日本・コスタリカ関係概観

開発協力
コスタリカに対する開発協力は、国別開発協力方針で示された「格差是正と包摂的な社会の実現等」、「地球規模課題のリスクの緩和と脱炭素化社会実現に向けた機会の創出」「産業基盤の強靭化」の3つの重点分野を中心に、JICAと連携しながら実施しています。
技術協力では、主に海外協力隊を中心に、日本語教育、スポーツ、環境教育(リサイクル)、水・保健、防災等の分野において、技術移転をおこなっています。また、コスタリカは、地熱発電、障害者支援、自然保全・持続可能な観光といった分野において、中南米地域で三角協力を推進する上での重要なパートナー国となっています。
JICAコスタリカ支所が設立された1974年から2023年までの50年間で、2504名のコスタリカの方々が日本での研修を受け、761名の日本人ボランティア、637名の日本人専門家がコスタリカに派遣されました。
草の根・人間の安全保障無償スキームによる実施案件数は、258件(1989年~2023年度分まで)を実施しました。有償資金協力では1973年のカルデラ港建設計画からスタートし、2017年のミラバジェス地熱発電所、2001年のピリス水力発電所、2013年のグアナカステ地熱開発計画まであわせ、合計7件(総額1,222,41億円)実施されています。
貿易投資
コスタリカ貿易振興機構(PROCOMER)の発表数値によると、2024年のコスタリカの対日輸出総額(FOB)は2.3億ドル、輸入総額(CIF)は6.0億ドルとなっています(注:同年の我が国貿易統計では対日輸出額863.4.億円、同輸入額885.6億円)。主な対日輸出品目は、医療機器、コーヒー、濃縮果汁です。コスタリカはFOODEXへの参加等を通じて、果物の加工品等の対日輸出促進を目指しています。対日輸入品目は医療機器をはじめとした電子部品、自動車、家電、鉄又は非合金鋼のフラットロール製品等です。現在は対日輸出額の約85%を医療機器が占めています。
コスタリカに進出している主な日系企業は、テルモ、パナソニック、ブリヂストン、豊田通商、リンナイ、ソニー、エプソン、マネックス・グループ、リコー、富士通等があり、2025年7月現在、進出企業数は中小を含めると約30社です。
チャベス大統領政権は、更なる日本企業からの投資を誘致するために様々な活動に取り組んでおり、2025年2月には当館との共催で「在コスタリカ日系企業とトバール貿易大臣との意見交換会」を実施しました。
マルチの場における協力
コスタリカと日本は、自由、民主主義、平和・軍縮、法の支配、環境等の基本的価値を共有する国際社会におけるパートナーです。国連をはじめとした国際機関において、協力を深めています。
また、中米8カ国が加盟する中米統合機構(SICA)と日本は、1995年より、日本・中米「対話と協力」フォーラムという政策協議を実施しています。2005年には「日本・中米首脳会談」が東京で開催され、日・中米関係の中長期的な協力の指針となる「東京宣言」及び「行動計画」が採択されました。また、2010年1月の日・SICA外相会合においては、日本のSICA域外オブザーバーが認められたほか、日・中米双方の有識者等から成る日・中米経済交流促進ワーキングチームが設置されました。2025年5月には、第19回日本・中米「対話と協力」フォーラムがコスタリカで開催されました。
さらに、日本とコスタリカは中南米とアジアの36カ国が参加する「アジア中南米協力フォーラム」(FEALAC)のメンバー国でもあります。2015年には外相会合がサンホセで開催され、日本からは中山外務副大臣(当時)が参加し、アジアと中南米協力深化に向けた「サンホセ宣言」が採択されました。日本は、FEALACが設立されて間もない2001年からほぼ毎年、FEALAC加盟国内の若手リーダーの招へいを実施しています。
また、日本は毎年、「Juntos!!中南米対日理解促進交流プログラム」の枠組みにおいても、中南米地域33か国を対象に若手リーダーの招へいを実施しています。
コスタリカ・日友好議連
2014年9月、コスタリカ国会において、コスタリカ・日本友好議連が発足しました。現在の代表はグロリア・ナバス議員、事務局長はワルド・アグエロ議員です。
文化・スポーツ交流
コスタリカでは、日本文化に対する関心が年々多様化・深化しています。日本のアニメ・漫画などの現代文化は引き続き若者を中心に高い人気を誇っており、コスプレも盛んで、これらを通じての日本語学習への関心とも結びついています。一方で、茶道・書道・折り紙・武道などの伝統文化への関心も高く、多くの人がこれらを学んでいます。近年では、環境・防災・サステナビリティといった社会的テーマとの結びつきを意識した文化紹介も注目されており、日本文化を単なる「異文化」としてではなく、共通の課題に対する学びの源として捉える傾向も見られます。
在コスタリカ日本大使館では、こうした関心の広がりを背景に、大学、自治体、文化施設、民間団体等、官民問わず多様なパートナーとの連携を一層深めるとともに、例年、数多くの広報文化事業を実施し、日本文化の普及と日・コスタリカ間の相互理解の促進を図っています。
また、岡山市とサンホセ市は1969年1月に姉妹都市関係を締結しており、2019年1月にはその50周年を記念して、大森雅夫岡山市長を団長とする岡山市公式訪問団及び岡山市民親善訪問団(40名)の皆さんがコスタリカを訪問しました。ジョニー・アラヤ・サンホセ市長を表敬訪問、岡山紹介写真展や備前焼展、岡山城東高校合唱団とサンホセ市吹奏楽団ジョイントコンサート、山地真美・コスタリカ青少年交響楽団ジョイントコンサート等様々な文化交流事業が行われました。2025年7月には、子供派遣プログラムが再開し、岡山市から中学生8名が当地に来訪しました。
スポーツ交流においても、JICAのスポーツボランティア隊員による野球、柔道、卓球、体操等の普及活動が継続されており、日本とコスタリカの草の根レベルでの交流を支えています。当地で人気の高いスポーツであるサッカーに関しても、2015年にはサッカーU16、U22コスタリカ代表が訪日し、国際大会への出場及び親善試合を行いました。特に柔道では、2016年から「日本大使杯全国柔道大会」が開催され、2025年大会には全国から約700名の選手が参加しました。2015年5月には日本オリンピック委員会とコスタリカオリンピック委員会によるパートナーシップ協定が締結され、東京オリンピックを見据えたスポーツ交流も進展しました。
本2025年は、コスタリカと日本の国交樹立90周年の年であり、これを記念して、多くの文化行事、文化交流イベントが開催されています。