取り組んだ。政権発足当初は初の女性大統領であることや、大統領自身の誠実な人柄から高い支持率を誇っていたが、具体的成果をあげられず、国民からの支持は大きく低下した。

(4) チンチージャ大統領の人気低迷を受け、2014年2月の大統領選挙ではPACのソリス候補が1位、アラヤ前サンホセ市長(PLN)が2位となり、両者により決選投票が4月に行われることとなったが、アラヤ候補が3月に選挙戦からの撤退を表明したため、決選投票は事実上の信任投票となり、ソリス候補がコスタリカ史上最高の130万票(77,8%の得票率)を獲得し、勝利を収め、5月8日に第47代大統領に就任した。ソリス大統領は変化を望む国民の高い期待を背負って発足したが、閣僚に学術界出身者が多く、政治経験が少ないこと、PACの内部分裂が起きていること、国会での議席が57議席中13議席に過ぎないこと等により、他党との連携がうまくいかず、なかなか目立った成果をあげられなかった。
さらに、立法府・行政府・司法府の三権を巻き込んだ「中国セメント問題」という汚職疑惑が生じ、PACが「汚職と戦う政党」を旗印に掲げていたにも関わらず、このような事態が起きたことで、PAC及びソリス政権に対する支持率は低下した。

(5)二大政党制の崩壊、PACへの不信感等から、2018年選挙では一層の多党化がすすむこととなった。「中国セメント問題」や財政赤字解消の失敗等から、与党PACには厳しい選挙戦となったが、同性婚を認めるなどのリベラルな姿勢や大統領候補演説等で若さとリーダーシップ発揮し、若者や大学卒の人々を引きつけたPACのカルロス・アルバラード大統領候補が選挙に勝利した。しかしながら、同候補への支持は必ずしも所属政党への支持には結びついている訳ではなく、与党PACの獲得議席数はPLNの17議席、PRNの14議席に次ぐ10議席で国会内第三党に留まった。
 財政赤字、治安の悪化、移民問題などの問題を抱える当国において、少数与党のアルバラード大統領が、他党と上手く連携をしながら政治運営を行うことが注目される。

対外政策

(1) コスタリカは、伝統的に対米友好関係重視、平和善隣、人権尊重、環境保護を掲げ、全方位外交を目指している。また、1983年には「非武装中立」を対外的に宣言(米州機構による安全保障の枠組には参加)。多数国間外交における積極的活動も外交の特色であり、国連、地域的国際機構、中米統合等の場における各種イニシアティブも目立つ。また、当国には国連平和大学(UPEACE)、国連ラ米犯罪防止研究所(ILANUD)、米州人権裁判所(IIDH)、米州人権裁判所(CIDH)、米州農業機関(IICA)、ユネスコ中米事務局等、国の規模に比して多くの国際機関が設置されている。

(2) パチェコ政権(2002年-2006年)は、中米の経済統合は受け入れるが、政治統合には反対する姿勢を取っており、中米共通旅券・査証の発行や、中米警察の創設などには参画しなかった。現在(2018年)に至るまで、コスタリカは中米諸国との接近よりも、米国やコロンビア等の南米諸国との関係強化に積極的な姿勢を見せている。2006年には、1987年に中米和平の功績により、ノーベル平和賞を受賞したアリアス氏が再び大統領に就任した。アリアス政権は経済外交を重視し、2007年6月には台湾と国交を断絶、急成長を遂げる中国との外交関係を樹立した。これにより、コスタリカは中米で初めて中国と国交を結んだ国となった。ソリス大統領が2015年1月に訪中した際には、中国から24百万ドルの無償資金援助が約束されるなど、結びつきを強めている。

(3) 現在コスタリカは、外国投資呼び込み、輸出拡大を図っており、太平洋同盟への正式加盟を検討(現在はオブザーバー)しているほか、OECDへの加盟を外交上の優先事項として掲げている。また、2014年はCELAC(中南米カリブ諸国共同体)の議長国を務め、2015年1月に第3回CELAC首脳会合を主催したほか、2015年はFEALAC(アジア・中南米協力フォーラム)の中南米側議長国として、第7回FEALAC外相会合を8月に主催した。

(4) 日本とは2015年に外交関係樹立80周年を迎えた(日・中米友好年)。コスタリカと日本は平和、軍縮、人権、民主主義等の普遍的価値を共有し、国際場裏におけるパートナーとして、長年にわたる友好関係を築いている。